木ノ葉短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
近頃、困っている。
この、妹のような幼馴染みに。
「あ〜、疲れた〜」
「ぐぅっ……」
どさりと、もう小さくない背中が胸に預けられる。
幼い頃は確かにこうしてじゃれ合っていた事もあったが。
彼女は今年から高校生で、俺も今年には卒業だ。
何も意識していないとしても、異性とこんな接触は避けるべきだ。
特に、親も不在の、リビングのソファなんかでは。
「重い。どいてくれ」
「えー、重いとか失礼すぎ!」
確かに年頃の女子には禁句だろう。
だが、年頃の男女がこんな体勢で座っている方がよほど問題だ。
「家に帰れ。何故なら、宿題の手伝いはもう終わったからだ」
「やだー。疲れた」
「すぐ隣の家だぞ」
「シノ兄冷たーい」
ぷぅ、と頬を膨らませる清香にため息をつく。
引き剥がすか、と肩を持つと、その手に柔らかな手が重なった。
驚いて見ると、首を傾げてこちらを見上げる瞳と目が合う。
「……ね、シノ兄。私……」
瞳がつややかに潤んでいる。
その瞼の端は、ほんのりと紅色に。
「もう、子供じゃ、ないよ……?」
ごくり、と知らずに唾を飲む。
瑞々しい唇に吸い寄せられるように顔を近づける。
清香の長いまつ毛が伏せられ、やがて閉じる。
そして。
「いったぁ!?」
ゴチン!とぶつかった額から良い音がした。
額を押さえた清香が、痛みに悶えて身を屈めている。
「誘いに応えるには、まだ早いな」
自身も痛みに耐えながら見下ろすと、キッと涙目で睨まれる。
そして、脳天にチョップがお返しされた。
「んぐっ……」
「シノ兄の馬鹿!乙女の勇気に何するのよっ!」
きぃきぃと怒りながら、清香は荷物を持って大股でドアへと向かう。
「いつか絶対落としてやるんだから!」
「無理だな」
「いーっだ!今に見てなさいよ!」
バタンと閉じた扉の向こうから、賑やかに彼女が去っていく音が聞こえる。
ふぅ、とチョップを食らった頭を撫でながら、扉の向こうに消えた彼女を見つめる。
そして、小さく口を開いた。
「何故なら……もう、とっくに落ちているからだ」
色艶のよい唇を思い出しながら、自身の唇に指先で触れる。
子供じゃないから、慎重になっているのだ。
まだ、今の俺では何の責任も果たせない。
だから。
その時が来たならば。
「逃がしはしない。決して」
彼女の匂いがまだ残る指先を、かり、と少し喰んだ。
.
