風見パパになる
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今日は運動会。
赤組白組に別れて競技に参加し、順位によって得点が加算される…小学生が毎年欠かさずやってる行事だ。
私とコナン君は白組で、少年探偵団の四人は赤組。
色別に席が別れているため、今日は私に話しかけてくる人は風見とコナン君しかいない。実に気が楽だ。
…と、数秒前まで思っていた。
「おはよう。なまえちゃんの可愛い姿が見たくて仕事を休んで来ちゃった」
何で安室さんいるの。仕事休んで来ないでよ。
風見をちらりと見れば首を横に振って、自分は話してないと主張する。
じゃあコナン君が?と思ったが目を見開いて驚いてるし、コナン君ではない。
「毛利先生が依頼で来れないとの事で、代わりに僕が、ね…」
「安室さん、来なくていい」
「なまえちゃんのお弁当、楽しみだなあ」
「(人の話し聞いてないな)」
安室さんが隣で何か言ってるが無視してプログラム表を見る。
午前中出場するのは、かけっこだけだ。
目立つのは避けたいから、三位でゴールすればいいか…。
プログラム表を手提げ袋に入れたら背中を軽く叩かれた。
振り向くと風見が中腰になっていて、嬉しそうな顔で私を見ている。
これは…娘の活躍を期待しているに違いない。
「なまえ、狙うは一位ですよ」
「パパ…けどね」
「一位になったら、そうですね…。
家に帰ったら、いつもより長めに可愛がって甘やかす…どうですか?」
「私、頑張る」
いつもより長めに?
そんな事言われたら一位になるしかないでしょ。
そろそろ整列すると先生が一年生を列に並ばせて、花のアーチをくぐり行進。
一レースから五レースに割り当てられた場所に並び、自分の順番が来るまで待つ。
一緒の順番で走るコナン君が「なまえちゃん」と話しかけてきたので振り向いた。
「お互い頑張ろう」
「ん…。
けど、一位、譲らない」
「なまえちゃんはパパが好きなんだね」
「好き、大好き。
パパのキス、絶対欲しい。
だから…誰であろうと容赦しない」
「そ、そう…」
そうこう話している間に自分の順番がまわってきた。
一人は隣のクラスで足が速いと言われている子だ。まあ私には関係のない事だ。
パァン!とスターターピストルが鳴り走り出す。
真っ先にゴールテープを切ったのはもちろん私。
後ろを見れば、二位の子と半分距離が離れていた。
少し速く走りすぎたな…まあ、やっちゃったものは仕方ないか。
皆が走り終わり応援席に戻れば安室さんが両手を広げて私の名前を呼んで待っていた。
もちろん安室さんの胸に飛び込むつもりなんて微塵もない。
安室さんを無視して風見に寄れば、私を抱き上げておでこにキスしてくれた。
「どうして僕じゃなくて風見なんだ!」
「安室さん、やだ。
パパのキス、好き」
「風見以上になまえちゃんを気持ち良くさせる自信があるのに…っ」
安室さんが頭のおかしい発言をしている。もう放っておこう。
他の学年がいろいろと競技をやって午前中は終わった。お昼休憩の時間だ。
パパご飯食べようとズボンをくいっと引っ張れば、私を抱き上げて歩き出す。
「なまえちゃんのお弁当…!」
「待ってよ安室さんっ」
風見の後ろに安室さん、安室さんの後ろにコナン君が着いてくる。
そういえばこの学校は大人が弁当を持ってくる決まりだもんな。
安室さんがコナン君の弁当を持ってるから、コナン君は着いてくるしかないのか。
「なまえの応援席に行く前に、レジャーシートを敷いて正解でしたね」
「ん…パパ、ありがと。
おろしていいよ?」
「じゃあコナン君、僕達もここで食べようか」
「安室さん、二人の邪魔じゃ…」
「おじゃまします」
コナン君は本当に良いのかと迷っていたから手招きをする。
申し訳なさそうに眉を下げ、靴を脱いでレジャーシートに座った。
風見はカバンから除菌用のウェットティッシュ、私と風見の弁当箱を取り出す。
手をしっかり拭いて、風見が弁当箱の蓋を開ければ瞳を輝かせて「美味しそうですね!」と声をあげた。
「風見、弁当箱ごと交換しよう」
「いやですよ。
確かに安室さんの料理も美味しいですが、自分は弁当箱ごと交換する気はありません。
この弁当箱にはなまえの愛情がたくさんつまっているんですから」
「僕だって愛情弁当が食べたいんだ」
「渡しませんよ」
「よこせ風見、これは命令だ」
「いくら貴方の命令であっても、絶対に交換しません」
「いつもなまえちゃんの料理を食べてるだろう」
「いつもなまえの手作りお菓子を自分から強奪して半分も食べてるでしょう」
「それとこれは別だ」
この二人…いつまで言い合ってんだ。
コナン君は二人の会話に口だすと面倒だからと、自分の弁当を食べている。
二人のことは放っておいて食べても構わないが、いつまでも言われる風見がかわいそうだよな。
「安室さん」
「ん?なんだい」
「私の卵焼き、安室さんのサンドイッチ、こうかん、する?」
「なまえちゃん…!!」
箸で卵焼きを掴んで、安室さんの手のひらにのせようと「手、だして」と言えば風見に手首を掴まれる。
「安室さんにあげてはダメです。
以前、自分の弁当に入ってた卵焼きを盗んだくせに"甘過ぎ"と文句を言ってましたので」
「よけいなことを言うな風見!」
「よけいなこと?事実でしょう。
なので、安室さんに与えなくて良いですよ」
それじゃあ安室さんに渡さない方がいいな。
掴まれていた手首を離されて自由になった私は、風見の口に卵焼きを運んだ。
「パパ、あーん。
……どう、美味しい?」
「ええ、とっても美味しいです。
愛情が口いっぱいに広がって、とっても幸せです」
「パパ…!」
そんなこと言われたら、いっぱいキスして欲しくなっちゃう。
風見の膝に乗ってぎゅっと抱きついてキスのおねだりをしようとしたら、コナン君の咳払いで我に返った。
そういえばここは外だったな…。
「パパ。
帰ったら、いっぱい、可愛がって?」
「ええ。もちろんです」