風見パパになる
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
皆と別れた後の下校中。
今はコナンくんと二人きり。
今日も相変わらずホームズの話を嬉しそうに語ってくる。
コナンくんが一方的に話して、私が相槌を打っていると、ポアロの前までたどり着いた。
コナンくんは話し足りない顔をしているので、ポアロに入ろうかと提案すれば目を輝かせた。
扉を開ければ安室さんの彼女の榎本梓が近寄って、私達の目線に合わせて中腰になる。
「いらっしゃいませ。
コナンくんとなまえちゃんはデートの帰りかな?」
「ち、違うよ!
オレンジジュース二つね!」
…コナンくん、顔が少し赤くなってる
だからからかわれるんだよ
早く座ろうと手を引かれて持っていたスケボーを立て掛け、カウンター席に座る。
こほんと咳払いをして、さっきの続きを語り始めた。
注文してから数分経つと奥からオレンジジュースの入ったグラスを二つ持った安室さんが現れた。
テーブルにグラスを置くと、あいさつをしてきたので一応返事をする。
「なまえちゃんに会いたいと思っていたんだ。
実は渡したい物があってね…ちょっと待っててくれるかな?」
一旦奥に戻って再び安室さんがやって来た。手には何か持っている。
はいっとテーブルの上に置かれた雑貨屋の袋を見ると、風見とあの時見かけた光景を思いだす。
「あの時、謝ったけど…。
お詫びに渡したくて。気に入れば良いけど…」
「いらない」
「えっ」
「いらない」
安室さんは袋を手に取って私に差し出すが、いらないと突っ返す。
それでもぐいぐい押し付けてくるので、腹が立った私はその袋を地面に払い落とした。
「いらないっ」
「なまえちゃん…。
どうして受け取ってくれないのかな?」
払い落とした物を拾って私に渡してくるから、警棒を安室さんの喉元に向ける。
「しつこい…。
あんまり、しつこいなら…気絶させる」
警棒を突き出すと、安室さんはするりとかわした。
避けられた…チッと舌打ちをしてイスをバネにして安室さんに飛びかかる。
降り下ろした警棒は近くにあったトレイで受けとめられた。
「もしもし風見、今すぐポア「させない」
安室さんは攻撃を避けながら、ポケットからスマホを取り出して風見を呼び出した。
そうはさせないとスマホ弾き飛ばして破壊する。
自分一人じゃ手に終えないからって、風見頼りか。
どうしてアンタに敵意を向けているのか分からないのか。
何十分攻撃を繰り返して避けられたか分からない。
だが、ドアベルが鳴って私の名前を呼ぶ声が耳に入るので、一瞬視線をそっちに向ければ額に汗をたらした風見がいた。
風見が来たが、お構い無しに攻撃をする。
だけどコイツと私の間に風見が割って入って、風見に怪我をさせないようにと動きを止めた。
「なまえ、やめましょう」
「だって…」
「なまえが安室さんを傷つけるのはよくありませんよ」
私を抱き上げて、あやすように頭をゆっくりと撫でるから、風見の胸板に顔を埋める。
風見の匂いをすんすんと嗅げば、落ち着いてきた。
安室さんに一発くらわすことに夢中で、演技を忘れていたな…。
「ねえねえ、なまえちゃんのお父さん」
「きみは…。
コナンくん、だったか」
「安室さん、なまえちゃんにプレゼントを渡そうとしたら突然怒ったんだ。
何か心当たりない?」
これは…風見が呟いたと言う事は、私と同じ事を思ったのだろう。
女とのデートついでに買った物だと。
「安室さん…。
歯を食い縛ってください」
拳を振りかざす音がした。
安室さんは風見に殴られて、テーブルかイスに倒れたのだろう。顔は風見の胸板に埋めたままで分からないが。
「あらかじめ言いましたよ。
なまえが安室さんを傷つけるのはよくありません、と。
自分が貴方を殴らないと言ってませんから。
よくもまあ…そこの女性と逢引きしたついでに、なまえにプレゼント買って渡そうとしますね」
「見られていたんですね…。
あれは、僕が梓さんにプレゼント選びに付き合って欲しいと頼んで…デートではありません」
「他の女性と一緒に選んだプレゼントを、なまえが貰って喜ぶと思っているのですか?
ここまで言っても理解しないのなら━━なまえに今後一切関わらないで頂きたい」
風見の声色は普段とまるで違う。
とても冷えきっていて、別人のようで…。
ぶるりと身震いをして、風見のシャツをぎゅっと掴んだ。
「パパ…」
「ああ…なまえを恐がらせてしまいましたか、すみません。」
ここ最近の安室透はなまえに対して態度が気持ち悪いくらいおかしい。
正直、安室透と会いたくないくらいだ。
私としては、このまま安室透が退いてくれれば願ったり叶ったりなんだが…。
なまえがお世話になりました。
そう言って風見は財布からお札を数枚抜き取ってテーブルに置く。
スケボーを片手に、片手に私を抱いたまま出入口に向かう。
カランと扉の開く音がして生ぬるい風があたった。
「…パパ、お仕事大丈夫?
ここに急いで来たでしょ?」
「ああ…大丈夫です。
仕事は他の部下に任せて、早退すると伝えましたから」
停めてあった車に乗り、シートベルトを締めて車を発進させた。
「それにしても…。
よくアイツを殴ったな。そこまですると思わなかった」
「なまえの機嫌を害する、あの人が許せなかった。ただ、それだけですよ」
「ただそれだけ、それだけか…ふふっ」
私って風見に大切にされてるなぁ。
思わず笑みが零れると、風見が横目でちらりとこちらを見た。
「ありがとうパパ、大好き」