風見パパになる
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「待ってるだけだと暇だから、なまえちゃんのお手伝いしてもいいかな?」
「ん…お米、といでください」
「了解っ」
安室さんは袖を捲って、手慣れた手付きでお米を研いでいる。
私は肉と野菜を食べやすいサイズに切る。
フライパンに油をひいて肉を焼いた。
「なまえちゃん、次はどうする?」
「焼けたらお肉、鍋…お願い」
肉が焼けたら鍋に移して、水、コンソメを入れ、中火で煮込んだ。
それから野菜とカレー粉、ヨーグルトを加えて煮込み、とろみがついて完成。
風見が帰って来るまで安室さんとお喋りをする。
学校の出来事についてとか、趣味の話しとか。
趣味は無くて、家で機械いじりと元の姿に戻れる薬を開発中。なんて言えないから、お絵かきだよと答えた。
「安室さんの、好きな事はなんですか?」
「僕は料理が好きだったな。
一人暮らしだけど、つい多めに作っちゃってね」
「へえ…」
「料理を食べてくれる彼女がいたんだけどね、いなくなっちゃったから…」
「いなくなっちゃった?」
「うん、そうだよ。
なまえちゃんみたいな顔立ちの彼女。
そうだな…今のお仕事が終わったら会いに行こうかな」
背筋に冷たいものが走る。
安室さんの瞳は別の世界を映しているような、そんな感じがして…。
とっさに安室さんの袖を引っ張れば目を丸くさせた。
「ダメ」
「えっ?」
「行っちゃ、ダメ。
安室さんにはなまえが、そばにいる」
「…安室さんにはなまえがそばにいる、かあ。
そうか、そうだね……じゃあ、キミに不利益なお願い事しても良いかな?」
安室さんは私をひょいと抱き上げて自分と同じ目線に合わせた。
「キミが大きくなって、大人になったら…結婚してください」
「……えっ」
「ダメかな?」
「私じゃ、子供…。
安室さんには、年の近い、素敵な人が、現れるよ」
だから素敵な人が現れるまで、私が安室さんのそばにいるよ。と続けて言った。
さすがに子供の姿とはいえ、安易に結婚の約束はできないからな。
「そっか…無理言ってゴメンね」
「パパに頼んで、素敵な人紹介、してもらう?」
「いやあ…それは遠慮しておこうかな」
地面に降ろされると、タイミング良くインターホンが鳴った。
何となくその場にいるのが気まずいので、逃げるように玄関へ向かってドアの鍵を開けた。
「おかえりパパっ」
「ただいま帰りました…安室さんと良い子でいましたか?」
首を縦にふれば風見の手が頭に乗せられて良い子ですねと撫でられた。
少し遅れて安室さんがやって来て、風見に初対面かのように挨拶をする。
「直接会うのは初めてですね。
初めまして安室透です。なまえちゃんにはいつもお世話になっています。
この度は僕のワガママでお家に招いていただき、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそなまえと仲良くしていただき、ありがとうございます」
「パパっ、ごはん、はやく」
「ああ、そうですね。
テーブルで待っていてください」
すぐに支度を終わらせますと言って自室へ向かった。
安室さんはカレーを、私はスプーンと水を用意してテーブルに置いた。
お待たせしましたとやって来た風見は、いつも二人でいる時のラフな格好ではなく、余所行きの格好をしている。
理由は安室さんがいるからだろう。まあ口にだしはしないが。
両手を合わせて、いただきます。
スプーンでカレーを一口掬って口に運んだ。
まあ、なんて事の無い普通のカレーだ。
風見も一口食べる。すると眉間にシワを寄せて、これは…と呟いた。
「いつもよりお米が少し固い…。
なまえ、今日のお米はどうしたんですか?」
「いや、あの、パパ…」
お米は安室さんが研いだんだよ。
「いやあ…すいませんね」
「えっ…?」
「お米、僕が研いだんですよ」
この僕が研いだお米に文句とは良い度胸だな風見、と。
降谷さんが毒を吐きそうな勢いの顔をしている。
風見は顔を青ざめて、申し訳ございませんとテーブルに頭をぶつけて謝罪した。
「大丈夫です、カレーは美味しいので残さず食べますから!」
「ふふっ…カレーは美味しい、か」
「パパっ、お米、お米も美味しいよ!」
「お、お米ももちろん美味しいです。
安室さんがわざわざ研いでくださったんですから」
コップを片手にぐいっと水をイッキ飲みをして、空のコップを私に渡した。
「なまえ…水をお願いします」