*場地圭介*
*namechange*
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私と場地くんは今日で付き合って二ヶ月になる。
そのお祝いに、というわけでデートをすることになったので、今日はちょっとだけ服装などに気合を入れてみた。
「名前!」
私を呼ぶ声の方を見ると、いつもの特服じゃない、普段着の場地くんがいた。
私は軽く手を振り、小走りで場地くんの近くへ向かう。
「待ったか?」
「待った!」
「わ、わりぃ」
「ふふ、嘘だよ!」
そんなやり取りをして、手を繋ぐ。冷えた私の手が温かい場地くんの手に包まれて心地いい。
「お前、手ェ冷てぇな」
「冷え性だから、冬は苦手なんだよね」
場地くんは少しだけ沈黙した後、私と繋いでる手を自分のポケットに入れた。
「えっ、ば、場地くん?」
「これなら少しはあったけぇだろ」
耳まで真っ赤にして、場地くんは言う。私はそんな場地くんが可愛くて、思わず小さく笑った。
***
とりあえずお昼を食べよう、ということになり、私たちは少しおしゃれなカフェに来ていた。
どの料理も美味しそうでなかなか決められずにいると、場地君が私からひょい、とメニューを取った。「まだ決めてないのに」と少し頬を膨らませて言うが、お構いなしに場地くんはメニューを見ている。
「何食いてぇの?」
「んー……、これとこれで悩んでる」
私は差し出されたメニューに載っている、二種類のパスタで悩んでいた。トマトソースか、クリームソースか。どちらも、なんて贅沢はできないし、そもそも二つなんて食べきれない。
「ふーん……。あ、すんません」
場地くんは私が決める前に店員さんを呼ぶ。まだ飲み物しか決めていないというのに、なんてことをしてくれるんだ。
「お待たせ致しました。ご注文をお伺いします」
「これとこれお願いします」
「かしこまりました」
勝手に決まってしまった……。今日は記念日だというのに、なぜこんな意地悪をするんだろう。
「ひどいよ、まだ決めてなかったのに」
「いーだろ、別に。あのままじゃ一生決まらないぜ?」
「そ、そうかもだけど……」
確かに、きっとあの調子じゃ私は一生決められなかっただろう。
私は諦めて、場地くんと他愛ない会話をしながら料理を待った。
「お待たせしました」
そう言って店員さんが料理を運んでくる。
私にはトマトソースのパスタ。そして場地くんにはクリームソースのパスタが出された。それはどちらも私が食べたいと思っていたパスタだ。
「場地くん、それ食べたかったの?」
私が言うと、場地くんは「そーだけど」と素っ気なく返事をする。
場地くんは半分ほどパスタを食べたところで、手を止めてしまった。もしかして口に合わなかったのだろうか。
「もしかして美味しくなかった……?」
この店に行きたいと言ったのは私だ。もしわがままに付き合わせてしまったのなら申し訳ない。
「ちげぇよ。名前、こっちも食べたがってたろ。だから、半分コ」
ニッ、と笑って、「これならどっちも食えるだろ?」と言って場地くんは半分残ったパスタのお皿を私に差し出した。
丁度私も自分のパスタを半分ほど食べたところだったので、「じゃあ交換ね」と言って私もパスタのお皿を差し出した。
***
「美味しかったー!ねぇ、このあとどうする?」
顔を覗き込むようにして場地くんに言うと、場地くんは少し顔を赤らめて、目線を逸らす。
「名前はどうしたいんだよ」
「んー……。あ、ちょっと服とか見たいな!」
「じゃあ服見に行くか」
そう言って、また場地くんは自分のポケットに私の手を入れる。普段は喧嘩ばかりで怖い印象なのに、こういうときはちゃんと気を遣ってくれる、そんな優しい場地くんが私は大好きだ。
それから私たちは、色んなショップを見て回った。
男の人はこういった買い物に付き合わされるのは嫌いだと聞いたことがあるけど、場地くんは文句ひとつ言わずに一緒にショッピングを楽しんでくれた。
一通り見て回ると、もう日が沈みそうになっていた。
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
もう少し場地くんと一緒にいたかったが、これ以上はさすがに日が暮れてしまうため、私たちは帰路についた。
***
私の家は場地くんの住んでる団地とは正反対なのに、場地くんはいつも家の前まで送ってくれる。
「ありがとう、場地くん。今日すごく楽しかった!」
「……おう」
「じゃあ、また学校でね」
私が軽く手を振って家に入ろうとすると、場地くんに手を掴まれた。
一体どうしたのだろう、と不思議に思っていると、場地くんは小さな袋を取り出し、それを渡してきた。
袋を開けると、そこには小さなブレスレットが入っていた。
「これ、プレゼント……?」
「……おう」
「すっごく嬉しい!ありがとう!」
そう言ってブレスレットを眺めていると、場地くんが何か言いたげに私を見ていた。
「どうしたの?」
「……今日、すっげー可愛かった」
顔を真っ赤にしながら、小さな声で場地くんはそう言った。
「格好もだし、店で悩んでるとこも、食べてるとこも、店を見て回ってるときも、すっげー可愛かった」
怒涛の褒め言葉に、私は恥ずかしくなり、思わず顔を伏せてしまう。
ずるい、こんなこと言うなんて。
「ば、場地くんだって、今日すっごいかっこよかったよ!」
私は場地くんの顔を見てそう言うと、「またね!」とだけ言って家に入った。
玄関で先ほど貰ったブレスレットをつけ、私は赤くなった顔を手で覆い、「好きだなぁ、もう」と呟いた。
繋いだその手は温かくて