風見パパになる
名前
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「いいですか。
知らない人について行ってはだめですよ。
携帯はちゃんと持ってますか。
ちゃんと寄り道せずに帰って来るんですよ。それから…」
「分かった、分かったから!
それじゃあ行ってきます。パパお仕事頑張って」
「…っ、はい!」
早く仕事場に向かってくれ風見。
私に構う暇があるなら、国のために働いてくれ。
ランドセルを背負い、スケボーを片手に車からひょいと降りた。
あれから偽造した戸籍と小学校の手続きを済ました。
まさか二十九歳で、もう一度小学校に通うなんて誰が想像しただろう。
三十手前で子供達と溶け込んで生活なんて考えただけでも嫌気。
職員室に行けば、一人の女が駆け寄ってきた。
担任の苗字は小林。
名前を呼ばれたら扉を開けて入って来てね、と言われた。
「か、風見なまえ、です。
よろしくお願いします」
頭を下げれば拍手が。
耳をすませば、可愛いなんて言葉があちこちから聞こえてくる。
緊張した声色にしてみたが、どうやら悪くないようだ。
上から目線で喋ったら、確実に嫌われるからな。
「席は江戸川君の隣ね」
「えどがわくん…?」
「あのメガネをかけている子。
江戸川君、手をあげてくれるかな」
「はーい」
江戸川コナンの事は知っているが、初対面のフリをしないと怪しまれるからな。
よろしくと言えば、こちらこそ。と人懐っこい笑みを浮かべた。まあよくできた演技だな。
休み時間になれば、どっから来たとか趣味とか散々聞かれた。
困ったフリをして、江戸川コナンの服の裾をぎゅっと握ったら、子供達を追っ払ってくれた。
「ありがとう、江戸川君」
「困っている時はお互い様。
あとさ、コナンって呼んでいいよ。江戸川君じゃ呼びづらいだろ?
風見さんも名前で呼んでいい?」
「好きに呼んでいいよ…コナン、くん」
さらっと名前呼びをさせるコナン君…さすがとしかいいようがない。
「あーっコナン君ずるーい!
歩美も風見さんと友達になりたい!!」
「そうですよ!」
「ずりーぞコナン!」
歩美も風見さんと友達に?
も、って事は私いつの間にかコナン君と友達になってたの?
「おめーら、あんまり騒ぐなよ。
なまえちゃんが困ってるだろ」
そうだそうだ。もっと言ってくれ。
そして私に必要以上構わないでくれ。
「吉田歩美!この子は灰原哀ちゃん!
よろしくねなまえちゃん」
「よろ、しく」
歩美ちゃんに続いて光彦、元太と二人とも自己紹介する。
どうやら五人で少年探偵団というのを結成しているらしく、なまえちゃんも入ろうと三人がごり押してきた。
正直、子供のごっこ遊びに付き合ってられない。
けどここで断れば、確実に悪者扱いされる。私にはyesしか選択肢はないんだ。
「私なんかで、良かったら…。
誘ってくれて、嬉しい、ありがと」
家を特定されたら、たまったもんじゃない。
発信機付きの探偵バッジを勧められたがさすがに断った。
風見…小学生って面倒臭いな