抒情歌
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胸を掻きむしって叫んだ。
目の前の光景を信じたくなかった。
夢であってくれと馬鹿な事すら考えた。
己の方が夢であるのに。
近頃、清香の心に変化があるのは気付いていた。
俺と居ても、どこか別の所に気持ちが向いていっているようだった。
気の置けない友人のように、俺と戯れてはくれるが。
確実に、俺に全てを向けていた以前とは、変わってしまっていた。
それでも、清香の一番大切な心に触れられるのは俺だけだと思っていたのに。
清香はそれを、他の人間にも触れさせてしまった。
例えどんなに、清香と過ごす時間が少なくても、現実では忘れられてしまっても。
住む世界が違っても、触れられなくても。
清香が本当に全てを向けるのは俺だけだと、それさえあれば耐えられたのに。
……許せなかった。
何もかもが、許せなかった。
清香と過ごした今までの、全てが裏切られてしまった。
清香が、そうするなら。
俺以外を見てしまうなら。
取り戻さなくては。
全てを取り戻して、根こそぎ奪って、握り込んでしまわなくては。
もう二度と俺以外に清香の全てを渡そうなんて、気の迷いが起きないように。
俺たち2人だけの日々を、未来を、もう清香自身にだって奪わせないように。
清香に、今までの記憶を渡すのを止める事にした。
渡してしまったら、きっと清香は安心してしまう。
それじゃあ意味が無い。
安心は油断や慢心、甘えを生む。
清香が他の事を考えてしまう余裕を与えてはいけない。
俺に向き合った時、全てを俺に向けてくれなくては。
今まではそれで俺が満足していたから、彼女の望む夢を見せていたが。
もう、その必要もないと気付いた。
清香の想いがどんなものであれ、全てが俺に向けられるのであればそれで良いのだから。
そして、今まではそこで満足していた為に失敗した。
足りないのだ。
だから。
清香がまだ誰にも渡していない物を貰おう。
繰り返し、繰り返し。
清香の魂に俺を刻み付けて、俺以外の誰も入る隙を与えられないように。
清香の全てを余さず味わい尽くそう。
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