砂の里短編
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お題:日常シーン10題
『イチョウ並木』
by確かに恋だった
背中で、枯れ葉が音を立てる。
金色の絨毯、正しくその通りだ。
今、赤く汚してしまっているのが申し訳ない。
美しい場所だ。
はぁ、と吐息を1つ溢した。
急所は何とか外したものの、ちと血を流し過ぎた。
少し離れた場所で事切れている身体を見やる。
任務なんだ。
許してくれとは言わないが、悪さしたあんたも悪い。
まあ、こんな綺麗な死に場所なんだ。
堪忍してくれよ。
私は、ここで一緒に死んでやれない。
「……それにしても、綺麗だぁ」
「はぁ、何をやってる」
唐突に降った声が、視界を埋める金に混ざった。
呆れた様子で見下ろす背の高い男。
傍にしゃがむ彼に、寝待ちだと笑ってやる。
背に回される逞しい腕に、されるまま身体を預けた。
「起きれらないか」
「あはぁー、出血大サービスし過ぎた。致命傷はないのよん」
上手く私をおぶさる形にして、彼は難なく立ち上がる。
熱のこもった項は、私の冷めた肌とはえらい差だ。
ついさっきまで、必死に走っていたかのように。
広い背に揺られながら、どうにも込み上げる笑いを抑えられない。
むず痒いというか、くすぐったいというか。
心配性め。
「あんたやっぱりいい男ー!」
「それだけ騒げれば大丈夫だな」
溜め息の中に安堵も混ざっているのは知ってる。
だからその礼に、熱い肌にキスを送ってやった。
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『イチョウ並木』
by確かに恋だった
背中で、枯れ葉が音を立てる。
金色の絨毯、正しくその通りだ。
今、赤く汚してしまっているのが申し訳ない。
美しい場所だ。
はぁ、と吐息を1つ溢した。
急所は何とか外したものの、ちと血を流し過ぎた。
少し離れた場所で事切れている身体を見やる。
任務なんだ。
許してくれとは言わないが、悪さしたあんたも悪い。
まあ、こんな綺麗な死に場所なんだ。
堪忍してくれよ。
私は、ここで一緒に死んでやれない。
「……それにしても、綺麗だぁ」
「はぁ、何をやってる」
唐突に降った声が、視界を埋める金に混ざった。
呆れた様子で見下ろす背の高い男。
傍にしゃがむ彼に、寝待ちだと笑ってやる。
背に回される逞しい腕に、されるまま身体を預けた。
「起きれらないか」
「あはぁー、出血大サービスし過ぎた。致命傷はないのよん」
上手く私をおぶさる形にして、彼は難なく立ち上がる。
熱のこもった項は、私の冷めた肌とはえらい差だ。
ついさっきまで、必死に走っていたかのように。
広い背に揺られながら、どうにも込み上げる笑いを抑えられない。
むず痒いというか、くすぐったいというか。
心配性め。
「あんたやっぱりいい男ー!」
「それだけ騒げれば大丈夫だな」
溜め息の中に安堵も混ざっているのは知ってる。
だからその礼に、熱い肌にキスを送ってやった。
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