Walk side by side.
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「シノー!お待たせ」
小洒落たカフェから、彼女が出てきた。
「上手く話は終わった様だな」
「うん!お陰様で、晴れてフリーの身になったわ」
たった今別れ話を済ませてきた彼女は、少しの疲れを滲ませながらも、清々しく伸びをした。
カフェの方に視線をやれば、先程彼女と向かい合っていた男が項垂れている。
目が合ったので、男から見える様に彼女の肩に手を回した。
何も知らずもじもじと照れる彼女と、並んで歩き出す。
「あ、の……シノ。本当に、私でいいの?」
「ああ。何故なら、お前でないなら、他の誰も代わりになどならないからだ」
「そっか……ふふ。嬉しいな」
少し不安げに問う彼女に、はっきりと言う。
頬を染めて嬉しそうに笑う清香が眩しくて、一度足を止めた。
「清香の方こそ、いいのか」
清香に、問い返す。
彼女の眩しさに、不安になる。
俺が触れる事で、それを曇らせるのではないかと。
「俺はキバの言う通り、重たい男だ。
隣に立つなら、最後の男になるつもりでいる。
……それで、問題はないのか」
清香は目を見開いてから、考える様に俯いた。
そして、そっと口を開いた。
「私ね……私、あの人が浮気してから、ずっと悩んでたの。
私が、悪かったのかなって」
自分に魅力が無かったから。
何か相手を苦しめる事をしたから。
自分に何か、何か、足りない物があったから。
悩んで悩んで、自分を責めて。
ついに、酔って自暴自棄になった。
「シノは、それでも私を見てくれた。私と向き合って、受け止めてくれた。だから、分かったの」
清香が顔を上げて、面映ゆそうに笑う。
「大切に想い合うって、こういう事なんだって。シノとなら、お互いに大切に出来るって思えたの」
彼女の両手が、俺の手をそっと掬い上げ、包む。
「こちらこそ、お願いします。私を、シノの最後の人にして下さい」
彼女の手を包み返すと、細い指先がふるりと震えた。
額をつけて、彼女の肌の熱を感じる。
緩む頬は、抑えようがなかった。
「勿論だ。一生、大切にする」
「ふふ。……とっても嬉しい。ありがとう、シノ」
嬉しさのあまり口付けたいのを堪え、代わりにそのまま手を繋ぐ。
持ちきれぬ程の幸せを手に、歩き出す。
彼女と共に、歩幅を合わせて。
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