デフォルト名:四条院 千紗季
第4帖
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「うわっ、何これ……」
本日も全ての授業が終了し、生徒会室へとやって来た千紗季は、共有机に山積みされた書類を目にして頬を引き攣らせた。
「練習試合の申し込み書よ。サッカー部へのね」
棒立ちしている千紗季に向かって、夏未は会長用のデスクで書類を捌きながら答える。
「もしかして、帝国との練習試合で……?」
部員も揃っていない弱小サッカー部が負けるに違いない。天地がひっくり返っても雷門が勝つなど有り得ない。
誰もがそう思っていたであろうこの試合は、帝国の試合放棄により雷門が勝利する結果となった。更には、そんな実力皆無の弱小チームが、帝国から一点を奪ったのだ。
この結果を耳にした者たちは、皆さぞ驚いたことだろう。
(うちのサッカー部の実力に興味を示して送り付けられたものか。もしくは、豪炎寺くん狙いってとこかな)
千紗季は夏未の指示で、練習試合以降に流れ始めた雷門サッカー部に関する噂話を集めていた。豪炎寺が雷門へ転校したことや、練習試合での得点は彼によるものであることは、既に広まっているようなのだ。
(帝国と同じように、彼の実力を確かめたいのか。あわよくば、スカウトしようって魂胆かしら……)
誰もが思ったのではなかろうか。全国レベルの実力を持つ豪炎寺が、なぜ弱小チームの雷門へ転校したのか、と。
だが、目的が豪炎寺だけとは限らない。円堂が帝国のシュートを止めたことも、ちらほらと話題に挙がっていたからだ。
(守の話が真実かどうか知りたいって人もいそうよね。まあ、大半はまぐれだって思ってそうだけど)
弱小チームのキャプテンが帝国のシュートを止めた。単なる噂にすぎないのか、真実なのか。だとしたらまぐれなのか、実力によるものか。
それを確かめる手段として、練習試合を申し込んだことも考えられる。
「ほら、早く席に着いて貴女もその書類を捌いてちょうだい」
書類を眺めながら考え事をしている千紗季に、夏未は相変わらずの涼しい顔で指示を出す。
しかし、一つ腑に落ちないことがある。
千紗季はようやく書類から外した視線を夏未へと流した。
「会長、一つ質問しても?」
「何かしら」
「これって普通、顧問の仕事なのでは? なんで生徒会室に持ち込んだのさ」
各部活宛に届いた書類は、本来であれば顧問が窓口となる。だというのに、なぜ千紗季や夏未がこれを捌く必要があるのだろう。
とはいえ、夏未とも付き合いは長い方だ。わざわざ聞かずとも彼女の考えていることはなんとなくわかっているが、ほんの少しの嫌味を込めて敢えて質問した。
「あら、千紗季だってもう気づいているでしょう? 申込件数が多すぎて、冬海先生一人じゃ捌ききれないの」
想像通りの回答に、千紗季はどっと溜息を吐く。正直、面倒くさいのが本音だ。
夏未曰く、どうやら電話やメールでも申し込みが殺到しているようで、冬海はそちらの対応で手一杯らしい。
「それに、理事長が不在の場合、最終的に許可を出すのは私だもの。それなら、私が直接確かめたってよくないかしら?」
「…………」
夏未の言葉に、千紗季は返答できなかった。
サッカー部に対しここまで夏未が積極的に関わろうとするなど、これまでの態度を振り返ればありえない光景だ。とても廃部を突きつけた者のする行動とは思えない。
(一体どういう風の吹き回しよ……)
ただ一つ言えるのは、先日の練習試合の一件で、夏未が雷門サッカー部、そして、円堂に何か価値を見出した、ということ。
(ま、どの道、廃部の件は一旦保留になってるだろうし)
練習試合の申し込みを夏未自ら捌いているということは、おそらく次の試合でサッカー部の実力を確かめ、改めて部の存続を決めるつもりなのだろう。
仕方がないかと千紗季は観念して自席に着く。夏未からこき使われるのは慣れっこだ。
「それと、帝国との試合後に頼まれてた件、調べておいたわよ〜」
「流石ね。仕事が早くて助かるわ」
「どーも。データまとめといたから、夏未のフォルダに移しとく」
「お願いね」
持参したUSBを嵌め込み、マウスでパソコンを操作する。
データを夏未のフォルダへ移し終えたあと、千紗季は共有机に積まれた封筒の山を崩して自席へ移動させた。封筒を開封し、ざっと目を通す。
(うーん……夏未がすぐに確認できるよう、必要な部分だけチェック入れとくべきかなあ)
筆立てから黄色のマーカーを手に取り線を引くと、クリップでまとめたものを夏未へと手渡した。この作業をひたすら繰り返す。
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