風見パパになる
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
安室さんに嫌われた
気持ち悪い気持ち悪いと本人に言ったせいで嫌われたのか。
それとも私のことは暇つぶし相手で、安室さんは私に飽きたから態度が変わった……?
「名字さん、ただいま帰りました」
「…おかえり風見」
風見に相談するか…。
けど、安室さんの関係を話したところで、風見が悩み事の種を増やすだけだ。
…大丈夫、演技は得意だ。
風見には相談しないで、いつも通り接していれば、心配かけることは無い。
ご飯とおかず、箸をテーブルに置いて、少し経つと風見がやって来てイスに座る。
「いただきます」
「…いただきます」
食べる気分では無いが、食べないと怪しまれる。
箸を手に持っておかずを取ろうと腕を伸ばしたら、私より先におかずを口に含んだ風見が、顔をしかめて口元を抑えた。
「っ、これは……」
「…どうしたの?」
「野菜炒めが…すごく甘い」
野菜炒めを口の中に運べば、口いっぱいに甘さがひろがる。
作るときに間違えて砂糖を入れたんだ。
これは…はっきり言って不味い。
「…ごめん風見。これ捨てるね……」
「捨てないでください。
多分、辛さを足せば食べられるはずですから。お願いできますか?」
「…ん」
野菜炒めをフライパンに戻して、豆板醤を入れる。
よく混ぜてからお皿に移しかえて、それをテーブルに再度置いた。
私は箸で野菜を一口分つかんで食べる。
…うん、今度は食べられる味になっている。
私が野菜を飲み込む姿を見て、風見は野菜炒めを恐る恐る口に含んだ。
「甘辛い…これなら食べられますね」
「…そうか。
けど、いつもの風見好みの味じゃないでしょ。ごめんね」
「いえ…貴女が謝ることでは……。
それにしても今日はどうしたんですか……?」
風見に心配かけないようにと思ったが、さっそく心配かけてしまった。
「…なんでも、ない」
「なんでもない訳ないでしょう。
気づいてないんですか?声を発する度に、いつもより一拍遅れているんですよ」
風見は席を立って私の近くに寄ると、私の目線に合わせてしゃがんで、優しくゆっくりと、頭を撫でた。
風見のぬくもりに触れると、押し込めていた感情が沸き上がって涙腺が緩みそうになる。顔を見られたくない私は、風見の胸板に顔を埋めた。
これはもう誤魔化しきれない…風見に順を追って説明する。
ここ最近の安室さんは、私に気持ち悪い発言や行動をしない。
コナン君とポアロに行って、帰るときに手を振ったら、安室さんは作り笑顔を向けられて手を振ってきた事。
「ああ…。
言われてみれば確かにおかしいような……」
「おかしい?」
「はい…。
何か我慢をしているのか、苛立っているのか分かりませんが、頭をかきむしっていました」
「へえ…降谷さんが。珍しい」
「もしかしたらストレスが溜まっていて…。
八つ当たりしないよう、安室さんは極力なまえに近づかないようにしているとか……」
風見の言葉にすごく説得力があるな。
そう言われれば、ここ最近の安室さんがおかしいのにも納得がいく。
そうか…そうなのか。
安室さんに嫌われていないのか。
私は、ほっと息を吐いてから離れた。
「元気になりました?」
「うん。
風見、ありがと」
席に戻って「食事の続きをしましょうか」卵焼きを箸でつかんで、口に入れた。
眉間にシワを寄せて、口をもごもごと動かす風見。
どうしたの?と訊けば、私に一言謝ってからこう言った。
「卵焼き…しょっぱい、です」
「風見…ごめん」