*灰谷兄弟*
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トントントン、とリズミカルな音が部屋に響く。
私は切り終わった具材を鍋へ入れ、蓋をする。そして次の調理へとりかかろうとしたところで、玄関から「ただいまァー」と気だるげな声がふたつ聞こえてきた。
どうやら兄の蘭兄と竜兄が返ってきたようだ。
私は鍋の火を一旦止め、廊下へと出る。すると突然蘭兄が私になだれ込むように抱き着いてきた。
「名前~、お兄ちゃん疲れたよ~」
ぐりぐりと私の肩に頭を擦り付けながら、甘えた口調で蘭兄が言う。私はよしよし、と蘭兄の頭を撫でる。これではどっちが年上なのかわからない。
「兄貴、名前困ってンぞ」
竜兄が私の頭を撫でながら言う。
そんな二人の服には返り血が付いていた。二人のことだ、また一方的に殴っていたに違いない。
「二人とも、とりあえずお風呂に入ってきてくださーい!あと蘭兄、重い!」
私は蘭兄を引っぺがし、そのまま脱衣所へと押し込む。「えー、名前ちゃんひどいなぁ」なんて言いながら、蘭兄は渋々脱衣所の扉を閉める。
私は途中だった夕食の準備をしようとキッチンへ戻ると、竜兄が作りかけの鍋の味見をしていた。
「ちょっと!それまだ作りかけ!」
「味薄くね?」
「だから作りかけなの!これから味整えるんだから、もうちょっと待ってて!」
そう言って竜兄をキッチンから追い出し、「蘭兄がお風呂から出るまでそこから動かないで!」と言ってソファへ座らせた。
蘭兄と竜兄のことは大好きだが、ほとんど毎日こんな調子だとさすがに疲れる。何が一番疲れるって返り血のついた服の洗濯である。
はあ、と小さく溜息を吐くと、竜兄が「なに、疲れてんの?」と他人事のように聞いてきた。ええ、疲れてますとも。
「明日って何か用事あったっけ……?」
「何もねェけど」
「じゃあ私学校休みだし、多分昼過ぎまで寝てると思うから、起こさないで」
竜兄は顔をしかめながら、「なんでだよ」と返してくる。なんでも何も、ここ数日の疲れを癒したいからだ。そんなことを伝えてもあまり意味はないと思うので言わないが。
「とにかく起こさないでね!蘭兄にも言っておいて!」
そう言い放って、私はキッチンへと戻る。少し不機嫌な竜兄を他所に、私は淡々と料理を作るのだった。
***
湯船に肩まで浸かると、今日一日の疲れが和らいでいく。
起きたら洗濯物をして、学校に行って、帰りにスーパーで買い物をして、家に着いたら洗濯物を取り込んで畳んで仕舞って、夕食の準備をし、お風呂に入って、就寝。
お兄ちゃんたちが日中何をしているのかは、実はよく知らない。喧嘩をよくしている、というのだけは知っている。返り血だらけで帰ってくるのだから嫌でもわかるというものだ。
「(なんで喧嘩なんてするんだろう……。危ないだけなのに)」
私は本当は二人に危険なことはしてほしくなかった。過去にそれを伝えたら軽く流されてしまったため、きっと言っても無駄なんだな、と諦めていた。
毎日家事をしながら、二人の無事を願って、帰りを待っている。
「名前ー?」
突然、お風呂場のドアが開き、蘭兄と竜兄が顔を覗かせる。
私は一瞬固まったあと、「覗くなー!!」と言って二人めがけて水をぶっかけた。
「いやいや覗きっていうか長湯してっから心配で……っていい加減水かけんのやめろ!」
「待って待ってごめん!ごめんって!!」
「ばか!変態!最低!えっちー!!」
***
本当に疲れた。疲労困憊とはこのことだろう。明日が休日で本当によかった。
のそのそと布団に入り、私は瞼を閉じる。疲れきっていたためか、意識はすぐに深く深く沈んでいった。
「名前?寝ちゃったー?」
ドアをノックする音で目が覚める。この声は蘭兄か。
「どうしたの……」
身体を起こし、眠い目を擦る。時刻は1時半。こんな時間に一体どうしたというのか。
蘭兄は扉を開け、私の部屋へ入ってくる。後ろには竜兄もいた。いや待て待て、入っていいとは誰も言っていない。
「ほら、名前ちゃん明日休みだっていうから」
「いつも頑張ってくれてるだろ?だからご褒美でもあげようかと思ってな」
そんなことは頼んでいない……っ!!
