木ノ葉短編
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「やあやあ、久しぶり」
軽薄な声と飄々とした笑みで手を上げる銀髪長身の彼。
それが街を歩いていたら声を掛けてきた。
はっきり言う。迷惑だ。
「声に出てるよ、清香」
「あら失礼」
あんたと会うとロクな目に合わないんだよ。
この間はナルト君と3人で一楽に食べに行ったら、私が食べるのが遅いのをいいことに、勘定押し付けられそうになるし。
前に2人で街をぶらついて、珍しく何事もなく別れたと思ったら、いきなり暑苦しい眉毛のオッサンが現れて、こいつの彼女だと勘違いされるし。
更に誤解をとくのに1ヶ月かかって、その間ずっと付け回されて、「我がライバルの好みはぺったんこなのだなッ!」なんて失礼極まりない事吐かれるし。
しかもその1ヶ月こいつは音沙汰なしで、ほとぼりが丁度さめた頃にケロッとした顔で現れるし。
ああ、思い出したら沸々と怒りが……!
だが、ここで喚いても意味がない。我慢だ。
体の震える怒りをやりすごすように1つ息を吐き、ギロリとカカシを睨む。
「……で、何の用? 言っとくけど、下らない用なら聞かない。絶交してやる」
「絶交」なんて、アカデミー生の喧嘩文句のようだが、冗談でなく、そろそろ本気でそうしたい。
当のカカシはというと、首の後ろをさすりながら、「んー」とこぼした。
「でも、今回は真面目な話だ。ちょっとした緊急事態なんだよ」
急に真面目な声音になって、こちらを見る。
そう言われて思い出すのは、つい最近に起きた小国からの暗殺者騒動。
「何、新手でも来たの!?」
「おっ、さすが話が早いねぇ」
「それを先に言いなさいよ、馬鹿!」
言い終わる前に動き出した。
場所はと訊けば、すぐ近くだという。
まずい、ここは大通りの近くだ。
被害が出る前に人気のない所に離さなければ。
先導していたカカシが止まり、ここだと示す。
そこには10人ほどの人が集まっていて、しまった遅かったかと人だかりの中に突っ込んだ。
「どいて! ちょっと、前に通して!」
すると、私に押された男が憤慨して怒鳴った。
「何だよ!? 俺は3時間も前から並んでんだぞ!? 欲しいのは皆一緒なんだから、割り込みすんなよな!」
押し返されて、呆気にとられる。
冷静になって周りを見渡してみると、ここは本屋だと分かった。
そして入り口には、立て看板。
ぽんと肩を叩かれて、振り返れば、妙な笑顔をしたカカシがいた。
「いやー、イチャイチャシリーズの新装版が先着50名限定特典付きで発売されてね。この特典が2種類あって、2人で並べば片方ずつ選んで手に入るだろう?」
って訳で、ハイ、ここ並んで。
私の両肩を掴んで、列の一番後ろにつく。
ぷっつん、と、頭で切れる音がした。
「千年どころか、万年くらい死んでこい、このど腐れ野郎がぁあああ!!」
綱手さまやサクラちゃん程ではないが、いい拳が打てたと思う。
呻いて数メートル先に落ちた身体には目もくれず、私はさっさと踵を返した。
「――帰る!!」
もう二度と、金輪際、一切、コイツの言う事なぞ聞くものか!
「清香に最近無視されるようになっちゃったんだけど」
「当ったり前だってばよ。カカシ先生自分の態度省みろってば」
「馬鹿ね、ナルト。その気がないからこうなってんでしょ」
「だって、彼女からかうと面白いから、やめられないんだよね」
「ほらみろサイテー」
「ねぇ、次告白したらどうなると思う?」
「駄目な大人だってばよ……!」
「一楽のラーメン賭けるよ」
「乗ったぁ!!」
「いい加減にしろこの駄目男共がぁ!!」
END.