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相変わらずの彼の部屋に通され、座椅子の上に腰を下ろす。
シノはカーテンを開けて部屋を明るくすると、向かい側に座った。
話をする態勢になってから、私はぺこと頭を下げた。
「まずは、急に来てごめんなさい。そんで、入れてくれてありがと」
「いや、俺の方こそすまない。暑い中、待たせてしまった」
重苦しい声音でゆるゆると首を振った後、一拍、沈黙が落ちた。
「……今日、キバ達と話した」
ピクリと彼が身動いだ。
「昨日の事、話したんでしょ。それ聞いてさ、私も、一回ちゃんと話しないとって思って」
覚悟を決めて、シノの方を見る。
シノは相変わらず床に視線を向けていて、サングラスをしていないにも関わらずその表情は読めない。
けれど、ちゃんと伝えなくては。
「シノ、私は……」
「清香ッ!」
途端、視界が揺れた。
肩を押された圧迫感と、カーペットへ乱暴に背がつく感覚。
そして、視界が止まった時には、一杯の彼の顔と天井が僅かにだけ見えた。
声は、出ない。
昨日と同じ唇の感触に、ただ口を塞がれていた。
必死に体を押さえつけられ、言葉を奪おうと唇を貪られる。
「ん、んんっ……」
「好きだっ、ん、っ。好き、なんだ。嫌だっ、清香……!」
怖い。
自由を奪うだけでは飽き足らず、彼は身体を暴きに掛かってきた。
片手で私の手首を掴み、ブラウスの下からもう片方の手を突っ込まれる。
唇を抉じ開けて舌が這い、両脚には彼の体重が掛かる。
だから、私は。
「……っ!?」
空いた腕を彼の背に回した。
彼の舌も受け入れ、一切の抵抗をしなかった。
先程までの乱暴さが突然嘘の様に成りを潜め、動きが止まる。
そして混乱した様子で顔が離れ、シノは私を見た。
そして、私はその言葉を言う。
「……好き」
「は。な、にを……」
「好き、シノ。私も、シノが好き」
襲われたのも、先に好きと言われたのも私の方なのに。
彼の方が、怯えた目をして、理解が追いついていない状況だった。
「お前は、キバが……!」
「キバは友達。今日、私、シノに告白する為にここに来たからね」
目を見開いて黙ってしまった彼に、私も一度、口を閉じる。
正直、私も緊張と動悸でどうにかなりそうな状況だ。
なんとか言うべき事だけは言えたけど。
顔の熱さが限界を訴えている。
「本当、か。本当に、キバではなく、俺が……」
「うん。……てか、もう勘弁して? そろそろ、ちょっと恥ずかしい」
「あ、いや。そう、だな」
「あと、ごめん。重いからどいて」
「あっ、すまない」
慌ててシノが私から退き、座る。
私も、漸く軽くなった身体を起こして、息を整えた。
「はぁ。毎回急なんだから、もう」
「その、すまない……大丈夫か?」
「いいよ。ただ、その……次からは、優しくしてよね」
「っ、次……?」
「あっ! え、先走った? ごめん。両想いなら、その、次あるかなって」
「清香」
手を握られ、そのままそっと引き寄せられる。
大人しくされるままでいると、シノの腕の中に収められた。
優しく、しかしどこかしがみつく様に、抱きしめられる。
肩口に埋められた頭から、くぐもった声が出される。
「好き、だ。清香、好きだ」
「……あー、もう。私も、好きだよ、シノ」
背中に手を回すと、ぽんぽんと拍子をつけて叩く。
彼が落ち着くまで、少しの間、抱き合っていた。
じゅうはち。