風見パパになる
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「どこ行きますか?
遊園地でも映画館でもいいですよ。
なまえの行きたい場所を教えて下さい」
「それじゃあ…。
映画がいい。観たいのがあるんだ」
分かりましたと風見は返事をして、場所に向かった。
車を停めて、映画館にあるチケット購入する機械の前までやって来た。
どれにしますか?
風見は私を抱えながら訊いてきたので、コレ、とタッチパネルを押す。
「座席どうするの?」
「端でいいですか?
この身長だと後ろの人が見えずらいんです」
「分かった」
「なまえがスクリーン見えずらかったら、膝に乗せて観せてあげますよ」
「ん…」
端の座席を二つタッチして、子供と大人を一枚ずつ買って、風見は現金を入れる。
チケットを渡して館内に入って座席に座る。
映画は国民的アニメ、ポシェットモンスター。
実は毎年一人で観に行っている。
今年はどうするかと悩んでいたが、風見パパのおかげで観ることごできた。
映画が始まって、後半になると隣から鼻をすする音が聞こえる。
…気になって映画に集中できない。
エンドロールが終わり、照明がついたので、隣を見たら風見が鼻水を一生懸命すすっていた。瞳も少し赤くなっている。
「…パパ」
「す、すみませんっ。
ポシェモンを主人公が暖める場面から、とまらなくて…!
この映画、何度感動させるのですかっ」
「パパ、ちーんして」
ポケットティッシュを取り出して、風見の鼻にあてれば言われるがまま鼻をかむ。
これじゃあ、どっちが子供か分からないな。
まあこれが風見の良い所の一つなんだが。
使ったティッシュはビニール袋にでも入れておいて、家に帰ったら捨てよう。
映画館を出て、どこに行きますかと聞かれた。
「とりあえずトイレ行きたい」
「分かりました。待っていますね」
トイレに入れば私以外、人がいない。
いつもは一人くらいいるのにな。
用を済ませて、手を洗ってトイレから出れば風見が壁に寄りかかって待っていた。
風見に駆け寄ろうとしたが、ぴたりとその場に止まった。
この嫌なニオイは…。
風見は私の元へやって来て、ひょいと抱き上げる。
風見の腕を軽く叩いて、下の階に行くように命じた。
困惑しながらも、私の言うことをきちんと聞いてくれる。
「あの場所から、わずかに嫌なニオイがしたんだ」
「……?
自分はキャラメルポップコーンの匂いがしましたけど…」
「確かにそうだけど。
安室透のニオイがしたんだ。
何ていうかその…腹立つニオイ?」
「何ですかそれ……」
「…見えた。
パパ、そこの物陰に隠れて」
これ以上近づいたらバレるからな。
ここから様子を窺えば、ポアロの梓と二人で雑貨屋にいる。
小物を手に取って、二人で見つめ合い笑っている。
何を話しているかまでは分からないが男女で二人きり。
つまりは…デート。
「あの女性は…?」
「ポアロの店員。
パパ、あの二人どう見える?」
「逢引き…ですかね」
「そうだね。
バイト仲間の奴と休日に待ち合わせして、会おうとは思わない。私だったら」
「自分も特別な人以外、休日に会って出掛けたいと思いませんし…」
「でしょ?」
なまえちゃんは特別とか、結婚しようとか言っておいて、他の女とデートかよ。
いや、あいつのことだ。
彼女の七人や八人いるな。
きっとその日の気分によって彼女を選んでいるに違いない。
やっぱりもてる男は、やることが違うな。
「パパはアイツみたいに、女遊びが派手な男にならないでね」
「なりませんよ。
…自分は、貴女一筋ですから」
アイツがいることが確認できたから、さっさとこの場から離れないと。
これ以上ここに留まっていたら、見つかる可能性がある。
仮に見つかったとしたら、隣に女がいるのに、ねっとりとした視線で私に話しかけるに違いない。
風見には悪いが映画を観終わったことだし今日は帰ろう。
「スーパーに寄って、お昼と夜の食材買って帰る」
「そうですね。
安室さんに見つかって話しかけられて、なまえとの時間を邪魔されたくありませんし」
今日のお昼と夜御飯何がいい?
パパのリクエスト通りに作るよ
私が笑って質問すれば風見パパは、お昼はオムライス。夜はなまえの好きな食べ物と答えた。
「オムライスって…ふふっ。子供みたい。
良いよ。愛情たーぷりこめて作ってあげる」
ケチャップでハートマークをかけば喜んでくれるかな
風見が嬉しそうな表情を想像するだけで、こっちまで嬉しくなる
…やっぱり、私は風見といるのが一番好きだなぁ。