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「貴女も罪な女ね。本当に」
「……何の話?」
仕事の休憩中、オフィスを抜けて最近オープンしたばかりの
小洒落たカフェでワカバとシェリーは休憩をしていた
カップを手にしたシェリーがコーヒーを飲む直前、ふと
聞こえてきたその一言にワカバは怪訝そうな表現を浮かべる
「知ってる?貴女、ウチの組織で噂になってるわよ。
あのレオン・S・ケネディを振った女として」
「振……っ!?」
「貴女の気持ちは分かるわ。レオンは私……いいえ
私達にとって恩人だもの」
二人の共通点、それはあのラクーンシティの地獄から
生還したという事だった
もっと言うとその当時のワカバはシェリーよりも幼く、
レオンに出会うまで生き延びていたのはまさしく奇跡だと
誰もが口を揃えて言う。もっとも、運だけで生き延びた
訳ではないが……
「でもあれだけ熱烈なアプローチを受けているのよ?
少し考えてあげてもいいんじゃないかしら」
「だからレオンは」
「俺がどうしたって?」
「!?」
後ろを振り向けば爽やかな笑みを浮かべているレオンが
真後ろに立っていた
「あらレオン。貴方も休憩?」
「そうなんだシェリー。ワカバとランチでも食べようかと思って
オフィスを覗いたら既にいなくてね」
__明日、一緒にランチでもどうだ?
__いつ休憩取れるか分からないから……
先日、退勤する前にレオンに捕まってしまったワカバは
そんな誘いを受けていた。その時は曖昧に返事を濁して
逃げ帰ったが、ハッキリと断らなかったせいか、こうして
二人のもと……もといワカバの前に姿を表したらしい
「大変。私、呼び出しかかっちゃった」
「え、シェリー?」
「ここは俺が払うから君は早くオフィスに戻った方がいい」
「じゃあお言葉に甘えて……ワカバ、頑張るのよ」
「え、本当に行くの?嘘でしょ?シェリー、待って!」
シェリーがワカバとレオンを二人きりにする為に嘘を
言っていた事は誰の目から見ても明白である。そしてそれに
気が付いていながら敢えて知らないふりをするレオンは
何食わぬ顔で先程までシェリーが座っていたイスにゆっくり
腰を下ろす
「すまない。彼女と同じ物を頼む」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
店員に注文を済ませたところでレオンは先程までとは
違う、何かを企んでいるような深い笑みを浮かべた
「恋愛に関してはとことん臆病なんだな」
「任務の度に女の人に振り回されるレオンに言われたくない」
「……言ってくれるな」
大統領の一人娘、ハーバードウィル空港のバイオテロで
共闘した特殊部隊出身の女性、大統領殺害事件の黒幕であった
シモンズを倒すために中国まで乗り込んだ妹思いの彼女……
「そんな昔の話を持ち出されるとは思わなかった」
「それに」
「まだあるのか?」
「……エイダ」
「……彼女がどうした」
流石にその名前を出されてし動揺したのか、レオンの顔から
スッと笑みが消えた
「……別に。何でもない」
どうしても超えられない壁がある。どんなに頑張っても
自分はレオンの良きパートナーにはなれない
ワカバの淡い初恋は自身を蝕む劣等感に飲まれてしまった。
だからこそ、レオンからどんなにアプローチされても絶対に
YESと答えなかったのだ
「参ったな。俺の本気がまだ伝わっていないのか」
「私はレオンの気持ちに答えない」
「頑固だな。初恋を拗らせるとそういう風になるのか」
「……え?」
「随分昔にシェリーから聞いた事がある。ワカバ、君の
初恋の相手は俺なんだろう?」
「!?」
「君にも思う所があるだろうが……目の前に空腹の狼が
いる事を忘れるなよ」
テーブルの上に無防備に置かれた小さな手を包み込むように
レオンはそっと手を重ねる
「今日、仕事が終わったディナーでもどうだ?」
「……デートじゃないからね。ただの食事だから」
「OK、いい店連れて行くよ」
この後、オフィスに戻ったワカバはシェリーにどうして
初恋の事をバラしたのかと尋ねると……
「だってあんな鬼気迫る顔でもしかしてワカバはもう他の男に
誑かされたのか……?許さないなんていうから」
あのまま放って置くと他の人が危険だと思ったから言うしか
なかったのよとあっけらかんと言われたのだった
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