砂ノ里短編
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「あー!我愛羅様!待って下さい、お茶でもご一緒に……!」
「すまない。忙しいので無理だ」
冷たい!と喚く清香を見向きもせずさっさと執務室へ消えていく我愛羅。
その様子を廊下に凭れてのんびり眺める。
手のひらに乗せた袋から菓子を摘みだして、一つ口に放った。
きいきい怒りながら歯を食いしばっている清香お嬢様。
彼女は、風の国の大名の娘だ。
会合の時に顔を合わせた我愛羅をいたく気に入ったらしく、口説き落とそうと砂ノ里に訪れている。
いくら風影とはいえ、忍者の嫁なんてとんでもない!と止める親の反対も振り切り、頻繁によく現れる。
親御さんもいつか冷めるだろうと諦めた様子で、最近は心配そうな顔をした従者だけを連れて来ている。
口の中の甘い塊を飲み下してから、清香に寄って菓子を差し出した。
「清香〜。ほれほれ、怒ってると眉間にシワが付くぜ。お菓子でも一つどうじゃん?」
「むー、カンクロウ様も後ろで笑っていないで、何かお口添えして下されば良いのに!
頂きますわ!」
ぷりぷり怒りながら、袋から菓子を摘んで、もぐもぐと口を動かす。
と、急に目を見開いて、顔を輝かせた。
「閃いた!お菓子を作って差し入れればよろしいのではないかしら。
殿方は胃を掴めと昔から言いますもの」
我愛羅様の好物は何ですの?と聞かれ、砂肝と返す。
我愛羅は何食ってても基本的に静かで変化が無い。
だが、砂肝を食う時だけは少し目が輝いてて可愛いのだ。
そうなんですのね、と納得してから、お菓子の好物ではないではありませんの!と抗議され、笑う。
「けれど、情報に感謝ですわ。砂肝の調理にも挑戦しなくては!」
ひとまずはやった事のあるお菓子作りから、と考える清香に、一つ疑問を投げかけた。
「なぁ、気になってんだけどよ。アンタはお姫さんだろ?
こんな忍だらけの所に男追っかけに来なくても、もっと優しくて安定した男が、国で沢山言い寄って来るんじゃねぇのか?」
地位もある。顔も良い。身体も正直良い。
身内が実際そうだから分かる。
そんな若い女が放っておかれる訳がない。
彼女は、腰に両手を当てて胸を張った。
「いやですわ、皆同じ事を言って。
私は私が好きな人が好きなんですの。
私に媚びへつらう、家柄だけで実力のない殿方なんて、私に相応しくありませんわ」
その点、実力主義の砂ノ里で地位のある殿方なんて、私にとっては最高に魅力的ですわ!
手を合わせてキャッキャと喜ぶ彼女に、へぇと感心する。
様子を見るに、我愛羅の顔や地位を見ているだけではなさそうだと分かってはいたが。
思ったよりも無邪気で芯が強い姫様だった。
にやっと笑みが浮かぶ。
「なぁ、その菓子、俺の分は無いのかよ?俺も結構甘いもん好きじゃん」
「あら、勿論ありますわよ。カンクロウ様は第2候補ですもの!」
にっこりと笑って堂々と言い放つ。
一瞬面食らったが、へぇ、とまた笑った。
「つまり、俺も対象外では無いって事じゃん?」
「ええ。ふふ、乗り気ですの?」
「どうかなー?清香次第じゃん。
ひとまず、アンタの言う通り、食の好みは大事だよな。
今度、アンタの好物の菓子を作って来てくれよ。それでお互い様子見ようぜ?」
袋に残った菓子2つのうち、一つを彼女に渡す。
残りの一つを摘んで、それを彼女の前に差し出した。
「素敵な提案ですわね。腕によりをかけなくては!胃を虜にされる覚悟はよろしくて?」
「ああ。お手並み拝見。楽しみじゃん」
互いにコツンと菓子を軽く合わせ、口に放り込む。
「それではまた、カンクロウ様。ご機嫌よう!」
元気に去っていく後ろ姿を見送りながら、口の中の甘さを噛みしめる。
そして、自分も彼女を驚かせる仕掛けを用意しておこうと、楽しい計画を立て始めた。
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