風見パパになる
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降谷side
今日はポアロは休み。組織は呼び出しがない。久しぶりに公安の方だけ集中できる。
「(ふう…ようやっと書類が三分の一くらい片付いたな)」
水分補給でもするかとペットボトルに手を伸ばすと、デスクに置かれたスマホが鳴った。
こんな昼前に電話をかけてくる奴は誰だ。
ポアロだったら断るが、組織だったらやむを得ない。
画面を見るとコナン君の携帯番号が表示されている。
今日は遠足じゃなかったのか?
それとも僕に気遣ってなまえちゃんと会話できるように電話をかけてくれたのか。
「もしもし」
『安室さん…。
なまえちゃんが黒ずくめの組織…ジンと接触した』
「なんだって!?場所はどこだ!」
『場所は…』
雑務なんてどうでもいい。名字の方が大事だ。
違反にならないギリギリのスピードで目的地に向かう。
「名字…!」
もしもの時は裏切って、銃で組織の人間を殺める覚悟はある。
ジンに名字を連行されてたまるか。
ようやっと目的地にたどり着くと、前方には黒のポルシェが見えた。
まさか、もう連行されたのか…!?
辺りを見回すと、名字が一人で歩いているのを見つけた。
ブレーキを踏んで慌てて車から降りて、名字の元へ駆け寄る。
「名字!!」
「…?」
「変な食べ物食わされたり、変な薬を飲まされたりしたらすぐに吐き出せ!」
「ジュース、飲んだ…?」
「何で飲むんだバカッ!」
組織に連行するのはやめて、毒を仕込んで名字を殺そうとしていたと思わないのか。
今すぐ吐き出させてやるために口の中に指を突っ込んだが、指をがぶりと噛まれた。
それでもさらに奥へ突っ込んで吐き出させてやろうと思ったが、懐から警棒を取り出して振り下ろすものだから、するりと避けた。
「危ないな…。
名字を思っての行為なのに。今すぐ警棒を差し出せ」
「なまえだもん。
お兄さん、ジュース、もらっただけ」
「じゃあなまえちゃん、あのお兄さんは悪い人だから今すぐジュースを吐き出そうね」
「安室さん、しつこい。
そこの自販機、買ってもらった」
スマホを取り出して警察に電話をしようとしている名字の手首を捕んで、警察は呼ばないで欲しいと首を横に振った。
公安警察が警察に捕まるなんてバカな事あってたまるか。
緩く手首を掴んでいたため、名字は僕の手から逃れて背を向けて歩きだした。
まだ吐き出してないだろ。どこに行こうとしているんだ。何かあったらどうするつもりだ。
背後から抱き上げると足をバタバタして抵抗してきたが、そのまま車の助手席に座らせ、シートベルトを締めた。
「もう心配させるようなことしないで。
キミのパパがお仕事終わるまで、僕の家で一緒にいること。分かった?」
「やだ」
「やだじゃない。
お前がこの世からいなくなったら俺は━━」
死んだと聞かされた時、絶望した。
名字まで俺を置いて逝ったのか
何のために生きてるのか
生きてる意味が無いんじゃないか
名字の誕生日プレゼント用に買ったネックレスを渡して「好きだ」って告白して、今まで素直になれなかった分、たくさん名字を甘やかして……
名字の後を追えばアイツらにまた会えて、幸せな時間を過ごせるんじゃないか。そんな事を考えていた。
「お前の後を追って死ぬよ」
一人は嫌だ。
名字がいない世界に取り残されたくない。
アイツらだって、俺が名字の後を追って死んだら笑ってくれる。
なあ、そうだろ?
「死んでも、着いてくの。
ストーカー。度を越してる」
「はっ…?」
まあ名字は一度も恋愛したことないから仕方ないか…と思えるレベルじゃない。
コイツはわざと言ってんのか?と疑いたくなる。
ここまで言ってんだから、いい加減に俺の気持ちを理解しろ。
「あのな…俺はストーカーじゃない。
お前の事が好きなだけなんだ」
「幼女、好き…。
ストーカー、変態、犯罪者予備軍…?」
「幼女好きじゃなくて、俺はお前が好きだと何度言えば分かるんだ」
「安室さん、怒ってる?怖い……」
「今さら子どものフリしたって…」
「ふぇっ…パパぁ…」
また得意のウソ泣きか。
泣けばその場を切り抜けられると思っているのか。
コツンと頭を小突いたらびいびい泣いた。
静かにしろと思いもう一回小突いたら、シートベルトを外して窓を開けて身を乗り出すもんだから、首根っこを掴んで無理矢理座らせる。
「ふえーん!
