風見パパになる
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それでは入りましょうか」
「ん…」
今日は三者面談。
担任の小林が教室の中から入って来てくださいと声をかけられたので、私とパパは椅子から立ち上がる。
教室の扉を開ければコナン君と保護者の毛利さんとすれ違う。
コナン君に頑張ってねと言われて、こくりと頷いた。
「では席にお掛けください」
「失礼します」
「しつれい、します」
パパと横並びに座ったらなまえはこっちですよと膝の上に乗せられる。
私が落ちないように腕を回してぎゅっと抱きしめた。
目の前に担任がいるのにお構い無しだ。
「あのー?」
「…話はまだですか?
早く始めないと後が詰まりますよ」
「そ、そうですね。
初めにお話する内容は…」
風見はああ言ってるけど、本当は早く終わらせてスーパーで夕飯の買い物したいだけだ。
担任は困惑しながら、普段の学校生活についてきりだした。
先生目線から見ると、コナン君が一方的に私に話していて友達関係が少し不安らしい。まあいつも私は相づちしかしてないからな。
「そうですか…。
まあ、なまえはあまり喋らない子なので。
嫌だったら嫌って本人に言いますから」
「コナン君、いやじゃない。
お話、きらいじゃない」
小学一年生は何で?とか、どうして?とかしつこく聞いてくるから凄く疲れる。
コナン君の同じ話(ホームズ)を何度も聞いている方が良いに決まってる。
「もう話はよろしいですか?
この後用事があるので手短にお願いします」
担任の顔がだんだん青ざめてきている。
もしやと思い、首を少し捻って風見の顔を伺ったら眼力がすごかった。
「後は勉強の事で…」
「悪い点数とって無いでしょう。
もう良いでしょうか。早くしないとあの人が……」
あの人とは安室さんのことだろうか。
今日はポアロで働いてるって昨日本人に確認したけど。
今ごろ料理中だから、ここに来るハズ無いのに。
「わ、分かりました。
それでは「失礼しました。なまえ、行きましょう」
言葉を遮って椅子から立ち上がり、教室の扉を閉めずに私を抱き上げたまま急いで愛車に向かう。
助手席に私を乗せてシートベルトを閉めたのを確認したらすぐに愛車を発進させた。
「はあ…遭遇せずに済んだな…」
「安室さんはポアロでしょ?」
「授業参観まで着いて来た人ですから、ポアロを早退して三者面談に乱入……自分の考えすぎでした」
スーパーの駐車場に停めて風見に片手で抱えられながら入口前までやって来た。
片手に私、もう片手にはスーパーのカゴを持って店内に入る。
今日の夕食は何がいいかな。
リクエストある?と訊いたら肉が食べたいと嬉しそうな顔をする。
「肉ね…それじゃあハンバーグは?チーズが入ったやつ」
「良いですね!
貴方が作ったのを想像しただけで美味しいって分かりますよ!」
「後はスパゲッティと野菜、家にじゃがいもあるからポテトフライ…お子さまランチっぽいね」
「お子さまランチ…!
ご飯はケチャップライスにいませんか?」
「良いよ」
「ありがとうございますっ」
三十才なのにお子さまランチのメニューで喜ぶってなんなの?ケチャップライスって子どもか。
ああもう、風見の笑顔がすごく可愛い。
だけど私を可愛がってくれる時はすごくカッコいいんだよなあ…。
買った物を袋に詰めて、さあ帰ろうと駐車場に向かったら愛車の前に見知った人物が立っていた。
せっかく少し遠いスーパーに来たのに、これじゃあ二人で夕食できない。
あわよくば「風見あーん」って味見してもらおうとしたのに…っ!
