砂ノ里短編
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もぞりと寝返りを打つと、細い瞳と目が合った。
思わず驚いて固まる。
「眠れねぇみたいじゃん?」
「うん……」
もう寝てしまったんだと思っていたけれど、起きて観察されていたらしい。
ちょっと気恥ずかしくて、布団に鼻まで埋もれる。
「なんか、悩み事か?」
良かったら聞くぜ?と言われるが、別にそういう訳でもない。
ただ目が冴えて寝付けないだけなのだ。
「ううん。ありがとう。ただ、寝付けないだけ」
「ふぅん?そうか。ま、隣にこんな良い男が居たら、寝るのも勿体無くなるよな」
「何言ってんだか」
おどけてみせるカンクロウに、くすくすと笑う。
良い男なのは否定出来ないんだよなぁ、と内心こぼしながら。
「でも実際、良い女が隣で寝てるから、寝付けないのは俺の方なんだけどな」
「へっ?」
頭の後ろに腕を回して、彼は少し照れた様子で笑った。
「ここだけの話、いつもお前が眠るまで見ちゃってんのよ」
いたずらを打ち明けるように話されても、困る。
照れと恥ずかしさで、耳まで熱くなるのを感じた。
「な、ななななんで……」
「だって寝顔見てぇからさ。言ったら絶対、恥ずかしいって嫌がるじゃん?だからコッソリ楽しんでたんだよ」
「恥ずかしいよ……!もう、やだっ」
布団を頭まで被り、手で顔を覆う。
楽しげにくつくつ笑う声が響く。
と、ぺろりと布団をめくられ、厚い胸板へと優しく抱き寄せられた。
「あー、やっぱ可愛いじゃん。俺の清香」
頭を撫でられ、合間にひとつ、キスがそこに落とされる。
いい匂い、と満足そうに髪を嗅がれた。
「お、同じシャンプーだから……カンクロウも同じ匂いでしょ」
「同じシャンプーでも、清香の匂いもするから、違う匂いになってるぜ。俺の方も嗅いでみ?」
頭を押さえて見上げると、彼はそう言って頭を差し出した。
躊躇いがちに顔を寄せ、すんっと嗅ぐ。
確かに、彼の匂いが混ざって香った。
「ん……ホントだ。カンクロウの、匂いする」
「な?だから、清香の髪、すげぇいい匂いだぜ」
落ち着く匂いがする。
深く息を吐きながら、優しくそう言われるものだから。
邪険にも出来ない。
それどころか、同意してしまう。
安心する、カンクロウの匂いに。
「ふふ。カンクロウのへんたーい」
「んなっ……いいじゃんよ、ホントの事なんだから」
もっと嗅がせろ!とがばりと捕まえられ、きゃあきゃあと声を上げる。
「あははっ。でも私もカンクロウの匂い、落ち着く」
私もへんたいかも、と見上げると、少し赤くなった彼が驚いた様子で大人しくなる。
そのまま、彼の胸元に顔を埋めて、深く息をした。
少し速い鼓動が、耳に心地良い。
「なんか、これなら眠れそうかも……」
「お、おぅ……。それなら、良かったじゃん」
緩く抱きしめられ、頭を撫でられる。
とろりと、瞼が重くなる。
おやすみと呟いた声はちゃんと言葉になったか怪しかったけれど。
おやすみじゃん、と返った声は低く優しく響いて。
夢への道を後押ししてくれた。
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