と、心の中で叫んでいる反面、嬉しいと思っている自分もいた。
「えっと、うん、ありがとう……?」
何をしてくれるのか全くわからない。プレゼントを持っている様子もない。一体何があるというのか。
頭にはてなマークを浮かべたままの私に蘭兄と竜兄は近付いてくる。
「あの、二人ともどうし――――」
言いかけたとき、私の身体はベッドに押し倒される。目の前には蘭兄の顔。
「なに……?」
「だから、ご褒美」
にこ、と蘭兄は笑って、私の唇に軽く口付けをした。
「……なに、してるの」
「なに、ってちゅーだよ」
あまりの出来事に理解が追い付かない。
キスをされた。蘭兄に。実の兄に。兄妹なのに。キス。
「わ、私たち兄妹だよ!?何考えてんの!?」
「兄妹とか関係なくね?」
「はぁ!?」
「なに、名前は兄ちゃんたちのこと、嫌いなの?」
「そっ、それは……っ」
まっすぐ私を見つめてくる蘭兄の顔を直視できず、思わず顔を逸らす。すると蘭兄は私の頬に手を当て、自分の方へ向けると、「ちゃんと答えろよ」と真剣な声で言う。
「わた、しは……」
二人のことは大好きだ。
いつもどこかで喧嘩ばかりしてるし、服は返り血で汚すし、お風呂は覗くし、シスコンだけど、そんなお兄ちゃんたちを私は嫌いにはなれなかった。
もしここで私が拒絶したら、今までの幸せが崩れてしまいそうな、お兄ちゃんたちがいなくなってしまうような気がした。
「……すき」
小さく呟くように言った途端、蘭兄の唇で唇を塞がれる。
蘭兄の舌が、薄く開いた唇から入り込んでくる。はじめての感覚に、私の身体はビクリ、と跳ねた。
「なに、名前。もしかしてファーストキス?」
竜兄が驚いたような声で尋ねてくる。図星をつかれて、一気に恥ずかしくなる。
そんな私などお構いなしに、蘭兄の舌はねっとりと私の舌に絡みついてきた。
「ふはっ、名前かぁわいい」
唇を離した蘭兄は私の頭を撫でながら楽しそうに笑う。
「さっきのがファーストキスってことは、名前、処女?」
かぁっ、と一気に顔が赤くなるのを感じた。これもまた図星である。
その反応を見て蘭兄と竜兄はいやらしく笑い、蘭兄は私の上に跨り、竜兄は自分の膝に私の頭を乗せた。
「じゃ、いーっぱい気持ち良くシてあげる」
「え、いや、うぅー……」
「なに、怖ェの?」
「……ううん」
やっぱり兄妹でこんなのダメだよ、と言おうとして、飲み込んだ。きっと言っても無駄に違いない。
竜兄がよしよし、と安心させるように私の頭を撫でると、蘭兄が器用に私の服を脱がしていく。
「あれ、名前って下着つけねーの?」
「寝るときはつけない派なのっ!」
「ふーん。ま、弄りやすいからいーけど」
そう言って蘭兄は私の胸の感触を楽しむようにゆっくりと揉みしだいていく。私はなんだかくすぐったくて身体を捩る。
「名前の胸柔らかくて気持ちー。サイズはノーコメントだけど」
一言余計だばか!