パパっ、パパぁ!!」
「はぁ…分かったよ。
だから走行中に危ない事はしないで。
風見のいる場所に連れて行くから」
ジンが渡した飲み物だ。名字の体調が悪くなるかも知れない。
何があってもいいように、病院の近くを何ヵ所も通って遠回りをする。
名字は泣いてるだけで、体調の変化を訴えなかった。本当にただのジュースだったのか?
公安警察に着いたら泣いてる名字の手を引っぱって、中に入って行った。
「なまえ !?」
デスクで仕事をしていた風見はこっちに近寄ってきて名字を抱き上げた。
風見が名字の頭を撫でると、さっきまでのギャン泣きがぴたりと止まった。
ああだめだ、イライラする。名字の頭を叩きたい。
「よしよし、いい子ですね。
あの人に何されたんですか?」
「あたま、たたかれた…」
「叩いてない。少し小突いただけだ」
「なまえに暴力を振るったのは事実でしょう。
ではなまえの治療をするので早退させていただきます」
「このやりかけの仕事はどうするつもりだ」
「なまえをこんな目に合わせた貴方が代わりにやるべきでしょう。
うちの娘を虐める時間があるなら、雑務をやってください」
組織の奴に殺されるかもしれないと思って名字の元に向かったんだ。
…なんて、他の人達がいる前で言えるわけ無い。
仕方なく風見に謝れば、名字が風見の胸板に頭を擦り付けてる。俺に喧嘩売ってんのか。
「ああそれと…。
なまえの傷が癒えるまで、絶対に近寄らないでくださいね」
「はっ?」
傷が癒えるまでって何日だ。
近寄らないでって何センチまでなら近寄って良いんだ。
俺がなまえちゃん不足でおかしくなっても良いのか。
二人が立ち去った後、呆然と立ちつくしていると背後から肩を叩かれた。
振り返ると部下が哀れんだような眼差しを向けてきたので強がった。
「っ、悔しくなんかないからな」
今日はポアロは休み。組織は呼び出しがない。久しぶりに公安の方だけ集中できる。
「(ふう…ようやっと書類が三分の一くらい片付いたな)」
水分補給でもするかとペットボトルに手を伸ばすと、デスクに置かれたスマホが鳴った。
こんな昼前に電話をかけてくる奴は誰だ。
ポアロだったら断るが、組織だったらやむを得ない。
画面を見るとコナン君の携帯番号が表示されている。
今日は遠足じゃなかったのか?
それとも僕に気遣ってなまえちゃんと会話できるように電話をかけてくれたのか。
「もしもし」
『安室さん…。
なまえちゃんが黒ずくめの組織…ジンと接触した』
「なんだって!?場所はどこだ!」
『場所は…』
雑務なんてどうでもいい。名字の方が大事だ。
違反にならないギリギリのスピードで目的地に向かう。
「名字…!」
もしもの時は裏切って、銃で組織の人間を殺める覚悟はある。
ジンに名字を連行されてたまるか。
ようやっと目的地にたどり着くと、前方には黒のポルシェが見えた。
まさか、もう連行されたのか…!?
