風見パパになる
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
食べたら帰ると思っていた。
だが安室さんは「なまえちゃんとお風呂に入りたいな」と言い出した。
そこで待ったをかけたのが風見。なまえと一緒に入るのはこの自分だと。
「なまえちゃんはパパと僕、どっちと入りたい?」
「えっと…いつもはパパだけど、今日は安室さんと、いっしょに」
入ろうかなと言い終える前に自分のバッグを持った安室さんは私を抱き上げて浴室に向かう。
「ああ、そうだ。
風見さん、なまえちゃんの着替えお願いしますね」
「…パパ」
ゴメン風見。
安室さんを一人にして部屋を漁られるより、こっちの方が賢明な判断だと思ったんだ。悪く思わないでくれ。
安室さんが帰ったらちゃんと説明するから、だからそんな絶望したような顔をしないでくれ。
安室さんは服と下着を脱いでバッグに入ってたビニール袋の中に詰め込んだ。
別の袋を取り出すと、そこには洗ってある服と下着が入っている。
「ああ、これ?
僕は何かあった時のために、服と下着は持ち歩いているんだ」
「そうなんだ」
ウソつけ。
普段は衣類どころか、バッグすら持ち歩いてないだろ。
「お兄さんと一緒にお風呂入りましょうねぇ」
「…ん」
安室さんはシャワーの温度を調節して、いつもはパパと洗いっこしているんだよね?と首を傾けた。
何で知っているんだとは口にださず首を縦にふる。
「シャンプーがおめめに入ると痛い痛いだから、ちゃんと瞑っててね」
「ん」
「良い子だね。
………なまえちゃん、あわあわ流しますよー」
シャンプーを洗い流して、良くできましたと頭を撫でた。
「安室さん、あたま」
「うん、お願いします」
いつもは背筋がピンとしている安室さんだが、私が洗いやすいように少し背中を丸める。
泡をつくって、安室さんの頭に触れた。
風見と違って髪の毛がさらさらしてる。正直、風見より洗いやすい。
白髪なんか一本も生えてない。
風見と年が一つ違うだけでこうも差がでるのか?
「もういい?」
「うん、いいよ。
シャワーで流してくれるかな?」
頭を洗い終えたら石鹸で泡をつくって、優しい手付きで私の背中を洗った。
他は自分で洗えるかと問われたから頷く。
やはり風見と安室さんだと全然違うな。
風見なんか平気で私の身体中を洗おうとするんだから。
背中が洗えないとお願いされて、いつも風見に使っているスポンジで安室さんを洗う。
お礼を言われて泡をシャワーで流すと、安室さんは私を抱き上げて浴槽に浸かる。
「溺れるといけないから、僕とぎゅーっとして温まろうね」
「んっ」
密着しているため安室さんの胸板が背中に当たる。
なんか思っていたより固い。腹筋も顔から想像できないくらいスゴイな。
「いい湯だね、なまえちゃん」
「ん…」
「いつもお風呂はシャワーで済ましちゃうけど…なまえちゃんと一緒なら、のんびりお風呂っていうのも良いなぁ」
「安室さん、子供、好きなの?」
「子供というよりなまえちゃんが好きだなあ。
他の子とは一緒に入りたいと思わないから」
だからキミは僕にとって特別━━。
耳元で囁かれるように言われて、湯に浸かっているはずなのに鳥肌がたった。
これは子供と接しているというより、バーボンがハニートラップをしかけているかのような…。
いや、私の見た目は子供なんだ。深く考えすぎか。
「…もうでたい」
「それじゃあ上がろうか。
あんまり浸かってるとなまえちゃん逆上せちゃうからね」
浴室から出て身体をタオルでふく。
下着とパジャマを着ると、着替え終わった安室さんが私を抱き上げた。
「風見さん、お先に失礼しました」
「…ああ、はい。
自分も入ってきます」
俯いて浴室に向かう風見の姿を見て、何だか申し訳なくなった。本当にごめん風見。
安室さんは私を座らせると、待っててと言われたので大人しく従う。
安室さんの手にはドライヤーが。
私の背後にまわって、髪の毛に熱風がかかった。どうやら乾かしてくれるらしい。
「……はい、おしまい。
じっと待ってて偉いね」
「べつに…安室さんは?」
「僕は髪が短いからいつも自然乾燥なんだ」
ドライヤーを元あった場所に戻して、何やら台所へ向かう。
気になって着いて行くと、冷凍庫を開けてあるものを見せてきた。
「美味しいカレーと、僕と一緒にお風呂に入ってくれたお礼。
お腹壊しちゃうといけないから、なまえちゃん僕と半分こしよう?」
「アイス…たべたい。はんぶんこ」
「うん、一緒に食べようね」
いつ冷凍庫にアイスを入れたのか気になるが、ありがたく頂戴しよう。
実は大人の姿だった時はお風呂上がりに毎日アイスをたべていた。
この姿になってからは、風見が全額生活費と機械開発の部品やらと、薬の実験費用を払っているため、毎日アイスが食べたいなんて言えず…。
久しぶりに食べられると思うと嬉しくて口元がゆるむ。
「なまえちゃん、あーん」
「っん…」
「美味しい?」
「おいしい…もっと」
私が半分食べ終わるまで、何度も食べさせてくれた。
安室さんの分がじゃっかん…いや、かなり溶けかかってる。ごめん。
空になった容器と使い捨ての木のスプーンをゴミ箱に捨て、洗面所に向かいハミガキをする。
それを見て安室さんもバッグから歯ブラシを取り出して磨きはじめた。
ん?今日は泊まる気なのか?
そんな事を思っていると、お風呂から風見が出て来て私に近寄ってくる。
「どうしてハミガキしているんですか。
自分とではなく、安室さんと一緒に…!」
「あつい。近寄らないで
せっかくアイスを食べて涼しくなったのに、パパの熱気で汗かいちゃうよ」
うがいして、歯ブラシとコップを定位置に戻す。
そろそろ就寝時間なので自室へ向かった。
安室さんの事は風見に任せればいいや。後はよろしく頼むね。
「おやすみパパ」