怒りと恥ずかしさで蘭兄を蹴飛ばしてやりたくなったが、胸の突起に蘭兄の舌が這われた瞬間、そんな考えは吹き飛んだ。
「ひ……んんっ、うっ……ぁっ」
「声、我慢しなくていいよ」
「や、やだっ……恥ずかしいもん……っ」
「じゃあこうすれば大丈夫だな」
そう言って竜兄は私に口付ける。蘭兄としたときよりも激しく深い口付け。
その間、蘭兄は私の胸の突起を舐めたり、ときに吸ったりして弄り続けている。
「ふっ、むっぅ……ぅんん!」
なんだかお腹の奥が熱い。むずむずしてもどかしい。
私は脚を閉じ、太ももを擦り合わせる。その様子を見た竜兄が、「下、触って欲しいか?」と問いかける。私は触って欲しいのかどうなのかすらもわからず、思わず黙り込んでしまう。
「触ってほしくないって言われても触るんだけどね」
「ひ、あぁ!?」
まるで身体に電流でも走ったかのような感覚に襲われ、私は思わず脚を強く閉じてしまった。
「さすがに敏感だねぇ」
そう言いながら、蘭兄は私の秘所の入口を弄る。
ぐちぐちといやらしい音が聞こえる。これが私の身体から出ている音なのかと思うと、ひどく恥ずかしくなり、私は自分の顔を手で覆う。
「名前、顔見せて」
「……やだ」
「やだ、じゃねーの」
竜兄は無理やり私の手を退けると、「ん、可愛い」と言って額に軽く口付けを落とす。
「は、あっ、んあぁっ」
蘭兄の愛撫はどんどん激しくなり、私は声を上げるのを我慢することができなくなっていた。そして愛撫が激しくなればなるほど、私の身体の奥が疼いて仕方がない。
「ら、らんにぃ……っ、なんか奥が、むずむずする……っ」
涙目で蘭兄にそう訴えると、蘭兄はいやらしく笑ってぺろりと舌なめずりをする。
「じゃー、そろそろナカも弄ってあげるね」
「えっ、な、なか……?」
不安げな私の頭を、竜兄が撫でる。それだけでなんだか安心できた。
ゆっくりと蘭兄の指が入ってくる。私は初めての感覚と、少しの痛みに顔を顰める。
「痛い?」
「んっ……だいじょぶ……」
私がそう言うと、蘭兄は指を奥へと進める。ぞわぞわとした不思議な感覚。ある程度指が入ったところで、指を出し入れされる。その度に私の身体はびくびくと小さく震えた。
「気持ちいい?」
「わか、んな、あっ、んんっ、ぞくぞくする、ぅっ」
「腰浮いてるし、それが気持ちいいってことだよ」
蘭兄はどこか嬉しそうに言って、指の動きを早める。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響く。
「そろそろ大丈夫かな」
そう言って蘭兄は私のナカから指を抜き、自分の部屋着を脱ぎ始めた。
「名前、もう入れるけど、大丈夫?」
「た、多分、大丈夫……だと思う……」
「痛かったら言ってね?やめるから」
ゆっくりと蘭兄のモノが入ってくる。初体験は痛い、とよく学校の友達から聞いていたため、自然と身体が強張ってしまう。すると竜兄が私に口付けてきた。
「んっ、んぅ、ふぁ……」
竜兄の口付けは優しくて、ときどき貪るような、そんな口付けに私は蕩けるような感覚を覚えた。
「あっ、あ、んんっ、ぅ……っ」
「ん……っ、名前、全部入ったよ」
「……へ?」
竜兄との口付けに夢中になっている間に、蘭兄のモノは私のナカにすべて入ってしまった。蘭兄は「頑張ったねー、よしよし」と言って私の頭を撫でる。
どういうことだろう、全く痛みを感じなかった。それどころか、奥の疼きがさっきよりも大きくなっている。
「らん、に……う、うごいて……」
「え、大丈夫なの?無理してない?」
心配そうに私を見る蘭兄の頬に手を当て、涙目で「お願い」と懇願するように言うと、私のナカで蘭兄のモノが大きくなるのを感じた。
「あー……、ほんっと、可愛い」
「あっ!?」
蘭兄はゆっくりと、けれど激しく腰を動かす。
頭上で「兄貴ずりぃー」と拗ねた竜兄の声が聞こえた気がするが、もうそんなこと考える余裕がない。
目の前がチカチカして、もうわけがわからない。蘭兄が動く度に気持ち良くて身体がビクビクと反応してしまう。
「あっ、んあっ、あっ、あぅっ、んっ、んむっ」
私が嬌声を上げていると、また竜兄が口付ける。
蘭兄から与えられる快楽と、竜兄の貪るような口付けで、私の頭は本当に蕩けてしまうかのような錯覚を覚える。
