夜の夜多の森弓道場。昼間とは違いとても静かで幻想的な風景が広がる。そんな夜の射場に二人の男女の姿が月明かりに優しく照らされる。


「全体的に横に伸びるようにな」


彼の指導を受け，しっかりと会を保ち真っ直ぐに離れる。


美しい弦音が射場内に響き渡り，放たれた矢は的にしっかりと的中させた。


「おぉ だいぶ射型が安定してきたな」


「ホントですか！マサさん」


「いい射型だったぞ」


彼から頭をポンポンとされて褒められる。マサさんから頭を撫でられると認められたと思いとても嬉しくなった。


ふわりと夜風が二人にあたる。髪が靡く姿までも色気がある彼につい見とれてしまう。その時にあの時できた額の傷がチラッと見えた。


「…マサさん，傷はまだ痛みますか？」


「コレか？だいぶ良くなったぞ，あの時は心配かけてすまなかった」


額の傷に手をあてながらニコッと微笑んで答える。笑っているはずなのにどこか切なそうな感じの表情だった。


彼女は様々な想いが募っていき，気づいた時には彼を優しく抱きしめていた。


「…どうした？」


「あの時，マサさんが事故にあって私の前からいなくなったらどうしようと思って…怖かったです」


「… 結華 」


「それだけ私の中でマサさんは大きな存在で，大切な人なんだと改めて感じることができたんです」


一つ一つの言葉を彼に向けて伝えていく。その彼女の姿に彼も愛しさを感じていった。


「だから…今，マサさんがいて指導をしてくださるのがすごく嬉しいです」


「そんなに俺の事を考えてくれていたんだな…ありがとう」


「これからも私の傍にいてください」


「もちろんさ，だって…」


「んっ？」


「お前は俺の最愛の恋人だからな」


「マサさん！大好きです！！」


抱きしめたまま甘い口付けを交わし貴方が傍にいる幸せを感じた。


〇 瀧川 雅貴 の I love you の訳し方
＝「お前は俺の最愛の恋人だからな」