風見パパになる
名前
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「久しぶりだな名字」
降谷さんはスマホをポケットに入れて私を見た。
自分も風見も言い逃れできる言葉が何一つ無い。
どうするべきか…と考えてたら低い声でもう一度名字を呼ばれ、もう観念するしかないと風見の肩を軽く叩く。
「下ろして風見」
「…はい」
とりあえず黙ってた事を謝ろうと降谷さんに近づく。
頭を下げようとしたら、降谷さんは立て膝をして私と目線を合わせてきた。
右手がゆっくりと上がり、これはビンタされるなと覚悟をしたが、背中に手を回してぐっと引き寄せられた。
「ようやっと逢えた…!
俺が…今までどんな気持ちだったと思っているんだ…っ」
「(えっ?)」
「俺一人を…取り残すな」
どうしてそんなに優しく触れるの?
いつもだったら頭を叩いてくるのに。
取り残すなって何?
……もしかして顔に似合わず寂しかったとか?
「ふふっ…あはははっ!」
「はあ…?」
「降谷さんって可愛いとこあるんだ!
いやー笑った笑った!」
「おい、名字…?」
我慢できず、つい笑いと本音を言ってしまった。
ここは心の広い自分が降谷さんを甘やかしてあげようと、子供口調で降谷さんを慰めたらコツンと頭を叩かれた。
「名字…お前な。
ああもう、やめだ。どうせ言ったってまた笑うだけだ」
「なにが?」
「なんでもない。
今度ちゃんとした場所で言うよ」
降谷さんが笑わすから謝るタイミングを逃した。まあいいか。
降谷さんの右手の力が抜けて解放された私は風見のいる方へ歩く。
いつも通り「抱っこして」と言えば、とびきりカッコいい笑顔をプレゼントして抱き上げてくれた。
「名字さんがおねだりしてきたので嬉しくて…」
「降谷さんにバレてもバレなくても、私は風見とくっついていたいけど」
「名字さん…その言葉、自分の事を好「ストップ。風見、それ以上は無しだ」
降谷さんは私と風見を引き離すと床に降ろした。
風見と二人で話したい事があると言った降谷さんは風見の寝室に向かい、風見も降谷さんの後を追う。
正直何話してるのか気になるが、立ち聞きしてバレたら後で降谷さんにいじめられるから食器でも洗って待っていよう。
「名字さん」
「もういいの?」
「はい。
食器ありがとうございます」
食器を全て洗い終わって後は拭くだけ…そう思ってたら風見が帰って来た。
かわりますと言って食器を拭いてくれる風見。
そんな優しい風見の顔をじっと見つめていると、降谷さんが私の頭をごつんと叩いてきた。
さっきより叩く力が強くなってる…!
降谷さんを睨みつければ「上目遣いになってるぞ」とバカにされる。
「ムカつくムカつく!
降谷さんに上目遣いなんてするわけないし!」
「俺から見たら上目遣いだよ。
そうやってムキになる名字も可愛いな」
「何が可愛いだよ。
思っても無いこと言いやがって。
ねえねえ風見、この褐色野郎を追っ払って?」
風見にぎゅっと抱きついてお願いすれば、頭をぽんぽんしてくれた。
いつ見ても風見はカッコいい…
降谷さんと天と地の差はあるなあ。
「降谷さん。こんな所で遊んでないで、本庁に戻ってください。
今日はポアロでバイトの後、本庁直行の予定でしょう」
「そうだが?
そんなもの何とかなるだろ」
「はぁ…ではこうしましょう。
今すぐ本庁に行けば、朝に手作り弁当を持って行きます」
「良いだろう」
ポシェットを持って玄関に向かったので後を追う。
靴を履いた降谷さんは後ろを振り向き私の目線にしゃがんだ。
「名字」
「ん?」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。
明日ポアロで会おうね」
「っ、ああ」
手を振ったら、口元に手を当てて家を出ていった。
…もしかして口元に手を当てるほど私の息が臭かったのか?
風見の元に戻った私は自分の息が臭いか訊いたら、可愛くて幸せな香りがすると言われた。意味が分からない。
「そうですね…。
では自分のにおいを嗅いでみてください」
「うん」
風見に抱っこしてもらって首元をくんくん嗅いだ。
風見の優しくてかっこ良い匂いがする…幸せ。
「…名字さん」
「ん、」
「貴方と居れて、自分は幸せ者です」
「私も…風見と一緒、幸せだよ」
これからもずっと、ずーっと風見と一緒にいれたら良いな。
ああけど、なまえの正体がバレたから、降谷さんに邪魔されるだろうなぁ。
…もしも私が風見名前になれたら、誰にも邪魔されないのに。
「……ん?」
「どうしました?」
「なんでもない!!
…あっ、ごめんね風見。耳元で、大声…」
「いえ…自分は平気です」
ヤバいヤバいヤバいっ!
同じ名字とか、何考えちゃってんの。
それじゃあまるで私が風見を、好き、みたいな…。
いやいや。恋とか好きとか、私には縁の無い話だし?
「名字さん?
…もしかして自分の体臭が臭かった、とか」
「ちがうよ。
風見の匂いは……お風呂、入ってくる」
「そうですか?では一緒に…」
「今日は一人で入るの」
降ろしてって言ってるのに降ろしてくれない。
風見の腕から脱出しようと、もぞもぞ動いていたらおでこにキスされた。
嬉しいけど…嬉しいけど…今はしないで!
「どうしたんですか?
さっきからおかしいですよ」
「だって…風見でやらしいこと考えた」
「やらしい…?」
「風見と同じ名字になれたら、って…」
「その姿だと風見なまえでしょう?」
「あ…ああうん、そうだね。
風見なまえだね」
そんな不思議そうな顔で私を見ないで欲しい。
純粋な風見でやらしいこと考えた私が悪かった。
だけど…風見が私以外の女と籍をいれたら嫌だな。
口にだして言ったら、風見にワガママな女だって嫌われちゃうから心の中にしまっておこう。
今の、このままの関係でも幸せだから。
「お風呂、一緒に入りましょう」
「ん…入る」