風見パパになる
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久しぶりに風見と一緒にお風呂に入った。
だけど過保護なパパは、ケガが悪化すると困るので、と言ってパパの頭と身体を洗わせてくれなかった。
いつものようにドライヤーで髪を乾かしてもらって、冷凍庫からアイスを取り出す。
一緒に食べましょうと笑顔で言う風見に待ったをかける。
「半分、イヤ。
アイス、みっつ食べたい」
「ぅぐ…!
か、可愛い顔しておねだりはズルいですよ…」
「パパ…おねがい?」
瞳を潤ませて上目遣いをすれば、風見パパはちょろいから何でもお願いを聞いてくれる…はずだった。
「だ、だめですっ」
「えっ」
「いくら可愛いなまえの頼みでも聞けません。
いつも通り半分だけですよ」
「何でなんで!
ずーっとアイス食べてなかったんだよ!みっつくらい良いじゃん!」
「だめです」
「じゃあふたつ!」
「だめです」
「ひとつ!」
「だめです!
だいたい、その痛めた手でどう食べるんですか。
大人しく自分と仲良く半分食べましょう」
確かに風見の言うとおりだ。
安室さんにやられたせいで、風見は大袈裟に包帯をぐるぐる巻きにして、手が動かしにくい状態だ。
もしかして、私が駄々っ子すると予想して、わざとぐるぐる巻きにしたのか…?
カップアイスの半分をお皿に取り分けて、半分残ったカップの方は冷凍庫にしまった。
お皿にのっているアイスをスプーンで掬って、私の口元へ運んだ。
「なまえ、あーんしてください」
「…ん」
「どうですか?」
「おいしい」
私のペースに合わせて食べさせてくれる風見パパ。
私は食べ終わって、ごちそうさまと言えば風見は満足気な表情だ。
冷凍庫から残り半分のアイスを取り出して、私の使ったスプーンで食べようとした。そこに再び私は待ったをかける。
「どうしたんですか?」
「パパに食べさせたい」
「えっ?」
「片手なら使える。
パパが容器を持って、私がスプーンで食べさせてあげる、ね?」
「んんっ…なまえが可愛すぎる…!
それでは、ぜひお願いします」
目を瞑って口を開けてアイスを待っている風見の顔が年相応に見えなくて、少しだけ可愛い。
降谷さんがやったら、あざといな童顔野郎が、と思うが。
可愛いと思ったことは口にだして言わずに、アイスをのっけたスプーンを口へ突っ込んだ。
「おいしい?」
「なまえが食べさせてくれると、美味しさが倍増します」
「はいはい、パパはなまえが本当に好きだねー」
「なまえのこと好きですよ。
もちろん名字さんも好きです」
「ふーん……ん?」
今、私を好きって言った?
なまえは分かるけど、元の私も好きなの?
さらっと答えたから特に深い意味は無いのか…?
食べ終わりゴミを捨てて歯を磨く。
いつもだったら互いの部屋に向かう所だが、風見は私を抱き上げて寝室へ向かう。
「今日は一緒の布団で寝ましょう」
「どうして?」
「ずっと会えなくて疲れが溜まっているんです。
なまえで癒されて疲れをとりたい…」
メガネを外して布団の中に入ると、私を引き寄せて優しく抱き締めた。
五分くらい経つと満足したのか、ゆっくりと離れる。
「もういいの?」
「本当はずっとこうしていたいですが…そろそろ寝ましょう」
そういえば風見は寝相が悪いのだろうか。
もしそうだったら潰されかねない。
一応本人に訊くと、大丈夫ですと自信ありげに答える。だけどなぁ…少し心配だ。
以前。
徹夜続きで始末書をデスクワークで作成していた時、風見は半分寝かけていて、イスから落っこちそうになったのを受け止めた事がある。
その事を伝えれば照れくさそうに頬を掻いた。
「大丈夫です。
今回は布団なので、落っこちる心配はありませんよ」
「うーん、まあ、そうか…」
「欲を言うと、寝る時に手を繋ぎたいんですが…」
「別に良いよ」
「ありがとうございます!」
子供と手を繋いで寝るのに憧れていたんです。
嬉しそうに話す風見を見ると、こっちまで嬉しくなる。
割れ物を扱うかのように、そっと私の手を握る。
握り返せば風見はきゅっと喉を鳴らした。
緊張しているのか何なのか、風見の手が汗ばんできた。
「パパ…ベタベタする」
「す、すいません!
やっぱり手を離します」
「いや、離れなくて良いよ。
…パパとくっついていたい、から」
「なまえが甘えた…!
ちょっと顔を見せてください」
「いやだっ」
これ以上は会話する気はないという意味で、風見の胸板に顔を埋めた。
お休みと言えば、風見は空いている片手で私の頭を優しく撫でる。
一定のリズムで撫でるもんだから、さっきまであまり眠く無かったのに、睡魔が襲ってくる。
まだ風見にお休みと言われてないのに……私の意識はここでおちた。
「お休みなさい…名前、さん」