砂ノ里短編
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隣で眠る彼女の髪をそっと指に絡ませて梳いた。
夢うつつの視界の中で、同じく薄ぼんやりと暗い部屋を彼女の肩越しに見る。
夜明けが近いのか、カーテンから射し込む光がうっすらと柔らかく線を引いていた。
その線を辿って、ゆるゆると視線を彼女に戻す。
昨日は月灯りで酷く妖艶に見えた姿が、今はあどけない天使の様に見える。
この世の幸せが降り注いで形を成したら、今この目の前にある形になるに違いない。
そして今、俺はその幸せに触れているのだ。
ふわふわとそんな事を考えて、ふ、と笑みがこぼれた。
彼女といると、全てがどうでもよくなる程に安心する。
こうして触れていれば、尚更。
のそりと少し身を起こしてから、彼女の頬に小さく口付けた。
「今日も可愛いじゃん、俺の天使様」
髪を撫でていると、うっすらと目が開く。
寝ぼけてまだ潤んだ瞳が、ゆるりと動いて俺を見た。
「ん……。あ、カンクロウ……」
「ん。おはよーじゃん」
「おはよ……。もう朝?」
目をしばたたかせ問う彼女に、もうすぐ夜明けだと教えてやる。
もぞもぞと身を捩りながら目を覚ますと、彼女は俺に合わせて身を起こし、軽いキスを俺にくれた。
「一緒に何か飲も。飲みながら朝焼け見よ」
「魅力的な提案じゃん。んじゃ、俺はコーヒーにするぜ」
「んふ。じゃあ、私はカフェオレにする」
ベッドからおりて、昨夜散らかした服をそれぞれ床から拾い上げて着る。
キッチンで身を寄せ合って触れ合いながら、ことことと湯が沸くのを待った。
ほこほこと湯気の立つカップをそれぞれに持ち、ベランダに連れ立って空を見る。
湯気が風にたなびき、コーヒーの香りが鼻を擽った。
寄り添う熱と早朝の肌寒さが心地よい。
「綺麗だねぇ」
「だな」
一面灰黒色だった空が、赤を覗かせ青みがかってくる。
地平線が光の線に染まり、彼女は眩しそうに目を細めた。
こんな美しい光景を、日常として2人で見られる事が何より嬉しくて、そっと彼女の名前を呼ぶ。
なぁにと振り向く彼女の頬を撫でて、朝焼けに彩られたその唇を眺めた。
夜明けの天使は、コーヒーの香りと、砂糖の甘い味がした。
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