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瞼を開く。
鏡の中の自分と目を合わせ、確認した。
――おかしい所はないはずだ。
息を吸って、鞄を持ち、部屋を出た。
「あら、珍しい。今日は早いじゃない」
何かあるの? と問う母親に、「ただ早く目が覚めただけ!」と言って、朝食に着いた。
恋人が出来て浮かれてます、とか、口が裂けても言えない。
いつもより少し支度に時間をかけて、家を出る。
早く学校に行きたいとか思ったの、生まれて初めてな気がする。
結局、いつも通りの時間に学校に着く。
教室に入ってから見渡しても、まだシノは来ていなかった。
少しがっかりして、そんな自分にちょっと苦笑した。
どんだけ浮かれてんだろ、自分。
机についてから、頬を板にくっつける。
熱冷ましにはちょうどいい。
昨日の事を思い出すと、よく上手くいったなと信じられない心地だけど。
――全部、夢じゃない。
「清香、清香! おはよ!」
突然降った声に驚いて、肩が跳ねた。
反射的に上げた顔の正面に、友達の顔があった。
瞳が興味で輝いてる。
そうだ、忘れてたけど、私は彼女にも告白をしてたんだ。
机に両腕を乗せて、こちらに身を乗り出し、囁き声で訊いてくる。
「で、どうだったっ? うまくいったの?」
「あー、えっと」
「顔めっちゃ赤! 良かったぁ、上手くいったんじゃん~っ」
両手を取って軽く振られる。
自分の事の様に喜んでくれる彼女に、照れ臭さ半分、罪悪感半分で言葉に詰まった。
「ね、どんな感じだったの? 聞いていい!?」
「えと、えーっと……」
暑さのせいじゃない汗が背中を伝った時、教室の入り口がざわめき立った。
2人でつとそっちを見て、そのまま固まる。
「え、あれ……」
「シノっ……」
そこには、彼の姿があった。
琥珀を曝した、シノの姿が。
はたち。