風見パパになる
名前
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「風見。土曜日九時、安室さんと出かけることになった」
やむを得ないんだ。
まさかこんな事になるとはな…。
続けて言えば、だから降谷さんはあんなにはりきって仕事を…と呟いた。
「なまえとそれなりの仲になってから、降谷さん徐々に調子を取り戻したみたいで。
ああけど、時折思い詰めた表情になります」
「まだ名字名前の事を引きずってるのか?」
「まだ、って…。
あなた本当に分からないんですか」
「なにが?」
「なにがって…ああもういいです」
ため息を吐く風見に問い詰めても、自分で気付いてくださいとしか言わない。
気付くってなにが?
降谷さんとはただの同期だろ?
それ以外に何かあるの?
ああけど、降谷さんの誕生日に発信器付のネックレスをあげたな
降谷さん嬉しそうにしてたな、発信器は気付いているだろうけど
今度の誕生日にプレゼント渡す。なんて言ってたが、それも叶わずに終わったが
「その日は仕事なので、家を出るときは戸締りをしっかりと…。警棒も忘れずに。
降谷さんと絶対にはぐれないでください。
財布に五千円と小銭を入れたのでこれで買い物を…」
「分かってる。
過保護すぎだってば」
「仕方ないでしょう。
なまえは可愛い、内気で守ってあげたくなるような存在ですから。
知らない人に誘拐されたりとか、心配なんです」
「おお…」
いつにもなく風見がよく喋る。
完全に風見パパが板についてるな。
「さあ一緒にお風呂に入りましょう」
「分かったから抱き上げるな!」
片手で私を持ち上げて、お風呂場に直行。
着替えは風見が帰って来る前に用意したから問題ない。
この身体になって、一人でお風呂に入ろうとした時、浴室で滑って転んだ。
それで風見は、一人は危険だ。これからは二人で入ろう、と言ってお風呂を一人で入らせてくれなかった。
「かゆいところありますか」
「右側の…ああそこ。めっちゃ気持ちいい」
「それは良かった」
シャンプーを洗い流して、今度は私が風見の髪の毛を洗う。
初めはクセのある毛で洗い辛くて苦労した。
今となっては風見の髪の毛を洗うのも手慣れた物だ。
それとパパって呼ぶと嬉しそうな顔をするのも知っている。
「パパー、かゆいところありますか?」
「なまえの洗い方は上手いですよ。
文句のつけようがありません」
泡を洗い流せば、今度は身体を洗いましょう、とネットを使ってせっけんで泡を作った。
風見曰く、タオルだと傷付くから素手の方が良いらしい。
泡を背中、お尻、足と、つけた。
背中と足は優しい手つきで洗う。そこまではいい、が。
お尻はくるりと円を描き、必要以上に洗う。
以前そこまで念入りに洗うな、と言ったらお尻と小股にはバイ菌が…などと言いくるめられた。
「パパっ…」
「何ですか?」
「お尻は、もういいっ」
「じゃあ今度は前ですね」
もう一度泡を作って、上半身に泡をすり付ける。
風見の手が、まだ大きくなっていない乳房を擦り、びくりと肩がはねあがる。
「…最後はココ、ですね」
「っ、バカバカもういい!
ココは自分で洗えると言ってるだろう風見っ!!」
「申し訳ありませんっ!」
何でそんなしゅんとした顔をするんじゃない。
まるで私が悪いことしてるみたいじゃないか。
風見は一度、本当の父親にどこまで洗うか訊いた方が良い。風見、お前絶対に間違っているぞ。
「私は自分で洗う。
風見も洗ってろ。背中くらいは洗ってあげる、から」
「はい!」
その後。
背中をこれでもかってくらい、力を込めてタオルで擦った。
風見の腕の中に閉じ込められて、浴槽に浸かる。
出終わって、身体を拭いてパジャマを着たら、ドライヤーを手に持った風見。
「髪を乾かしましょう」
椅子に座らされて、背後からドライヤーの熱があてられる。
気持ち良くて、瞼がくっついてきた。
今何時だっけ、今日は風見が帰って来たのが遅かったな。
子供の身体になってから、睡魔が襲ってくるのに抗えない。
「子供はもう寝る時間ですよ」
「ん、まだ…」
ポンポン、と頭を撫でられて意識が落ちた。
風見は私の寝顔を見て、ふっと微笑んだ事は知る余地もない。
「お休みなさい」