風見パパになる
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目覚まし時計が鳴ったので止めて、布団から起きる。
…頭がぼーっとする
立ち上がると身体がふらつくが、身支度を済ませて朝食を作らないと。
包丁を使おうと手に取ったが力が入らず、包丁を落としてしまった。
「あ…刃こぼれした。
風見に、あやまらないと……」
包丁を拾えないからその場を離れて、悪いと思ったが寝息をたてている風見を起こした。
「名字、さん…?
おはよう、ございます……」
「風見、おはよう…。
ごめん……包丁、ダメになった。片付けて、欲しい。朝食、つくれない……」
「包丁なんてまた買えば良いですよ。
それより怪我はありませんか?」
「……ん」
風見が私の身体をぺたぺた触って、怪我が無いか確認する。
手が冷たくて気持ち良い…
力が抜けて、その場にぺたんと座り込む。
眉間にシワを寄せた風見は、大きな手のひらで私のおでこを触れた。
「喋り方おかしい、手足の体温が熱い。
もしやと思い、おでこを触れば…名字さん、熱があるでしょう」
「熱…?
そんなの、ない…」
「では体温を計りましょう」
体温計を手渡されて、脇に挟んでじっと待つ。
風見がシャツに着替えて、手洗いうがい顔洗い、包丁の後片付けを済ませて部屋に戻って来る。
ピピピッと鳴った体温計を脇から抜き取って、風見に渡した。
「三十八度…高熱じゃないですか。
これでも熱が無いと言い張りますか?」
「…ねつ、ある」
「パジャマに着替えて、布団に入ってください」
「きがえ、させて…?」
「分かりました」
熱だと自覚すると、力が入らない。
だっこしてとお願いすれば、風見は抱き上げて私の寝室に向かった。
数分前に着替えた服を脱がして、パジャマに着替えさせてもらう。
布団の中に入った私の頭を優しく撫でて、風見は悪くないのに謝った。
「すみません。
そろそろ行かないと…」
「ひとりで、だいじょうぶ。
こどもじゃ、ない…」
「見た目は子供でしょう。
…後で看病する人が来ますので、その人に何でもお願いして甘えてください」
「ん…いって、らっしゃい」
「行ってきます」
バタン、と扉が閉まる。
とりあえず看病する人を、布団の中でじっと待ってよう。
…三十分くらい経っただろうか。
がちゃりと玄関のカギが開く音がして、この部屋に足音が近づいて来た。
ドアノブが捻られ扉が開くと、レジ袋を片手に持った安室さんが、寝ている私の横に座った。
「あむろさ…しごと……」
「なまえちゃんの看病しますって言って、ポアロはお休みしたから…。
なまえちゃんのパパが帰ってくるまで、僕が看病するね」
風見…何で安室さんを連れて来たんだ。
お願いしてお甘えるって…安室さんに?
いや、安室さんをこきつかえるなんて最高じゃないか…?
…と思っていると、安室さんは私の前髪をかき分けて、ぺたっと額にひんやりした物を貼られる。熱冷ましシートか。
「冷たくて気持ち良いかな?」
「ん…。
のみもの、ほしい」
「分かった。持ってくるね」
安室さんは冷蔵庫に入っているミネラルウォーターを、私のコップに注いで持ってきた。
はいっと渡されるが持てず、安室さんのズボンにこぼしてしまった。
「ごめんな、さい」
「謝らなくていいよ。
僕こそ、一人でコップを持たせようとしてゴメンね」
そのうち乾くからと安室さんは言うが、かかった場所が悪い。
安室さん…
テント張ってる
「パパのズボン、はく?」
「大丈夫だよ」
私が大丈夫じゃねえよ
何で水がかかってテント張るの?
冷たくて気持ち良くってたったの?
それとも私が気付かなかっただけで、この部屋に入った瞬間からなってたの?
…口にだして訊くのが怖いから、黙っておこう。