辺りを見回すと、名字が一人で歩いているのを見つけた。
ブレーキを踏んで慌てて車から降りて、名字の元へ駆け寄る。
「名字!!」
「…?」
「変な食べ物食わされたり、変な薬を飲まされたりしたらすぐに吐き出せ!」
「ジュース、飲んだ…?」
「何で飲むんだバカッ!」
組織に連行するのはやめて、毒を仕込んで名字を殺そうとしていたと思わないのか。
今すぐ吐き出させてやるために口の中に指を突っ込んだが、指をがぶりと噛まれた。
それでもさらに奥へ突っ込んで吐き出させてやろうと思ったが、懐から警棒を取り出して振り下ろすものだから、するりと避けた。
「危ないな…。
名字を思っての行為なのに。今すぐ警棒を差し出せ」
「なまえだもん。
お兄さん、ジュース、もらっただけ」
「じゃあなまえちゃん、あのお兄さんは悪い人だから今すぐジュースを吐き出そうね」
「安室さん、しつこい。
そこの自販機、買ってもらった」
スマホを取り出して警察に電話をしようとしている名字の手首を捕んで、警察は呼ばないで欲しいと首を横に振った。
公安警察が警察に捕まるなんてバカな事あってたまるか。
緩く手首を掴んでいたため、名字は僕の手から逃れて背を向けて歩きだした。
まだ吐き出してないだろ。どこに行こうとしているんだ。何かあったらどうするつもりだ。
背後から抱き上げると足をバタバタして抵抗してきたが、そのまま車の助手席に座らせ、シートベルトを締めた。
「もう心配させるようなことしないで。
キミのパパがお仕事終わるまで、僕の家で一緒にいること。分かった?」
「やだ」
「やだじゃない。
お前がこの世からいなくなったら俺は━━」
死んだと聞かされた時、絶望した。
名字まで俺を置いて逝ったのか
何のために生きてるのか
生きてる意味が無いんじゃないか
名字の誕生日プレゼント用に買ったネックレスを渡して「好きだ」って告白して、今まで素直になれなかった分、たくさん名字を甘やかして……
名字の後を追えばアイツらにまた会えて、幸せな時間を過ごせるんじゃないか。そんな事を考えていた。
「お前の後を追って死ぬよ」
一人は嫌だ。
名字がいない世界に取り残されたくない。
アイツらだって、俺が名字の後を追って死んだら笑ってくれる。
なあ、そうだろ?
「死んでも、着いてくの。
ストーカー。度を越してる」
「はっ…?」
まあ名字は一度も恋愛したことないから仕方ないか…と思えるレベルじゃない。
コイツはわざと言ってんのか?と疑いたくなる。
ここまで言ってんだから、いい加減に俺の気持ちを理解しろ。
「あのな…俺はストーカーじゃない。
お前の事が好きなだけなんだ」
「幼女、好き…。
ストーカー、変態、犯罪者予備軍…?」
「幼女好きじゃなくて、俺はお前が好きだと何度言えば分かるんだ」
「安室さん、怒ってる?怖い……」
「今さら子どものフリしたって…」
「ふぇっ…パパぁ…」
また得意のウソ泣きか。
泣けばその場を切り抜けられると思っているのか。
コツンと頭を小突いたらびいびい泣いた。
静かにしろと思いもう一回小突いたら、シートベルトを外して窓を開けて身を乗り出すもんだから、首根っこを掴んで無理矢理座らせる。
「ふえーん!
パパっ、パパぁ!!」
「はぁ…分かったよ。
だから走行中に危ない事はしないで。
風見のいる場所に連れて行くから」
ジンが渡した飲み物だ。名字の体調が悪くなるかも知れない。
何があってもいいように、病院の近くを何ヵ所も通って遠回りをする。
名字は泣いてるだけで、体調の変化を訴えなかった。本当にただのジュースだったのか?
公安警察に着いたら泣いてる名字の手を引っぱって、中に入って行った。
「なまえ !?」
デスクで仕事をしていた風見はこっちに近寄ってきて名字を抱き上げた。
風見が名字の頭を撫でると、さっきまでのギャン泣きがぴたりと止まった。
ああだめだ、イライラする。名字の頭を叩きたい。
「よしよし、いい子ですね。
あの人に何されたんですか?」
「あたま、たたかれた…」
「叩いてない。少し小突いただけだ」
「なまえに暴力を振るったのは事実でしょう。
ではなまえの治療をするので早退させていただきます」
「このやりかけの仕事はどうするつもりだ」
「なまえをこんな目に合わせた貴方が代わりにやるべきでしょう。
うちの娘を虐める時間があるなら、雑務をやってください」
組織の奴に殺されるかもしれないと思って名字の元に向かったんだ。
…なんて、他の人達がいる前で言えるわけ無い。
仕方なく風見に謝れば、名字が風見の胸板に頭を擦り付けてる。俺に喧嘩売ってんのか。
「ああそれと…。
なまえの傷が癒えるまで、絶対に近寄らないでくださいね」
「はっ?」
傷が癒えるまでって何日だ。
近寄らないでって何センチまでなら近寄って良いんだ。
俺がなまえちゃん不足でおかしくなっても良いのか。
二人が立ち去った後、呆然と立ちつくしていると背後から肩を叩かれた。
振り返ると部下が哀れんだような眼差しを向けてきたので強がった。
「っ、悔しくなんかないからな」