シンデレラ
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あれから。
彼女とは、もう数えるのも忘れる程、共に出掛ける仲になっていた。
週に1回は彼女と映画や食事、買い物や部屋に遊びに行くなどして過ごしている。
友人として、彼女の隣で過ごす時間はとても楽しかった。
最早、彼女の居ない頃に自分がどう過ごしていたのか忘れる程に。
彼女の存在は俺の生活の一部だった。
「いや、それもう告白待ちだろ」
キバが俺をジトリと睨んだ。
「はー……それで付き合ってねぇとかマジ?むしろ逆になんで手出さねぇんだよ」
「彼女は大切な友達だ。手など出さない」
「相手からサシ飲みとか誘われてねーの?」
「断っている。なぜなら、彼女の事を大切にしたいからだ」
「……はーァ。これだから堅物ドーテーは」
呆れ顔でキバが溜め息をつく。
むっと顔をしかめていると、キバがとんっと肩に手を置いてきた。
「いいか?シノ。次誘われたらな、一回だけ乗れ。本ッ当にお互い友達だと思ってんなら、それでおかしな事にはならない」
でも、と彼は続ける。
「もし、何か事態が動くなら、お前はちゃんと自分の気持ちに向き合え。そこまで来て言い訳なんか考えんな」
首を捕まえられて、ガシガシと豪快に頭をかき回される。
「お前が頭良い奴なのは認めるけどよ!あんま人間関係で頭ばっか使ってると、カッコ悪ぃぞ」
離せと抗議すると、キバはからからと笑いながら離れた。
ボサボサと毛羽立ったような頭を押さえる。
寝ぼけたヒヨコみたいだと笑うキバを拳で小突いた。
「そんじゃ、童貞卒業出来たら教えろよ。お祝いしてやるからよ!」
手を振って、キバは赤丸に飛び乗った。
これから新しい彼女とデートらしい。
颯爽と去るキバの背中を見送りながら、密かに感謝を投げる。
キバの言う通りだな、と思った。
俺は考え過ぎて、言い訳をしていたのかもしれない。
彼女に対して失敗をしたくないが為に、彼女の気持ちも無碍にしていたのかもしれない。
一度、キバの言う通りに。
キバのように身軽になって、彼女の誘いを受けてみよう。
もし、彼女から再度誘いが来たのなら、次は。
ぐっと拳を握って、そう決意した。
そして、その2週間後。
俺は、彼女の誘いを受け、夜の街へと足を向けていた。
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