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お願いキスして10題

「たまにはお前からしてくれてもいいじゃん」
「…う、」

言えば、敦盛が目を逸らした。
まあ、そんな反応になるだろうなとは思っていた。奥手な彼のことだ。恥ずかしくて、自分からはできないと言うのだろう。

「どんな関係でも、貢献し合うことが大事……ってね。たまにはしてくれないと、俺ももうしてやらなくなるかも」

カマをかけてみた。敦盛が口をへの字に曲げて、ぐぐぐと黙る。
かわいいやつだなあと、心の中で呟いた。彼が面白いように困るので、時折こうしてちょっかいを出してしまうのだ。

「ほら。どっか手添えてよ」
「……君は、もう」

敦盛が、観念したようだ。
冷たい手が、頬を包んだ。真っ赤になった彼の顔が目に映る。

「ちゃんと口にしてよ」
「分かっている。……目を閉じてくれ」
「ん」

目を閉じると、唇に冷たいものが触れてーーーそして、すぐに離れてしまった。

「なに、もう終わり?」
「……そうだ」
「えー……」

もう一回してよ、と言おうとして、やっぱりやめた。こちらから顔を逸らした敦盛の頬が、先ほどよりも赤い。

ーーーま、こいつにしては頑張った方か。

仕方がない。今回はこれで許してやろう。その分、次にもっとしてもらうから。
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