暁その他
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お題:日常シーン10題
『霧の濃い朝』
by確かに恋だった
「おい、窓開けんなよ、うん」
目覚めの第一声は、それだった。
入ってきた冷気は部屋の熱をじわじわと侵食する。
空っぽになったベッドの隣が、余計に冷たくなった気がした。
毛布をかき集めて纏っても、彼女が隣に居るでも無し。
隙間ができた胸はまだぬくもりを取り戻せずにいた。
寝惚け眼を擦り、少し恨めしげに彼女を見る。
彼女はちらと笑っただけで、窓の前で外気を受け止める事をやめない。
――そういや、こいつは旦那と同じで砂出身だっけ。
そこに気付いたら、理解は早かった。
霧隠れに来る事を楽しみにしていた事も。
こうして楽しげに朝霧を浴びている事も。
全ては珍しさ故。
……餓鬼か、うん。
そう思ってはみても、声にはならない。
幸せそうに目を細めて伸びをする姿は、美しかった。
芸術家が、愛した人間を己の芸術で表したがる気持ちがよく分かる。
芸術家が愛す人間は大概美しいし、例に漏れず、彼女もそうだ。
事実、他のメンバーから奪い取るのに苦労した。
それすら愛しい記憶となるのだから、オイラはもう末期。
こいつに魅せられた内の1人で、こいつを魅せてる唯1人。
そう思えば、口角が上がった。
彼女を呼んで、手招く。
近くに来た手を取り、冷えた肌を布団に引き込んだ。
「ここにいろ、うん」
やっと戻った柔らかい感触に、胸も温もった。
暴れた所で、もう霧の世界には離してやらない。
天性の芸術を愛でるのは、オイラ1人で十分だ。
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『霧の濃い朝』
by確かに恋だった
「おい、窓開けんなよ、うん」
目覚めの第一声は、それだった。
入ってきた冷気は部屋の熱をじわじわと侵食する。
空っぽになったベッドの隣が、余計に冷たくなった気がした。
毛布をかき集めて纏っても、彼女が隣に居るでも無し。
隙間ができた胸はまだぬくもりを取り戻せずにいた。
寝惚け眼を擦り、少し恨めしげに彼女を見る。
彼女はちらと笑っただけで、窓の前で外気を受け止める事をやめない。
――そういや、こいつは旦那と同じで砂出身だっけ。
そこに気付いたら、理解は早かった。
霧隠れに来る事を楽しみにしていた事も。
こうして楽しげに朝霧を浴びている事も。
全ては珍しさ故。
……餓鬼か、うん。
そう思ってはみても、声にはならない。
幸せそうに目を細めて伸びをする姿は、美しかった。
芸術家が、愛した人間を己の芸術で表したがる気持ちがよく分かる。
芸術家が愛す人間は大概美しいし、例に漏れず、彼女もそうだ。
事実、他のメンバーから奪い取るのに苦労した。
それすら愛しい記憶となるのだから、オイラはもう末期。
こいつに魅せられた内の1人で、こいつを魅せてる唯1人。
そう思えば、口角が上がった。
彼女を呼んで、手招く。
近くに来た手を取り、冷えた肌を布団に引き込んだ。
「ここにいろ、うん」
やっと戻った柔らかい感触に、胸も温もった。
暴れた所で、もう霧の世界には離してやらない。
天性の芸術を愛でるのは、オイラ1人で十分だ。
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