木ノ葉短編
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「ちょ、ナ、ナルト!お願いだから、離してっ……」
「清香ちゃ~ん。へへっ」
「へへっじゃなーい!もう……」
ある昼下がり。私の家にナルトが遊びに来た。
去年漬けた梅酒が良い具合になってきたので、一緒に飲もうと誘ったのだ。
本当は皆にも声をかけたんだけど。
全員、ナルトを誘えば?と口をそろえて言ってきた。
皆私がナルトを好きなの知ってて、100%面白がって言ってる。
ナルトには一番最初に声をかけてOKされてたから、必然的にナルトと二人きり。
皆にお礼を言えばいいのか、恨めばいいのか、悩みどころ。
だけど、今一番問題なのは……
「清香ちゃ~ん。ヒック」
すっかり出来上がってしまっている、目の前のナルト。
ウチのはちょっと濃すぎるから薄めて飲まないといけないんだけど。
それを言う前に「あっこれうめーな!」とゴクゴク飲んでしまい、ナルトは一瞬で酔っ払いに変化した。
頬をうっすら赤く染めて、にひょにひょ笑ってこっちにすり寄ってくる。
あわてて逃げてもすぐに捕まえられて、しまいには抱きつかれてしまった。
至近距離にナルトの顔があって、私の方を見て笑ってる。
うん誰か答えようか。
一体これはなんのいじめ!?
「ナルトー、離してよ私死んじゃう」
「やだってばよー」
「やだって言っても本気で心臓崩壊するよ私!」
もうどうしよホントにうるさい私の心臓。
「えー? 清香ちゃん心臓こわれるのかぁ?」
よくそんなに動けるもんだと心臓に悪態をついてると、胸の上ですりっと何かが動いた。
見ると、ナルトが私の胸に耳を当ててる。
てか、胸っ!?
「あ、清香ちゃんの胸ホントにバクバクしてるってばよ! 清香ちゃんなんかあったのか?」
驚いて思わず後ろにのけぞった私に、無邪気な瞳が向けられる。
顔が熱くなるのを感じ、慌ててふいっと視線をそらした。
「そっそれはナルトが……っ」
「んーじゃあ落ち着くようにこうするってばよ」
「え……って、ひゃッ」
やっと手を離してくれたとホッとしたのも束の間。
目の前であぐらをかくと、ナルトは私を抱えて膝の上に乗せてしまった。
「ちょ、ナルトっ! 待った待った私これじゃよけいにっ……ふむっ!?」
ふにっとやわらかいものが私の唇にあたる。
瞬間、頭が真っ白になった。
――ナルトと唇が重なっている。
真っ白になった頭がようやくその現状を理解した時、ナルトの顔が静かに離れていった。
――下、もとい床に向かって。
「ちょっとまってっ!」
慌てて落ちていく頭をキャッチしてみれば、
ナルトは気持ちよさそうに「スースー」寝息を立てていた。
「はあ……さっすが意外性NO.1」
なんだか、一気に脱力した。
とりあえずいつまでも抱えている訳にはいかないので、近くにあった座布団を引っぱり、そこに寝かせる。
「なんでこうなるかなあ、調子狂っちゃうよ」
まあ、ナルトと一緒にいて調子そのままなんてありえないけど。
ナルトの上からどいて、タオルをかけると、
ふと、目につく唇。
やわらかかったな……
思い出して、また顔が熱くなる。
「もう、起きたら覚えててよね。勝手にファーストキス奪ってくれちゃって」
ぐいぐい、とナルトの額を押すと、唸ってナルトが身を捩る。
でも、ナルトでよかったな、なんて。
思ってるんだから私も私だよね。
ふうっと息を吐いて、梅酒を自分のグラスに注ぐ。
ナルトが起きた時、顔が赤くても全部全部梅酒のせいにしてやるんだ。
ぐいっと煽った甘い匂いの液体は、におい通り甘くて……少し、すっぱかった。
END.
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