「なんか竜胆がちゅーしたら締まったんだけどぉー?」
「ふむっ、う、んんっ、はっ、はぁっ」
「そりゃ、俺とのキスは気持ちいいもんな?名前?」
「あぅっ、きもち、いっ、んああっ!」
竜兄からの問いかけに答えると、蘭兄の腰の動きが早まった。
もうだめだ、本当に何も考えられない。
「はー……イク……ッ」
ずん、と更に奥を突かれ、私の身体は大きく跳ねる。その瞬間、ゾクゾクとした、恐怖にも似た感覚が襲ってきた。
「あっ、あっ、あぅ、り、りん、にぃっ」
「なんだ?名前」
「ちゅー……、ちゅうしてぇっ」
私はその感覚を少しでも和らげたくて、私の顔を覗き込んでいる竜兄に向って手を伸ばし、口付けを懇願していた。竜兄はもう一度私に貪るような口付けをする。私もそれに応える。お互いの唾液が混ざり合い、口の端から零れていく。
「はぅっ、んっ、むぅっ、ふっ、む、んぅ――――っ!」
ビクン、と一際大きく私の身体が跳ねると同時に、蘭兄のモノが更に大きくなる。するとすぐに蘭兄は私のナカから自身を引き抜き、お腹へと白い欲を吐き出した。
「名前ちゃん、気持ち良かった?」
「ぁ……ぅ……」
「あちゃー、やりすぎちゃったかな」
「おい兄貴、俺まだなんだけど」
「しゃーねーだろ。こんな状態の名前抱く気かよ。竜胆って鬼畜ー」
「兄貴がやりすぎなんだよ!ったく、いつもいいとこ取りしやがって」
二人が何やら言い争っているいるが、朦朧とした意識ではそれは聞き取れなかった。
私はそのまま目を閉じ、意識を手放した。
***
夢だ。夢に違いない。というか夢であってくれ。
翌日、目を覚ました私は昨晩のことを思い出して頭を抱えていた。
兄妹であんなこと、許されるはずない。そもそもなんで二人は私にあんなことをしたのか。そしてなぜ私はそれを許したのか。もうわけがわからない。
私は思い身体を引きずりながら、リビングへと向かう。正直二人と顔を合わせるのが怖い。
「おー、名前おはよー」
「もう昼すぎてンぞ」
リビングにはいつもと変わらない二人がいた。いや、変わってるところがひとつある。
「お昼ご飯……」
そう、お昼ご飯があったのだ。一体誰が作ったのか、とキッチンを見ると、竜兄がテキパキと洗い物をしていた。
「腹減ったぁー。竜胆、名前起きたし飯食おうぜ」
ぽかんとその場に立っている私に、竜兄は「早く顔洗ってこい」と言う。私は言われるがまま洗面所へと向かった。
「って、違う!なんで二人とも平然としてるの!?というか竜兄料理できるんだね!?」
「やったらできた」
じゃあ少しは手伝ってくれ……ッ!!いや、問題はそこではない。
「き、昨日のこと、なんとも思ってないの……?」
「昨日?」
「その……し、しちゃったじゃん!」
「何を?」
こやつらは言わんとわからんのか。というかこれは楽しんでる。絶対。
私はわなわなと震えながら、きっぱりと言い切った。
「セックスしましたよね!?私たち!昨日!」
数秒間沈黙したあと、蘭兄と竜兄が顔を見合わせ、すぐに私を見る。
すると真顔で「したよ?」と、サラっと肯定した。何言ってんの?と言わんばかりの顔で。
「なっ……な、なんで……」
そこで私は口ごもる。
もしただの性欲処理だったらどうしよう、気の迷いとかだったらどうしよう、そう考えたところで、これでは私が二人のことを異性として好きで、もう一度するのを期待しているようではないかと思った。
「なんでって、そりゃ、名前のことが好きだからだけど?もちろん女として」
なぁ竜胆?と蘭兄が竜兄に問いかけると、竜兄は「当たり前だろ」と、これまたサラっととんでもないことを二人は言った。
妹を女として好き、だなんて、そんなとんでも発言を簡単に言えてしまうその精神はいったいなんなんだ。
「なに、名前は俺らのこと好きじゃないの?」
「は?」
「だから、俺らのこと、男として好きかどうか聞いてンの」
洗い物を終えた竜兄が蘭兄の隣に立って問いかけてくる。
二人を男として好きかどうかなんて考えたことなかった。
でも――――
「男として見てなかったらファーストキスも処女もあげてないわよ!」
そう言い放って、私は部屋へと戻ったのだった。
いけないってわかっていながら