*灰谷兄弟*
*namechange*
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「疲れた……」
ぽつ、と独り言を言って、私は会社のデスクに突っ伏す。
なんかこれ、前にもあったな……。
とか思いつつ、なんとなくスマホを見ると、LINEのメッセージが来ていた。
相手はもちろん、愛しの彼氏、灰谷竜胆。
”明日辺りそっち行く”
「えっ」
思わず声が出た。そして疲れも飛んだ。
これは早く帰って明日竜胆を迎える準備をしなければいけない。
思い立ったが吉日。私は急いで帰り支度をして、小走りで会社を後にした。
***
「(買いすぎた……)」
両手にスーパーの袋を持ち、のろのろと夜道を歩く。
少し、いやかなり張り切りすぎた。
竜胆は料理がうまい。むしろ家事全般が完璧だ。そんな彼を迎えるとなると、それなりの料理を用意しなければ、と思った結果がこれだ。
「(こんなに使い切れないし、余った材料冷蔵庫に入れといたら竜胆に怒られそう……)」
使い切れない量は買うな、と怒る竜胆の姿が目に見えてわかる。
でもそれはそれでいいかな、なんて思うと、なんだか足取りが軽くなった。
「あれ」
自宅の前にスーツ姿の男性がいることに気付く。
「(まさか不審者!?)」
そう思った瞬間、男がこちらに気付き、どういうわけか、手をひらひらと振ってきた。
「名前ちゃん?俺灰谷蘭っていうんだけど」
知ってる?
と、目の前まで来て訪ねてくる。
「灰谷……?えっ、もしかして竜胆のお兄さん……ですか?」
「せいか~い」
にこにこしながら、その男――灰谷蘭は答えるのだった。
***
「ど、どうぞ」
緊張しながら蘭さんにお茶を出す。
竜胆から兄がいるとは聞いていたけど、会ったことはなかった。
しかしなぜここにいるのだろう。竜胆に会いにきたのだろうか。
「どうしたの?」
ボーっと突っ立ったままいると、いつの間にソファから立ったのか、蘭さんに顔を覗かれる。
思わずその顔にときめく。
髪型は違えど、顔は竜胆に似ている。さすが兄弟といったところか。
「なんでもな、」
蘭さんの顔が目の前にある。
唇に温かくて柔らかい感触。
状況が全く理解できないまま、蘭さんの顔が離れた。
私は目を見開いたまま、自分の唇に手を当てる。
「(今、キスされた……?)」
なんで、とか、どうして、とか、疑問ばかりが浮かんできたが、すぐに我に返る。
「何するんですか!」
少しだけ震える手を押さえながら、思い切り蘭さんを睨む。
「こんなに可愛い女を独り占めなんて、ダメだよなぁ」
そう言って不適に笑う蘭さんは、もう一度私に口付けた。
今度は先ほどと違う、深い口付け。
「んっ、ふ、ぅ……!や、んむっ!」
私はなんとかその唇から逃げようとするが、どうやっても逃げられない。
蘭さんの唾液が一方的に注がれる。飲めと言わんばかりに。
「……っ、はっ、あ、はぁっ」
長い口付けが終わり、私は荒く息を吸う。
両手は拘束され、自由が利かない。
「弟のもん奪うってのも、いいもんだなぁ?」
するり、と私の内ももを撫で、ストッキング越しに敏感なソコに触れられる。
騒いだら殺すから、と耳元で優しいけれど殺意のこもった口調で言われ、私はこれから起きることを理解した。
「いやっ、りんど……っ」
ボロボロと涙をこぼしながら、小さく竜胆を呼び続けた。
無駄だと知っていても。
***
「兄貴……?」
時刻が0時を回った頃、竜胆がやってきた。
リビングで裸で泣きながら震えている私と、ここにいるはずのない兄を見て、竜胆はすぐに状況を理解したらしい。
「竜胆、お前、こんないい女独り占めはずりぃだろー?」
「名前には手ぇ出すなって言ってたろ」
「おいおい、そんなに怒んなよ。もう終わったとこだし、帰るわ」
じゃーね、名前ちゃん、と言ってひらひらと手を振りながら玄関へ向かう蘭さん。
その途中、
