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巣をつつかれた蜂の如く、噂は見る間に飛び交った。
休憩時間にはちょっとした騒ぎになるくらい。
下級生始め、教室まで色んな生徒が物珍しげに覗きに来る始末だ。
それでも、声を掛けてくる女子がいないのは、やっぱり。
「周りに皆がいるからかねー……」
今、シノの周りはちょっとした囲いが出来ている。
私の友人2、3人に、キバとヒナタ。
その中心にシノ、そして私。
シノは登校してからずっと、当然の様にべったりと私にくっついている。
それで安心した顔してるから、文句はないけど。
どうしてこんな状況かと言うと、慌ただしい朝の出来事が発端だ。
シノが登校して、まず教室がパニックになった。
席の位置や、真っ直ぐこちらに来て話す様子から、すぐに彼の正体が割れた。
私は隣にいた友達から説明を求められ、シノはすっ飛んで来たキバにガクガクと肩を揺すられていた。
そうこうする間に教室の周りに人が集まり始め。
ヒナタの注意で気付いたキバが「まずい、囲め!」と叫んだ事で、この状況になる。
囲ってもらう間に、友達にシノとの事をかいつまんで話した。
話した後は、お互いに微妙な空気になった。
当然だ、友達なくす事も覚悟の上で、昨日告白したのだから。
息をのんで彼女達の言葉を待つ。
けれど、友人の反応は予想斜め上だった。
「いや、なんか……清香前にして言うのもアレだけどさ」
「え?」
どこか引っかかった様な声で、彼女達は話す。
端的に言うと、冷めたらしい。
「中身油女って思うとさ、ちょっと。付き合えるの清香くらいだって」
それにもう付き合ってるんでしょ、と机の上で堂々と繋がれている手を指差される。
顔が一気に熱くなるのがわかった。
「まー、頑張って! 応援するから」
拍子抜けする程すんなり受け入れられ、話は別の話題へと切り替わる。
そうして、今に至る。
意外にもこの方法はこうかばつぐんで、今の所、誰にも絡まれてない。
それでも、外側の好奇入り乱れた空気がちょっと怖い。
動物園のパンダとはさながらこの様な気分だろうか。
バリケードの如く周りを固めてくれている友達に、本当に申し訳なくなる。
「だからさぁ……って、どうかしたぁ? 清香」
「その、ホントごめん。巻き込んじゃって」
「いいって。この位全然ダイジョーブ!」
怒るどころか、彼女達は笑ってくれ、私の頭を撫でる。
それより自分の心配してよね、と皆で口々にアドバイスをくれ始めた。
じわり、視界が少し滲んだ。
「ヤバい、シノより皆に惚れそー……」
「あー、清香。嬉しいけど、油女が聞くとそれマズいかも」
後で聞いた所によると、シノは即座に振り返り、何とも言えない目で私の背中に訴えていたらしい。
友人曰く「捨てられそうな爬虫類みたいだった」らしい。
ちょっとよく分からないですね。
にじゅういち。