砂ノ里短編
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「カンクロウって、良い彼氏だよね」
よく彼女は俺にそう言ってくる。
幸せそうに。
「当たり前じゃん、今更気づいたのかよ」
俺はおどけて答えるけれど。
内心は、怯えているのだ。
彼女が見ている「良い彼氏」という化けの皮よ、まだ剥がれてくれるなと。
彼女がよく褒めてくれる所といえば、俺が彼女を大切に扱っているという部分だ。
ドアを開ける時は俺が開けるし、人が混み合う場所では俺が彼女を守る様に囲っている。
休憩する時は壁側に誘導し、周りを気にせず休める様にするし、階段は常に下段に居る。
他にも、彼女の好みを把握してプレゼントや日常の物の用意をする。
彼女の予定も気にして日々サポートする、など。
紳士的にエスコートしてくれるから嬉しい、と彼女は喜んでくれる。
だが、その一見紳士的な行動は、薄皮一枚隔てた裏側の醜い独占欲からきている。
彼女が俺だけに触れるように、彼女の意識に必ず俺が居るように、彼女を囲む全てが俺の手垢のついた物事で埋まるように。
彼女を囲い込んでいる。
世間一般に見れば、こんな行動は歪んでいるんだろう。
それでも、やめられない。
この行動すらやめてしまったら、俺は。
きっと、彼女を縛り付けて外に出さなくなる。
傀儡と同じように大切に俺の手元でだけ動かして。
嗚呼。
そう出来たら、どれだけ幸せだろうか。
想像して、口元が歪に緩む。
だが、まだ。
彼女に嫌われたくないと理性が歯止めをかけるので。
俺は最大限「紳士的」に彼女に接する。
でも、そうだな。
夜の密事くらいは。
「なぁ……ちょっと試したい事があるんだけどよ」
「ん?なぁに」
「手とか、少し……縛りたいじゃん」
彼女の耳元に、仄暗い劣情をくゆらせる。
そっと肩から腕に手を這わせ、ゆっくりと指を絡め取る。
そして、逃さないように、握った。
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