風見パパになる
名前
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適当にテレビの番組を切り替えていたらデートスポット特集がやっていた。
風見があっ…と小さく反応をしていたので観たいのだろう。
画面をそのままにしておくと、水族館やら遊園地やらが映しだされる。
「風見…デートしたいのか?」
それとも以前付き合っていた彼女との思い出の場所が映ったのだろうか。
なんて考えていたら、興味ありますと返事をされた。
「興味?
彼女と行った事がないのか?」
「彼女…!?
そ、そんな、自分はそういう経験はありませんよ」
「へえ…。
じゃあ私と同じだな。
生まれて一度も彼氏なんて居たこと無い」
「えっ?」
「えっ?」
何だそのはとが豆鉄砲くらったような顔は。そんなに意外だったのか。
風見は彼女がいた経験はあるとてっきり思っていたが…まさかのゼロ人。
風見は顔はそこそこ良いし、性格悪くないと思うんだけどな。
ちなみに警察学校時代の時、降谷さんと同じような話をしていて「付き合った経験ないのか。はっ、お子様だな」と笑われたので、蹴りをお見舞いした事がある。
しょうがないだろ。幼い頃からずっと、あいつと共に行動ばかりしていたんだから。
降谷さんは性格が悪い。
他の女の前では良い顔するくせに、私の前だと悪魔のような性格になるんだ。
「…風見が嫌じゃなければデートする?」
「えっ!?」
「実は…元に戻る薬できあがっているんだ」
「聞いてませんよ!」
「初めて言ったからな。
幼児化する薬もできている。
まあ、デートの時だけ大人の姿に戻って、また子供の姿に戻るとなると身体が辛くてな。
まあけど、風見のためだったら……」
風見は私の手を掴んで、首を横に振った。
名字さんが負担になるならやめましょう、と。
「確かに名字さんと逢引きしたい…。
ですが、名字さんが辛い思いしてまでしたいと思いません。
だからその……なまえとはダメですか」
「風見……」
逢引きって…江戸時代かよ
「デートというより、家族と出掛けている図になるけど…。
まあ風見がそれでいいなら、いいけど」
「ありがとうございます」
風見が嬉しそうに笑うから、こっちまで嬉しくなる。
…やっぱり、生きているって良いなぁ。
あの時あのまま死んでいたら、風見と一緒に生活して、風見の笑顔を見ることが無かったんだから。
ベルモットには感謝している。いつか会うことがあったら、礼を言いたいくらいだ。
「善は急げ、ですよ。
行きましょうなまえ」
「そうだねパパ。
いや、デートだから……」
「なまえ…?」
「裕也」
デートだから名前で呼んでみたんだが…。
風見は、名前呼びはやめてくださいと大声をだした。
名前を呼ばれるのは嫌だったのか…怒るほど私に名前を呼ばれたくなかったのか。
眉尻を下げてごめんと謝れば、謝らないでください、と。風見は私の頬をするりと撫でた。
「いきなり大声をだしてすみません…。怒っている訳ではありません。
自分には、その、刺激が強すぎて……。
と、とにかく、外ではいつも通りパパ呼びで良いです」
「そうか」
風見がそう言うなら良いんだろう。
外出する支度をして、車に乗り込んだ。
どこに向かうかは車の中で決めよう。
まあ、風見パパと一緒ならどこだって楽しいけど、な。