風見パパになる
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今日は花火大会が開催する日。
安室さんから「ポアロにお客さん来ないだろうから、遊びに来て欲しいな」と誘いを受けたので、今朝、風見にその事を伝えてポアロへやって来た。
店の扉を開ければFBIのアンドレキャメルが会計をしていて、店を出ていく姿を横目で見つつ、窓側の席に座る。
安室さんは一度外に出て、closeにひっくり返す。そんなこと勝手にして良いのか?
「今日は来てくれてありがとう。
なまえちゃんと一緒に花火がみたくてダメ元で誘ってみたけど、良かった」
「ん…」
「なまえちゃんが来る時間に合わせて料理を作ってみたんだ」
キッチンに戻ってお皿に盛りつけたらテーブルの上に置いた。
焼きそばとフランクフルト…良い匂い。
飲み物欲しいと言えば、お決まりのオレンジジュースがだされた。
「遠慮しないで食べてね、僕のおごりだよ」
「…安室さん」
「何だい?」
「食べたら、お腹いっぱい、なる」
「ああ…大丈夫だよ。
僕となまえちゃん…二人きりで食事をするから、風見は残業して一人寂しくコンビニ弁当食べてろ、って電話したから」
風見可哀想…。
家に帰ったら甘やかさないと拗ねちゃうな……。
「さてと…お腹空いたから食べようかな。いただきます」
「…いただきます」
わざわざ私の横に座った安室さんは、焼きそばを口に運んだ。
私も箸を手に取って、焼きそばを食べる。
……あれ、風見の舌に合わせて料理を作って食べてたせいか分からないが…少し味が薄いような気がする?まあ、不味くないから良いか
「なまえちゃん好みの味にしてみたけど、美味しい?」
「ん…」
「なまえちゃんが喜んでくれて良かった。
フランクフルトは僕が食べさせてあげるね」
「自分で、食べられる」
「僕がなまえちゃんに食べさせないと、買ってきた意味無いんだ」
「…?」
この普通より太めのフランクフルトに何の意味があるんだ。
僕のより細いけど、これしか無かったんだ。
安室さんは訳の分からない事を言って、棒付きのフランクフルトを口に突っ込んできた。
「んぅ…!」
「まずは先っぽをペロペロ舐めて…。
まだ、あぐあぐしたら、め。
我慢して、我慢して…我慢した分だけ良い気持ちになれるから、ね」
熱のこもった瞳で、じっと見つめられる。
口から吐きだそうにも、安室さんが私の頭を手で押さえていて身動きがとれない。
良い気持ちじゃねえよ、息が苦しいっつーの!
私はフランクフルトに刺さっている棒ごと噛み砕く。
口から割れた棒を取り出してテーブルに置いた後、安室さんをキッと睨み付けた。
「…帰る」
「ごめんねなまえちゃん。
もう無理矢理食べさせないから、ね?
普通に食べて、一緒に花火見よう?」
「本当?」
「うん、ほんと」
「仕方ない…一緒、見る」
ほっと息を吐いた安室さんは、残りのフランクフルトをお皿に置いた。
私はそれを手にとって、自分のペースで食べ進む。
途中までしか食べていない焼きそばも食べ終わって、安室さんに飲み終えたグラス、箸とお皿と割れた棒を渡せば、食器を洗ってくると席をたった。
「はぁ…」
ようやっと安室さんが退いてくれた…。
肩が触れ合うくらい近くに寄って来て、正直息苦しかった。
窓越しから花火を見るためにクツを脱いで逆向きに座っていたら、食器を洗い終えた安室さんが戻って来て、私を腕の中に閉じこめるように抱き上げる。
「なまえちゃん、抱っこするね」
「…ん」
「………」
「………」
…いつもぺらぺら喋る安室さんが三十秒も黙ってる。
どうしたんだろう、気味が悪いな…。
心の中で思っていると、安室さんが顔をさらに近づけてきた。
……何かイヤな予感がする。
降ろしてもらおうと口を開いた瞬間。
「ふぅー」
「ひぁ…!」
「ああ、反応可愛い…。
もっとしたくなっちゃうな」
「や、やめ…っ」
「ふーっ、ふーっ」
耳に息を吹きかけられ、ぶつぶつと鳥肌がたった。
懐にしまってある警棒でぶん殴りたいが、安室さんに腕の動きを封じられて動けない。
けど、足は自由で動けるから股間を蹴りあげることはできる。
そう思ったが、耳たぶをぱくっと食べれて、蹴る事は叶わなかった。
ふにゃりと力が抜けた私にお構い無く、安室さんは耳たぶをもぐもぐする。
「おいしい、はむっ…おいしいよ、なまえちゃん」
「やぁ…っ」
「なまえちゃんの、はぁ…お耳の中は、どんな味かな……?」
「も、やめ…」
「いただきます」
くちゅ、くちゅ、くちゅ。耳に聞こえるイヤな音。
ヤメテと言う度に、安室さんの舌が耳穴の奥まで入り込む。
こんなの小学生にする行為じゃないだろ。
絶対おかしい。安室さんの頭イカれてやがる。
気持ち悪くて目から涙がでてきた。
ああもう、だめ…。自分だと、このド変態は手に負えない。
「パパぁ…。
パパっ、たすけ…て」
この場にいない風見パパに助けを求めれば、安室さんの動きがピタリと止まった。
あれ…もしかして?
泣きながら風見パパに何度も助けを求めれば、安室さんは腕の力が弱まった。
その隙に腕からするりと抜けて着地する。
懐から警棒を取り出して、安室さんの股間めがけてぶん殴ろうと振りかざした時、ふと風見に言われた言葉を思い出した。
━━なまえが安室さんを傷つけるのはよくありませんよ
安室さんを殴ったら、風見との約束を破ることになる。
殴りたい衝動を押さえて、警棒を懐へしまった。風見の悲しむ顔は…見たくないから。
「………」
「…なまえちゃん?」
「殴ろうとした…けど、やめた。
安室さん、一緒に花火、みる。
だから…私がイヤがること、しないで」
「イヤ、か…。そっか。
ごめんね、調子に乗り過ぎちゃって、つい…。
抱っこだけなら…良いかな?」
「ん…」
再び安室さんに抱えられて窓の外を見てれば、ドォンと大きな花火が上がった。
「上がった…」
「キレイだね、なまえちゃん」
安室さんと一緒に見ているが、脳裏に焼き付いている…毎年アイツと見ていた花火を思い浮かべてしまう。
もう、この世にはいない……。
「じゃあな名前…幸せになれよ」
まさかアイツ以外の奴と花火を見るなんて、思いもしなかった。
しかも…よりによってド変態安室さん。
私に嫌がらせばっかりしている相手と、まさかこんな形で見ることになるなんて、な。
安室さんは花火をキレイだと言ったが、私には儚くみえる。
上がっては消えゆく花火を見て、腹立つ奴だけど降谷さんは…。
「消えないで欲しい…」
「えっ…?」
「この世から、消えないで」
腹立つけど、降谷さんは大切な人だから。
アイツみたいに、私を置いて消えないで。
服の裾をきゅっと掴めば肯定も否定もせず、降谷さんは悲しそうに笑った。