砂の里短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(砂でハロウィンパーティー!)
もふもふの尻尾。
ツンと尖った柔らかな耳。
暖かそうな首元の毛。
「カンクロウすごい、本物の狼男だ!」
「へへっ、結構拘り抜いたからな」
そう言うと自慢気に尻尾を揺らして見せる。
可愛らしいそれらは本当に意思の通りに動くという。
パーティーの最初にこんなクオリティの高い仮装を見てしまったら、後のインパクトが薄れてしまいそうだ。
皆の仮装を楽しみつつお菓子を回収しようと考えていた為、なんだか勿体無いような気になる。
だがまあ、きっと我愛羅やテマリも華やかに決めているだろう。
めげる事はない、パーティーはこれからだ!
気合いを入れて顔を上げると、目の前には鋭い爪をつけたカンクロウの手。
首を傾げれば、にやりとした顔で、
「trick or treat !」
と言い放った。
驚くも、目の前の狼は意地悪で、お菓子がないなら悪戯するぞと追い討ちをかける。
慌てて手持ちの籠を探すも先程別の場所に置いてきてしまったもので。
ポケットというポケットを全て調べた結果、何とか飴玉を1つ見つけられた。
「はい、お菓子!」
大きな手には小さいそれにカンクロウは一瞬眉を潜める。
が、にやりとまた口角を上げると、長い爪で器用に包みを開け、私の口に押し込んだ。
飴を渡してほっとしていた私は、自然にそれを口の中に収めてしまう。
「はい、お菓子なくなっちまったじゃん」
「ふぇ!?」
「trick or treat?」
再度訊ねられても、お菓子なんてもうない。
状況が飲み込めず混乱する私に、カンクロウは容赦なく舌舐めずりする。
何か答えを返そうと開いた唇は、進入してきた舌に蹂躙された。
飴を弄ぶように舌が動き、牙に飴が当たってカラコロと音を立てる。
口の端に溢れた唾液を舐めとるカンクロウは妖艶で、私は力なく荒い息を吐いた。
「狼は我慢しねぇぜ?」
獲物を定めた狼は牙を舐める。
「さあ、楽しもうじゃん」
そう。
――ハロウィンの夜はまだまだこれからだ。
.