風見パパになる
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ピピピッとアラーム音が部屋に鳴り響く。
もう朝か…昨日は風見に悪いことしたな。
今日は風見を甘やかして機嫌をなおしてもらわないと。
アラームを切って、パジャマを着替える。
朝食は何を作ろう。
とりあえず米を研いで、みそ汁作って、サラダもあった方がいいな。
眠たい目を擦って自室のドアを開ける。
「(…あれ、匂うな)」
台所から何やら香ばしい匂いが漂ってくる。
この時間帯はまだ風見が寝ている。
となると、この匂いの正体は…。
「おはようなまえちゃん」
「…おはよ」
エプソンを身に纏った安室さんが近づいて私の頭を撫でた。
早起きでえらいねと言ったので普通だと答える。
それにしてもその材料はどうしたのだろう。
口にはださず少し首を傾けると、安室さんは撫でたまま口をゆっくりと開いた。
「これは早朝から開いているスーパーで買ってきたんだ。
風見さんにお米を言われたから、おかずも作ってリベンジを、と」
「へえ…」
「なまえちゃん早起きだけど、もしかして朝食作ろうとしていたかな?」
「…大丈夫。
安室さん、料理、おいしい」
「そ、良かった。
風見さんが起きてくるまで、僕とお喋りしてくれるかな?」
「ん…手洗いうがい、顔洗う」
「分かった、待ってるね」
洗面所で用を済まして安室さんの元に向かう。
安室さんに声をかけようと口を開いたが、見るとイスに座って腕を組んで目を瞑っている。
私が近づいても起きる気配がない。よっぽど眠たかったのだろう。
口がもごもご動いてる。寝言か?
安室さんに顔を近づけて、よく耳をすましてみる。
「名字……」
「…………」
「お前まで、俺を、置いて…。
いくな…俺は、お前が……!」
急に目を覚まして私を見るなりきつく抱き締めた。
安室さんに声をかけるが返事がない。
離してもらうために、肩を叩いたり揺すったりしてみると、安室さんの全体重がのしかかってくる。
もちろんこの身体だと支える事などできず床に倒れこんだ。
「重い重い重い…潰れるって……!
助けてパパーッ!!」
自分だけだとどうすることもできず、風見に助けを求めて叫ぶと数秒で駆けつけて来た。
「パパ…っ」
「なまえが大変な事に!
待ってください、すぐに退かしますから…!!」
安室さんを壁際に追いやって、風見は私を抱き上げて頬擦りをする。
「ああ生きてる、良かった…!
なまえが窒息死したら、この人をどうしてやろうかと思いましたよ」
「パパ…ありがとう。
だけど、頬擦りやめて、苦し…っ」
「すみませんっ」
とりあえず安室さんは危険なのでいったん離れましょうと風見は自室へ向かった。
着替えるので待っていてください。そう言って私を床に降ろした。
よく見ると、髪がボサボサだ。
私が呼んだから急いで飛び起きて来たのだろう。
スーツに着替えて髪をセットすると、私の手を繋いで安室さんの元へ戻った。
「…安室さん、寝ていますね」
「ああ…いきなりで本当びっくりしたよ。
なんだったんだあれ?安室さんって夢遊病?」
「さあ…」
結局、目が覚めるのを待ったが起きないので、安室さんが作った朝食を二人で食べた。
「安室さんが全部作ってたけど、どう?
なんか風見が言った事に根にもってたのか、リベンジって言ってたけど」
「やっぱりお米の固さが違いますね。
おかずは確かに美味しいんですけど、やっぱりなまえの愛情がこもった手料理には敵いませんね」
「それ、絶対本人に言ったらダメだから」
食器を片付けると、丁度良い時間だ。
安室さんを起こそうと肩を叩いたが、やはり起きない。
どうしたものか…学校は仮病使って休めばいいが、風見はそうはいかない。
風見に行って来て良いと言ったが、不安そうな顔をしている。
「大丈夫。またさっきみたいな事があったら、警棒でやるから」
「それなら…まあ。
いいですかなまえ、安室さんに何かされたら必ず報告してくださいね」
「ああ、分かってる。
それじゃあ行ってらっしゃい」
「行ってきます」
風見が出ていって、学校に休みの連絡をいれた。
さて…どうしたものか。
安室さんの目が覚めるのは一体いつになることやら。
私が機械いじりをしていて、目を離した隙に家の物をあさられたら困るし。
やることがないので、部屋から安室さんに買ってもらったイルカのぬいぐるみを持ってきて、ぎゅっと抱き締めながら安室さんの顔を眺めた。
「…ほんと、顔はいいよな」
警察学校の時、女からちやほやされていたな。
顔は良いし、成績も優秀。
体術では一度も勝てた事がなかった。
悔しがる私の姿を降谷さんが見て、鼻で笑われたのは今でも覚えてる。
「…思いだしただけで腹が立ってきた」
デコピン一発ぐらいやっても起きないだろう。
おでこにパチンッと一発くらわすと、びくりと肩がはねあがり目を覚ました。
う、ウソだろ…このタイミングで起きるか普通
安室さんは辺りを見回して、なまえの名前を呟く。
「ここは…ああそうか。
確かなまえちゃんを待っていて、そのまま寝てしまったのか。
あれ、けどその時イスに座っていたはず……」
「落っこちる、危ない」
「だから壁に寄りかかっていたのか。
気を利かしてくれたのかな?ありがとう」
どうやらあの時の記憶は無いらしい。
心の中でほっと息を吐いた。
「安室さん、食べないの?」
「なまえちゃんは?」
「パパと食べた」
「そっか、じゃあ僕も食べようかな」
ゴハンとおかずをよそって黙々と食べる安室さん。
その姿をじっと見ていると、見られると食べずらいな、と苦笑い。
「ダメ?」
「うーん、そうだな。
僕とおしゃべりしよう。
風見さん、食べた感想言ってた?」
「美味しいって」
安室さんは満足気な顔をしている。なまえの愛情がこもった手料理には敵いません、という言葉はあえて言わないでおこう。
安室さんは食べ終わって食器を片付けると、スマホの画面を見て険しい顔つきになる。
「…ごめん。急だけど、もう出掛けないと。
なまえちゃんとの時間、楽しかった。また僕と遊んでくれるかな?」
「ん…バイバイ、安室さん」
「バイバイ、またね」
クツをはいて慌てて飛び出す安室さん。
玄関のカギをしめて洗濯機でも回そうと部屋に戻ろうとした時、隅に置いてある物に目がいった。
「安室さんのバッグ…」
忘れていったのか、それともわざと置いていったのか。
とりあえず安室さんの着替えを洗濯して、風見に返すように伝えておこう。