風見パパになる
名前
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「よし、できた」
今日の朝食も良くできたと思う。
そろそろ風見が起きてくる時間だ。
お皿に盛り付けてテーブルに並べたが、いつもの時間になっても部屋から出てこない。
寝坊だろうか。扉をノックしてから部屋に入れば風見はまだ布団の中にいた。
「風見おはよう。朝だよ、起きて」
「あさ、ですか…。
おはよう、ございます…」
いつもより口調がはっきりしてない。それに顔も赤い。
もしやと思いおでこを触ってみれば熱かった。
昨日までは何とも無かったはずなのに…。
私が寝た後なにやってたのか訊いたら、スマホゲームを夜中までやってたらしい。
「ゲームするのは良いけど限度を考えて。
風見が熱でたらキスできなくなっちゃうよ。完治するまでダメだからね」
この前安室さんが買ってきた熱冷ましシートの残りを取り出して風見のおでこに貼った。
「布団から出て洗面所まで行ける?
口の中バイ菌だからうがいしないと」
「起き上がる、だけなら…」
「分かった」
コップの中に水を汲んで桶も持ってきて風見にうがいするように言えば起き上がってうがいしてくれた。
空になったコップとうがいした水が入った桶を片付けて、学校に休む連絡とコナン君にパパが熱でたから安室さんに家に来ないよう伝えて欲しいとメールを打った。
「横になる?」
「いえ、朝食が…」
「ああ…別に良いよ。
朝と昼、同じの食べるから。お腹空いてる?」
「のどが…」
「ん、水持ってくる」
冷蔵庫に入ってる水だと冷たすぎるから、ヤカンで少しだけ温めよう。
ぬるいお湯をコップに注いで風見に持って行けば残さず飲んでくれた。
「朝ご飯食べてくるね」
「…はい」
「布団の中でじっとしててね」
朝ご飯を一人で食べたが何だかな…。
やっぱり風見と一緒にご飯食べた方が美味しく感じる。
残ったご飯とおかずはお皿に移しかえてサランラップをしてから冷蔵庫に入れた。
使った調理器具とお皿と箸を洗ってから、もう一度風見の部屋に入る。
「ね、風見。
この家に薬って置いてあるの?」
「……名前さん」
「…うん?」
「こっち、来てください」
名前で呼ばれたような…気のせいだろうか。
大人しく傍に寄れば、ぐいっと手を引っ張られて風見の布団の中に入れられる。
ぎゅうっと腕の中に閉じ込められて身動きがとれない。
「…あったかい」
「そりゃあ子供体温だから」
「貴方がいると…安心します…」
人肌が恋しいってやつかな?
大人しくじっとしてると、おでこにたくさんキスをしてきた。
キスはダメだって言ったのに。おでこを手でおさえると、手のひらにちゅっ…とキスをした。
「ちょっ、かざみ…!」
「はぁ…ていこう、するな…」
腕が離れたと思ったら、片手は私の腰を掴んで、もう片手は頭を抑えた。
風見がゆっくりと顔を近づけてきて、唇同士が触れる前に手のひらでガードする。
安室さんだったら蔑ろにできるが相手は風見だ。
気をしっかり持つように風見の肩を軽く叩く。
「風見っ、風見ってば」
「俺と接吻…いや、なのか」
「絶対寝ぼけてる!」
接吻したら私に熱が移るでしょ…!
手で顔を押し返すが離れてくれない。
どうしたもんかと困っているとピンポーンとチャイムが鳴った。
この気配は…安室さんだ。
大きな声で安室さんに助けを求めたらドアノブがガチャガチャと音がする。
バタバタと足音をたてて、勢い良く部屋の扉を開けて安室さんがやって来てくれた。
いつもは変態で迷惑でしかないが、今日の安室さんは頼もしく見える。
「なまえちゃん!!」
「安室さん…!」
安室さんは私を風見から引き離して抱きしめた。
それから風見の頭を結構な力でひっぱたいて「起きろ」と低い声を発する。
「降谷さん…?名字さん…?」
「誰と間違えているんだ。
僕は安室で、この子はなまえちゃんだろ」
「…ああ、そうでした。
名字さんに、接吻しようと……夢、だったんですね」
これ以上余計なことを喋らないで。
今の発言で安室さんの機嫌がものすごく悪くなったから。
「夢でもいいから…名字さんと、したかった…」
「風見さん…お休みなさい!!」
安室さんは風見のお腹を一発殴って、風見を気絶させた。
病人相手に容赦ない…しかも笑顔で殴ってた。恐すぎる。
「パパ…」
「大丈夫、ちゃんと加減したよ。
この部屋はバイ菌でいっぱいだから、僕と一緒に洗面所に行ってバイ菌とバイバイしてこようね」
それから手洗いうがい顔も洗って、パパが食べなかった朝食を食べるかと訊いたら満面の笑みで食べると答えた。
冷蔵庫から取り出して電子レンジで温め直した物をテーブルに置く。
お行儀よく両手を合わせていただきますをして、残さずキレイに食べてくれた。
「安室さん」
「んー?」
「どうして、来てくれたの?」
安室さんに風見の風邪が移らないようにコナン君にメールをしたのに。
使った食器を洗い終えた安室さんはタオルで手を拭いて私と同じ目線になるようにしゃがんだ。
「それはね、風見がなまえちゃんに何かするんじゃないかって嫌な予感がしたからだよ。
案の定風見は僕のなまえちゃんの…可愛い唇を奪おうとしていたから僕が来て良かったね」
私は安室さんのじゃないけどな。
ありがとうとお礼を言えば私の頭を優しく撫でた。