木ノ葉短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そんなに拗ねないで、油女先生」
「拗ねてなどいない。ただ、許せん。清香に告白などと……!
何故なら、清香は俺のだからだ」
どうどうと熱り立つ肩を叩き、困った様に微笑まれる。
先程、そろそろ帰ろうと訓練場に居る清香に声を掛けに言った際、聞こえてきたのだ。
「オレ……!オレいつか、清香先生とケッコンする!」
清香が居残り稽古をつけていた生徒の、元気の良い声が。
ザワザワと身体中の虫が膨れて飛び出しそうになった。
だが、相手は生徒だ、虫をけしかける訳にはいかない。
必死に抑えている間に、いつしか話し声は止み、生徒と解散した清香が俺の所へやって来た。
「油女先生。怒気が抑えきれてませんよ。もう、生徒が怖がっちゃいますから、程々にしてください」
くすくすと笑って、清香が俺に歩み寄る。
彼女に、先程聞こえてきた会話について詳細を確認した。
「ふふ。アカデミー生の頃は、先生がカッコよく見えますからね。仕方ないでしょう」
そのうち忘れちゃいますよ、と言う清香に、ふと思いつく。
「ということは、清香は……アカデミー生の頃、先生の誰かが好きだったのか?」
「もー。そういう所だけ妙に鋭いですよね、油女先生は」
「誰なんだ?」
しつこく尋ねると、過去の事ですからね、と溜め息をついてから清香は口を開いた。
「イルカ先生でしたよ?ふふ、懐かしい。結構女の子から人気あったんですから、イルカ先生」
「そう、なのか……」
イルカ先生は、確かに、若い頃から温和で、叱る時は厳しくも穏やかに叱ってくれて。
先生としても、人としても、出来た人間だと思う。
清香が惚れるのも、無理はない。
それに比べて、俺は……。
じめじめと湿気た空気を纏い始めた俺の頬を、清香の両手が包む。
「油女先生ー、過去の話ですよー。ね……結局、私が選んだのは貴方ですよ、シノ君。貴方が好きです」
小さく背伸びをしてから、ちゅ、と可愛いらしい音と共に柔らかな感触が唇に触れた。
途端に、考えていた暗い思考が全て吹っ飛ぶ。
ぎゅう、と思わず抱きしめると、あやすようにトントンと背中を優しく叩かれた。
「……ふふ。職場ですし、続きはお家で、ね。私の照れが凄いので、そろそろ離して下さい〜」
「……もう一度、誰を選んだかだけ言ってくれ。そしたら、離そう」
「えぇ?……後で、」
「駄目だ。何故なら、俺は今、少し臍が曲がっているからだ。今、聞きたい」
「うぅ……。シノ君が……、好き、です」
「俺もだ」
額にキスを落としてから、真っ赤になった彼女を離す。
本当なら、そのままあちこちに口付けて、手など繋いで歩きたいが、そうもいかない為、我慢する。
この気持ちの全ては、家に着いてから彼女に知って貰う事にしよう。
「帰ろう。……一緒に」
「はあい。じゃあ、職員室で日誌書き終わるまで、少し待ってて下さいね、油女先生」
「分かった」
頷いて、隣を歩く清香と歩調を合わせる。
この先も、ずっと。
彼女が選んでくれた隣を、共に歩きたいと願いながら。
.
26/26ページ