「名前ちゃんの中、もう俺の形になっちゃったかもねー」
そう言い残して、蘭さんは夜の闇へ消えていった。
二人きりになったリビングには、私の嗚咽だけが響いていた。
竜胆からものすごい殺気を感じる。
今回ばかりは本当に殺されてしまうかもしれない。他の男を家に入れるなんて、いくらお兄さんでもきっと許されない。
「ごめっ、ごめんなさい……私っ、わたし……」
泣きじゃくる私を竜胆は優しく抱き締めた。
「悪い、俺がもっと気を付ければよかった」
優しいけれど、悔しさが滲む声。
私は竜胆の胸で、もう言葉を発することすら出来ないくらい、思い切り泣いた。
ひとしきり泣いた後、竜胆の顔を見る。
ああ、竜胆だ。
同じ顔でも、違う。
私は竜胆の頬に手を添え、口付ける。
竜胆もそれに応え、舌を絡ませる。
先ほどされた口付けとは違う、甘く、蕩けるような口付け。
「脚」
「え?」
「脚広げて」
唐突な言葉に驚いたと同時に、恥ずかしさと涙がこみあげてくる。
「や、やだ」
「いいから」
「ひゃっ……」
ふるふると頭を振って拒否する私の抵抗は虚しく、竜胆に無理やり脚を広げさせてしまう。
「チッ……。何回出された」
私のソコから溢れ出る白濁液を見て舌打ちする竜胆。
それと同時に、カチャカチャと自身のベルトを外しはじめる。
「わか、ない……」
正確な回数は本当にわからなかった。
途中から何も考えないようにしていたから。
「じゃあ、俺がずっと、何回でも出してやるよ」
ずぷっ、と一気に奥まで熱く硬いものが入ってくる。
「はっ、あっ!?」
完全に油断していた私は、突然の快感に耐え切れずに簡単にイってしまった。
びくびくと身体を痙攣させ、ナカをきゅきゅうと締め付ける。
「兄貴にも、そんな反応見せたのかよ」
「違う、ちが、あっ、あぁぅ!」
嘘は言っていない。
事実、蘭さんには全くの無反応を貫いた為、「マグロ?」と問われたくらいだ。
「こん、な、こんなの、竜胆だけ……!」
嘘じゃないの、と涙目で訴えると、竜胆は信じてくれたのか、優しく口付けをしてくれた。
「んあっ、は、あっ、あぁ!」
ずん、ずん、と奥を執拗に責められ、目の前がチカチカする。
ちらりと竜胆の顔を見ると、その綺麗な顔は赤く上気していて、余裕が無さそうで。
それだけでお腹の奥がきゅう、となった。
「くっそ……、一回目ッ」
「あっふあっ、ぁぁあ!」
どくん、と奥で竜胆のモノが脈打ち、熱いものが注がれていく。
一通り出し終わると、竜胆はまた腰を動かし始める。
「あっ、りんど、う……っ」
ぎゅう、と竜胆の首に手をまわす。
「離さないで……っ、ずっと、ずっと一緒にいてっ」
「当たり前だ、ばか」
唇を重ね、お互いを求めあう。
律動はどんどん早くなる。
私はもうずっとイキっぱなしで、竜胆のモノを無意識に締め付けていた。
「誰にも渡さねー……っ」
そしてもう一度、竜胆は私のナカに白濁液を吐き出した。
***
すー、すー、と寝息を立てて自分の隣で寝る名前の髪を、竜胆は優しく撫でる。
完全に油断していた。
名前の家の場所は兄には教えていなかった。
ただ梵天の力をもってすれば、家の特定など容易いことだろう。
自分の油断で、名前にひどくつらい思いをさせてしまった。
「ごめんな……」
名前の頬を撫で、小さく呟く。
本当は名前の全てが欲しい。名前の全ては俺のものだ。名前は俺が絶対に守る。
そう言って、誰も寄り付かなくなれば何も問題はないのに。
今の自分の力では、それができない。
もしマイキーに名前を寄越せと言われたら?
もし兄貴が本気で名前を奪いにきたら?
そうなったら、きっと自分では守れない。
守ろうとする自分を殺して、名前を奪っていくだろう。
自分と出会ってしまったせいで。
自分と恋人同士になってしまったせいで。
名前の日常は平穏と危険の境界にある。
だけど、せめて、その日常が平穏であってほしい。
そう願って、竜胆は名前の左手の薬指に口付けを落とした。
ちかい