風見パパになる
名前
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「その荷物…家出だろう。
居候している身だが、どうだ?
俺と一緒に工藤邸へ住まないか?」
「…住む」
「決まりだな」
沖田昴の後を着いて行って、工藤邸に着けばスリッパをだされて大人しく履いた。
手洗いうがいをしたいんだが。
そう言うと、こっちだと案内される。
「俺は赤井の方になるから、ソファで大人しく座って待っていてくれ」
「待て」
「どうした?」
「…届かない。
一人じゃできない」
「ふっ…。
そうだった、キミの身長だと届かないな。
まあ、そう怒るな。いま抱き上げてやるから」
片腕で私を抱き上げて、手洗い場の前に立った。
蛇口を捻って、手洗いうがいを済ませる。
ああ本当、嫌みな奴だな。赤井秀一は。
風見だったら鼻で笑う、なんてしないのに。
私を降ろすと待ってろと言ってその場を立ち去った。
手と口をハンカチで拭いてソファに座って赤井秀一を待つ。
しばらくすると、赤井秀一の姿に戻ってやって来た。
「飲み物は何がお好みかな?」
「アンタの事じゃ、酒しか置いてないだろ。
わざわざ聞くな…水でいい」
赤井秀一はコップを手にとって、水道水を注いで目の前に置いた。
水で良いと言ったのは自分だが、普通水道水を飲ませるか?
冷蔵庫にミネラルウォーターは入ってないのか。
思わず眉をひそめたら「ああ、これを忘れていたよ」赤井秀一はコップの中に氷を入れた。そうじゃないだろ。
だされた水道水を飲むが、やはりおいしくは無いな。
「それで?
家出の理由は何かな?名字くん」
「名字じゃない。
この姿では風見なまえだ。
家出の理由は…その居候させてもらっている相手に彼女ができた」
「ほぉ…その根拠は?」
「四日間も帰って来ない。
それに…街中で腕を組んでいる姿を見かけた」
「任務とかではないのか?」と訊いてきたので「その人はハニートラップが下手なんだ。すぐにばれる」と伝えれば「それじゃあ黒だな」赤井秀一は再び鼻で笑った。
「私がいたら邪魔になると思った」
「だから家出、か」
「そうだよ…頼みがある赤井秀一。
元の姿に戻ったら生活費や飲食代は全て払う。だから、後払いでいいか?
信用できならいなら契約書を書いたっていい」
「契約書なんていらないさ。
もちろん金は払わなくて良い。金銭面に困ってないからな」
さすがFBI、高給取りは違うな。
「夕食は好きに作ってくれ」赤井秀一はタバコとライターを持って寝室であろう部屋に向かった。
…つまりは、金を払わなくていいから料理を作れってことか?
それは構わないが…なあ、この身長だと届かないんだよ。
小走りして、赤井秀一の後を追う。
赤井秀一を呼べば、立ち止まって振り返る。
「踏み台が欲しい」
「踏み台?」
「料理をしようにも、届かないんだ」
「ああ…そうだった。
さっきも持ち上げてやったんだな。
少し待っていてくれ、電話をかけるから」
スマホを取り出して誰かと話している。相手は家主だろうか。
通話終了すればポケットにスマホを入れて、こっちだと案内された。
部屋にあった段ボールの封を開けると、何やらごちゃごちゃと入っていた。
そこに子供用の踏み台が入っていて、引っ張りだすと私に手渡す。
「お気に召したかな?」
「…ありがとう」
「ちゃんとお礼は言えるんだな」
「いちいち嫌みな奴だな…」
踏み台を持って、さっきの部屋へ戻る。
テーブルに置きっぱなしのコップの中身を一気に飲んで、氷を噛み砕いた。
コップを洗って定位置に戻し、踏み台を使って冷凍庫を開ける。
…さて、赤井秀一のために作ろうか
どうせ作るなら、おいしいって言わせてやる。