風見パパになる
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ようやっと授業が終わったので、帰ったらランドセルを置いてスーパーに行こう…と思っていたら、校門前に私服姿の奴がいた。
前に私が蹴った事を根にもって待ち伏せているのだろうが、素通りしよう。
「待ってたぜ、なまえちゃん?」
「お兄さん誰?なまえちゃんの知り合いなの」
「ん…」
「学校教えてないのに待ち伏せ…ストーカーか」
「ちょっ、そこのメガネの坊主!
スマホとりだしてどこに連絡する気だよ!」
「警察よりも恐ろしい人だよ。
あ、もしもし安室さん?
今なまえちゃんに怪しい人物が接触してきて、見た目は高校生で黒のパーカーを羽織ってる人。身長は帽子を被ってかさまししてるけど━━」
「(安室ってこないだの…やべぇ!)」
私の持ってたスケボーを奪って地面に放ると私を脇に抱え、そのままスケボーに乗って走り出した。
コナン君は周りに生徒がいるからボールを蹴る事ができず待て!と大きな声で叫んだが、黒羽快斗はもちろん待たず、後で家に返すからじゃあな!と言ってその場から走り去る。
杯戸町の公園に着くと黒羽快斗はスケボーを脇に抱えて私を下ろし、自販機に小銭を入れた。
「好きなの買ってやるよ。何がいいんだ?」
「子供に奢られる義理なんてない」
「いやどう見てもなまえの方が子供じゃねーか。高校生のお兄さんに大人しく奢られろって。
…ほら、子供はオレンジジュースでいいよな?」
「…しょうがないからもらってやる」
「小学生のくせに可愛くねー。探偵坊主といる時と態度が違えじゃねーか。
もしかして今が素で、お前の父さんと探偵坊主といる時のは猫かぶりなのか?」
「さあ、どうだかな」
黒羽快斗は自販機に小銭を入れて自分用の飲み物を買った。
子供はオレンジジュースとか自分はお兄さんとか言ってたくせに、黒羽快斗の手には冷たいココア。お前も子供じゃないか。
「ちょうどベンチ空いてるし座ろうぜ」
黒羽快斗がベンチに座ったので大人一人分の距離を開けて自分も座る。
それが気に入らなかったのか、私の隣に移動して座り直す。
舌打ちをしてからペットボトルのキャップを開けてオレンジジュースを飲むと、可愛くねえと再び言われた。
「なまえは生き辛くねえのか?」
「私をストーカーして説教か?」
「ストーカー…まあ学校は調べたけどよ…。
そんな生活してるといつか限界がきて爆発するぜ?
四六時中素でいて、おめーが安心できる人いねえのかよ」
黒羽快斗の言葉で陣平の顔が思い浮かんだが、もう陣平はこの世にいない。
風見もきっと私が元の生活に戻ったら、上司と部下に戻るだろう。
だって戻らないと…風見の事…。
「自分にとって貴方は大切な人なんです。
貴方が元の姿に戻っても、共に暮らして幸せになりたいと思うくらいに」
「そうだ、連絡先交換しようぜ。
オレ相手なら毒吐けるだろ?」
「黒羽快斗はいじめられて喜ぶタイプなのか」
「小学生のガキにいじめられて喜ぶ趣味なんてねえよ。
あとさ、フルネーム呼び止めようぜ?名字でも名前でも呼び捨てでいいからよ」
自分は気を許した相手にしか甘えないが…まあ、口が悪い自分でも受け入れてくれるなら…。
スマホを取り出してロックを解除し、黒羽快斗と連絡交換をした。
「…おっと、なまえのセコムが来たみてえだから俺は帰るとするか。またな」
「ああ、またな…快斗」
「っ、ああ!」
安室さんは快斗とすれ違う時に殴りかかったが簡単に避けられて機嫌が悪くなり、そのままこちらに近づいてきた。
聞くと、風見にスマホのGPSで教えてもらってわざわざ来たらしい。
「で、なまえちゃんはストーカーに飲み物を買ってもらって飲んだのか?」
「そう」
「危機管理が足らないだろ。
そのまま誘拐されたらどうするんだ」
「私の方が強い」
「薬品嗅がされて眠らされて、手足縛られたらどうするんだ」
「引きちぎる、平気」
「さすがに……いや、君なら余裕か」
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