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最悪な目覚めはこれで何度目だろうか。
もう、無理だ。
いくら隠す真似が上手くても、飄々とした振りが上手くても。
適当人間でも。
何事もなかった様にシノに接する事は出来ない。
もう、分からない。
シノは、何がしたかったのか。
何を思っているのか。
恋人にはなれなくても、友達ではあると思ってた。
だから、分かりにくい奴だけど、理解したいと。
理解して、助けになりたいと。
それだけは貫き通すつもりだった、けど。
「清香ーっ!! いつまで寝てるの、学校遅刻するわよーっ」
「うわわっ」
布団で跳ね上がって、時計を見る。
確かに、少しやばめな時間だ。
正直言って、今日だけは仮病でも使って休みたい。
でも、それを許してくれる親かと言うと。
「清香ーっ!?」
「わ、分かってる! 起きてるよーッ!」
皆勤賞だけがお前の取り柄だ、丈夫に生んだからそれだけは果たせ。
親の口癖を思い出してがっくり項垂れる。
何故もっと情緒ある親の元に生まれなかったかと身を呪いつつ、引きずる様に支度を始めた。
憂鬱なまま学校に行くと、例の男も同じ様な姿で――は、いなかった。
「油女は、今日は体調不良で休みだ。皆体調には気をつけろよ。そろそろお前達も受験の――」
「……は?」
そもそも、学校に来てすらいなかった。
言い様のない怒りが込み上げる。
理由も説明なしに雲隠れとはやってくれるなあの男。
こっちは絶望感を抱きながらもここまで来たってのに。
……心配とか、してやんない。
うん、絶対、しないし。
スカートを握って、ぐっと唇を噛む。
そうして、滲みそうになる理由の分からない涙を必死にせき止めた。
ぽん、と肩を叩かれて、顔を上げる。
騒がしい教室内を見て、漸くHRが終わっていた事に気付いた。
「清香」
声の方を見ると、キバとヒナタが神妙な顔でこっちを見ていた。
「ちょっと、話があんだ」
「ただ、少し、長くなるから……昼休み、屋上に一緒に来てくれる?」
「……分かっ、た」
「悪ぃ、頼むな」
頷くのを見ると、軽く念を押して2人は席に戻って行った。
多分、絶対、シノの事だ。
昼休み、屋上に行けば。
少しは、何か分かるんだろうか。
結局、午前中はずっと上の空で、友達の声も授業も、全く頭に入って来なかった。
じゅうご。