休み時間，次の授業の準備をしていると隣のクラスの七緒が結華に声をかけてきた。


「結華ちゃん，ごめんだけど数学の教科書貸してもらえるかな？」


「七緒君が忘れるなんて珍しいね，いいよ」


数学の教科書を彼に渡すとニコニコしながら受け取った。


「ありがとう助かったよ」


「どういたしまして」


「困っている男子を助けてあげる結華ちゃんは救いの女神様だね」


「あはは…そりゃあどうも」


「あっ，そろそろ授業始まるから戻るね。また部活で会おうね，結華ちゃん」


彼は自分の教室に戻って行った。
途中で他のクラスの女子と楽しそうに挨拶をしながら戻っているのが見える。


「相変わらず女子と仲良いよね，てか女神って何だ？」


彼から言われた言葉に疑問を抱きながらも，少しだけ嬉しかった。


放課後になり部活に行こうと歩いていると後ろから聞き馴染みのある声で呼びかけられた。


「結華ちゃーん，今から部活？一緒に行こうよ！」


「七緒君？海斗君はどうしたの？」


「かっちゃんは，別な用事で後から来るんだ」


「そうなんだ。いいよ，一緒に行こう」


弓道場まで歩いていきながら海斗君の話や弓道の話をした。すると彼女が最近感じたことを彼に伝える。


「そう言えば，七緒ファンクラブの子達を最近見かけないんだけどどうしたの？」


「あぁ，俺が好きな子ができたって言ってから活動をしなくなったのかも」


「えっ！？七緒君好きな子いるの？誰？知ってる子？」


勢いよく聞いてくる彼女に彼はため息をついてから答える。


「結華ちゃんって案外鈍感なのかな？」


「どういうこと？」


「男ってさ普通，女の子に教科書を借りに来たり，理由をつけて一緒に部活に行ったりしないんだよ？」


「えっ？」


「もう，分かったっしょ？」


「じゃあ，好きな人って…」


「こんなに積極的になるのは君だけだよ」


「七緒君…」


いつもと違う彼の真剣な表情が彼女の胸を高鳴らせる。そんな貴方をもっと好きになっていった。



〇 如月 七緒 の I love you の訳し方
＝「こんなに積極的になるのは君だけだよ」