風見にどうするか訊いたら意を決したのか、ごくりと喉をならして安室さんに近寄った。
「風見さんの車を偶然見かけましてね…。
ここで逢ったのも何かの縁。一緒に夕食を頂いて良いですか?」
「なまえと二人きりで食事をしたいのですが…」
「へえ…。
なまえちゃんと一緒に食事ができないなら……風見の仕事を増やすしかないか」
「安室さん、パパ、いじめないでっ」
これ以上風見が仕事増えたら風見との時間が減っちゃう。
キスと可愛いがってくれる回数が少なくなったら寂しいよ。
「パパ…」
「自分もなまえとの時間を削られたくないので…。
安室さん、一緒に食事をしましょう」
「嬉しいなあ。
ありがとうございます」
こうなったら満足して帰ってもらうしかない。
私を助手席に座らせてシートベルトを締めると、風見は後部座席に買った食材を置きに行った。
その隙を狙って安室さんは風見が持っていた車のキーを奪って運転席に座りエンジンをかける。どうやら運転する気満々だ。
「ふる、安室さん!」
「早くシートベルトを締めてください。発進しますから。
ああそうそう、なまえちゃんを後部座席に座らせて…なんて考えはお見通しですからね」
動けないようにと安室さんは左手で私の手を掴んだ。
掴まれた手を激しく振って抵抗したら、私の事を可愛い可愛い言って嬉しそうに笑ってる。
そのまま片手運転を始めてしまったので大人しく座っていると掴まれていた手を離してくれて、ようやっと手が自由になった。
「なまえちゃんの手作り楽しみだなあ」
「…そう」
「ああけど、一緒に料理を作って新婚気分を味わうっていうのも…。
ねえ、なまえちゃんは僕と結婚、どうかな?」
「私、パパと、けっこんするの」
今は子どもだし、パパと結婚するって言っても平気だよね。
風見だって私の発言を何とも思って無いだろう。
ミラー越しにちらりと風見を見れば顔を赤くして手を口元を覆っている。
「おい、風見」
「す、すみません。嬉しくて、つい」
「言っておくけどなまえちゃんと風見は結婚できないからな」
「なまえと結婚できない事ぐらい分かっています。
けど名字さんと幸せな家庭を築「はあ?」いえ、何でもありませんっ」
幸せな家庭…。
そんな事言われたら嬉しすぎて、ミラー越しでも風見の顔が見れないよ。
赤くなった顔を隠すようにうつむいているとシートベルトを外されて安室さんに抱き上げられた。
どうやらもうセーフハウスに着いたようだ。
「…で、どうして顔が赤くなってるのかな?
風見は名字の話をしていたはずだよ。ねえなまえちゃん?」
「…あのね。けっこん、できない。
けどパパ、嬉しい、言ってくれた。
その言葉だけで、私も、嬉しい」
「そっか。
なまえちゃんはパパが好きなんだね」
「ん、パパ好き。
けっこんしない、けど、安室さんも好き」
私は降谷さんの事が好きだ。
まあ恋愛感情は全く無いが。
安室さんにウソはついて無いから平気だろう。
さっさと離してくれないかな…なんて心の中で思っていたら、ほっぺたをくっつけられて頬擦りされた。
「ああもう、キミって子は…!」
「やだっ!はなして!」
「照れ隠ししないでいいから、僕とたくさん触れあおうね」
「やだやだやだ!
顔近い!呼吸が荒い!近寄らないで!」
どうにかして安室さんから逃れようとしていたら、後部座席に座っていた風見が運転席側のドアを開けて私を救出してくれて、ぎゅっとしがみつけば頭を優しく撫でてくれた。
やっぱり風見の腕の中が一番おちつくな…。
「ほら、早く車から降りてください。
なまえが安室さんのために料理を作ってくれますよ」
「僕のため…。
そうですね、すぐに降ります」
本当は風見のために作るのに…まあ安室さんを納得させるためだからしょうがない。
風見は私を抱えながら後部座席に置きっぱなしだった食材入りの袋を手にとった。
安室さんが車内に置きっぱなしだったランドセルを持って車から降りる。
キーを返すとき両手が塞がっている風見に代わって私が受けとるとなぜか手を握られた。
「はあ…なまえちゃんの手のひらがふにふにしてて柔らかいなあ。
おしりと比べたらどっちの方が柔らかいかな?」
「安室さん。
うちの娘にいかがわしい発言をしないでください」