風見パパになる
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「なまえ、ただいま帰りました」
「パパだ!
お帰りなさいっ!」
玄関まで走って、ようやっと帰って来た風見に抱きつこうとしたら安室さんに腕を捕まれた。
振りほどこうとしても安室さんの力には勝てない。
抵抗を止めて大人しくすると、リビングに連れて行かれて風見と引き離された。
「パパは帰ってきたばっかりで身体中にバイ菌がついてるから、なまえちゃんは僕とくっつこうね」
「安室さん、存在がバイ菌!
私のこと、いじめる、悪い人っ」
「僕が、バイ菌…!?」
安室さんに捕まれていた腕が解放された。バイ菌呼びがよほどショックだったのか。
そんな安室さんを放置し、私は冷蔵庫から卵を取り出してフライパンで焼く。
ご飯の上にのせるのはもちろん風見の好きなふわとろだ。
三人分をお皿に盛り付けると、支度を終えた風見が近寄ってきた。
「オムハヤシ。
ご飯の上、ふわとろ卵、ハヤシソース」
「今日も美味しそうですね!
いつもありがとうございます」
「ん…。
パパ、お仕事、ありがと。
いつも、お疲れ様です」
「なまえ…そんなに可愛い顔で可愛い事言ったらキスしたくなるでしょう?」
「パパのキス、欲しい。
いっぱい、してくれる?」
風見に向かって両手を広げておねだりしたら抱っこしてくれた。
何度も風見の唇が頬に触れて、頭がぽーっとしてきて身体中が熱くなってきちゃった。
服越しでもいいから触ってくれないかな。
おねだりしようと思い口を開きかけた時、安室さんがやって来た。
安室さんは風見と私を無理矢理引き離し、ぎゅっと抱きしめて風見を睨みつけている。
私と風見の仲を邪魔しないでよ。もっと長い時間くたばって欲しかったな。
「なまえちゃんの言葉は照れ隠しだと、すぐに気づけなくてごめんね。
風見、そう遠くない僕の未来の恋人になんて事をするんだ」
「寝不足ですね。
今すぐ帰宅して睡眠をとったらどうですか」
「誰が寝不足だって?
風見こそ娘にキスなんて頭おかしいんじゃないか」
「なまえが可愛くおねだりしてきたので。
それと、彼女に口づけをできるのは生涯自分だけですので。そろそろ諦めたらどうですか」
「はあ?
もしかして最近、帰宅時間が早いから頭の中が煩悩だらけなのか。
僕が上にかけあって仕事を増やして帰宅困難にしてあげようか」
「煩悩だらけは安室さんの方でしょう。
なまえに会うたび、気持ち悪い言葉を吐いて、気持ち悪い目付きで見て、気持ち悪い手つきでなまえに触れて…」
いつまで続くんだ。このアホな会話。
早く終わってくれないか…そう思ってたらお腹がきゅうっと鳴った。
完全に安室さんに聞かれた。これは元の姿の戻ったら一生からかわれる。
恥ずかしくて頬が赤くなった私を見て風見は「お腹が空きました」と言った。
「せっかくなまえが一生懸命作ってくれた料理ですし、冷めない間にいただきましょう」
「そうだな。僕は二皿持つから、風見は一皿持って行ってくれ。
なまえちゃんはスプーンを3つ持てるかな?」
「ん…」
床に私を下ろすと、さっきの会話が嘘だったかのように顔つきが安室さんに戻った。
お皿を運んだ安室さんがいなくなって、スプーンを取ろうと踏み台に乗ろうとしたら、風見が手のひらにスプーンをのせてくれた。
「パパ、ありがと」
「はい…?」
風見は何のことでお礼を言われているのか分かってないのか、首を少し傾ける。
スプーンを運び椅子に座ったら手を合わせていただきますをする。
美味しい美味しいと言って笑顔で食べる風見。
「なまえちゃんの愛が僕のお腹に入っちゃった」なんてバカな事を言ってる安室さん。
そんな二人を見て自分も一口食べる。…うん、普通の味だな。
「はあ…食事中のなまえちゃん可愛い…」
「どんな仕草も可愛いのは当たり前でしょう」
「そんなことは風見に言われなくても知ってるさ」
私より早く食べ終わった二人は、私の顔をじっと見ている。
風見は見て良いけど、安室さんはさっさと食器を洗いに行って欲しい。
安室さんに見られるのが嫌で急いで完食する。
使った食器を早く洗ってしまおうと立ち上がると、安室さんが腕を掴んできた。
「なまえちゃん、待って」
「っ!?」
安室さんのざらついた舌が口元に触れた。というより舐められた。
気持ち悪い!気持ち悪い!気持ち悪いっ!!
洋服の袖で口元をごしごし擦る。ヒリヒリするけど、擦らなきゃ気が済まない。
「娘に何してんですか!」
「何って…見て分からないか?
口元にソースがついていたから舐め取っただけだ」
「パパ…」
「なまえの口周りが赤くなってる…。
すみませんなまえ、安室さんを阻止できなくて」
「ひどい言い草だな」
安室さんの腕をおもいきり叩けば手が離れた。
その隙に風見に向かって駆け寄ってジャンプをすれば、安室さんに背を向けた状態で抱っこしてくれた。
「もう食べ終わったんですから安室さんは帰宅してください。なまえが泣いてしまったので」
「泣くほど嬉しかったのか?」
「そんな訳ないでしょう。
なまえが安室さんを本気で嫌いになる前に立ち去ることをオススメしますが」
降谷さんや安室さんやバーボンにムカつく事をされても、本気で嫌いにならないけど。
アイツが逝って、ずっと私のそばに居てくれたのは降谷さんだし。
それを口にだして言うと降谷さんが調子に乗って何してくるか分からないから絶対に言わない。
「あむろ、さん…」
「ん?なにかな?」
「バイバイ、また、あした…。
ポアロ、行くね」
「また明日…!
うん、バイバイなまえちゃん。
また明日ね」
安室さんの足音が遠ざかっている。
ガチャンと扉が閉まる音がしたので、ほっと息を吐く。
胸板からぴったりとくっつけていた顔を離して風見の顔を見上げれば、ヒリヒリする口元にちゅっとキスしてくれた。
「安室さんのを上書きしました。
…ダメ、でしたか?」
「ダメじゃないよ。
風見にキスされるの嬉しい、から…」
「名字さん……」
風見がものすごくカッコいい顔で迫ってきた。
初めて唇にキスてくれるのかな…?そう思ったのに、バタンと扉が勢いよく開いて安室さんが戻って来た。
この前電話がかかってきた相手を訊いたら降谷さんだって言ってた。そして今回は安室さん。
毎回毎回風見とのキス邪魔してくるの止めて欲しい。
まあそんな事本人に言ったら何されるか分からないから言わないけど。
「すみません。忘れ物を取りに来ました」
安室さんは床の隅に置かれたポシェット拾ってポシェットからスマホを取り出すとピッと音がして察した。
ああ…ヤバい。
降谷さんが証拠を掴んで嬉しそうな顔をしている。
「さて…再生するか」
降谷さんがスマホをタッチすると、さっきまでの会話が全て録音されてた。
風見がなまえにただいましてから、降谷さんがポシェットを取りに来るまで。
私が風見にキスをねだって、風見が私の名字を呼んでるのもバッチリ録音されてるって事だ。
もう何も言い逃れはできない。まさかこんな形でバレるなんて…。
「久しぶりだな名字」