風見パパになる
名前
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「今日帰って来ないの?」
「ええ…少し遠出をすることになって」
「そう…」
一人だと心配なので安室さんを呼びますね。風見の言葉に首を縦に振った。
今日は日曜日。
学校は休みなので、玄関まで行って送り出す。
「ね、しゃがんで」
「…?はい」
袖を軽く引っ張れば大人しくしゃがんだので、私は風見の頬に口付けた。
「行ってらっしゃいパパ」
「~っ!
い、いってきます…!!」
手を振れば、風見は顔を赤らめながら手を振り返して家を出て行った。
玄関のカギを閉め、自室にある見られて困る物は、全て風見の部屋に隠しておいた。
私はイルカのぬいぐるみを抱き締めて床に座る。
…そういえば、安室さんはいつ来るのだろうか
昼?それとも夜?
どっちにしても安室さんが来るなら、機械いじりはできないな。
大人しく子供っぽい姿で待っていよう。
風見が出て行ってから時間が経ち、現在十二時過ぎ。
ピンポーンと呼び鈴が聞こえたので玄関へ向かう。
踏み台を使って覗き穴を見ると、安室さんの姿がある。
カギを開けてドアノブをひねり扉を開ければ、ポシェットとスーパーの袋を片手に私に笑顔を向けた。
「こんにちはなまえちゃん。今日はよろしくね」
「こんにちは、安室さん。
その、ポシェット……」
「うん、なまえちゃんから貰ったポシェット。
この中にスマホと財布が入っているんだ。
なまえちゃんイルカのぬいぐるみ…大事に持っていてくれたんだね」
「ん…。
お家、入って」
「うん、おじゃまします」
クツを揃えてキッチンに向かう安室さんの後を私は追う。
手洗いうがいを済ませた安室さんは、野菜と麺を取り出した。
「お昼と夜の食材を買って来たよ。
なまえちゃんは野菜室に残った野菜を入れてくれるかな?」
「…ん。
手伝うこと、ある?」
「そうだなあ…。
鍋と器、箸を用意してくれるかな?」
「お昼、ラーメン?」
「そう、当たり。
たまには良いかなって」
こうやって話している間にも、安室さんは手早く野菜を切っている。
用意した私はもうやることがないので、ぬいぐるみを抱えて大人しくイスに座って待った。
…しばらくすると良い匂いがしてきた。
「おまたせなまえちゃん」
ラーメンの入った器を持って来て私の目の前に置く。
ぬいぐるみに汁がはねたらイヤだから離れた場所に置いておこう。
部屋の隅にぬいぐるみを置いてイスに座ると、安室さんは自分の分をテーブルに置いて席に着いた。
「いただきます」
「…いただきます」
久しぶりのラーメンだ。
野菜も食べやすい大きさに切ってあるし、麺は程良い固さ。
スープの味は、薄くもなく濃くもない。
…文句のつけようがない。
「美味しい?」
「おいしい」
ラーメンを全て食べ終わり、ごちそうさまと言えば安室さんは器をさげた。
私は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、コップに注ぎ安室さんを横目で見た。
…うーん、安室さんが普通だ
二人きりだから、てっきり何かしてくるかと思ったけど…
視線を送りすぎたのか、安室さんはこちらを向いて首を傾げた。
「どうしたの?」
「べつに…」
「構って欲しいのかな?
もう少しで洗い終わるから、向こうで待っててね」
「ん…」
それから安室さんは、特に何かしてこなかった。