デフォルト名:四条院 千紗季
第2帖
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「サッカー部! 部員募集中でーす!!!」
よく通る溌剌とした声が、校舎の中にまで響き渡る。
晴天の下、雷門中学校を駆け回るのは、弱小サッカー部キャプテンの円堂守だ。”帝国学園来る! サッカー部員募集中”と力強い書体で刻まれたプラカードを手に部員集めに勤しんでいる。
あっちへこっちへと忙しなく動き回る橙色のバンダナを、千紗季は生徒会室の窓枠に頬杖をつきながら目で追っていた。
「サッカー部の彼、さっそく頑張っているみたいね」
「だーれかさんが無理難題を押し付けましたからねぇ」
ほんの少し沈んだ声色で嫌味っぽく言い返し、校長室でのやり取りを振り返る。
それは、今日のお昼休みのこと。帝国学園との練習試合と廃部の件について、とうとう火来や夏未の口から円堂へ告げられたのだ。
部の余命宣告を受けてもなお、挫けることなく勧誘に奔走する姿は流石というべきか。思いの外、元気な幼馴染の様子にひとまず安堵する。
「さあ、貴女もずっと外を眺めてないで、仕事に戻ってちょうだい。新年度が始まってから少し落ち着いたとはいえ、まだ処理しなくちゃならない仕事が山ほどあるんだから。それから──」
夏未からホチキス止めされた大量のプリントを差し出される。”生徒会からのお知らせ”と書かれたそれは、各部活動の部長へ配布せねばならないものだ。
「後でこれもお願いね」
「ハイハーイ。承知しました〜」
窓から離れプリントの束を受け取ると、PC画面の縁に貼り付けてある付箋タイプのTo Do リストを手に取る。プリントの配布よりも優先度の高い仕事がまだ二つほどあった。
本日の業務の流れが決まったところで、一度大きく伸びをし、自分のデスクへ着席する。
「あの、副会長……」
すると、緊張した面持ちで執行役員の後輩が声をかけてきた。彼女の手には数枚のプリント用紙が握られている。
「どしたの?」
「あの、昨日の会議の記録です! 確認お願いします……!」
「あら、ありがと。見とくわね」
にっこり微笑んで差し出された議事録を受け取れば、ホッとした様子でぺこりと頭を下げ、自席へと帰って行く。
仕事熱心な後輩の姿を見届け、千紗季も脳内を仕事モードに切り替えた。
***
本日のタスクをテキパキと片付けてしまった千紗季は、夏未から頼まれた仕事を処理すべく、後輩二人を生徒会室から連れ出した。さきほど夏未から受け取った部長たちへの配布資料の半分を二人に預ける。
「じゃ、文化部の方はお願いね。私は運動部の方を担当するから。何かあったら私か生徒会室に電話して」
「はい、ありがとうございます!」
「行ってきます!」
「は〜い、気をつけてね〜」
千紗季の指示に素直に頷き仕事に取り掛かる後輩たちの姿を見送る。
入学してまだ日も浅いので少々緊張した面持ちだった。そんな後輩たちを微笑ましく感じながら、資料の束を抱え直し千紗季も校内を巡る。
本来、配布資料や郵便物は、生徒会室の入口付近に設置されている各部活へのお知らせポストに投函される。しかし、急ぎの案件や説明が必要な書類の場合は直接部長へ手渡す必要があった。
二度手間、遠回りを避けるべく、最適化ルートを頭の中で計算し、部を巡回していく。
(んと、次は……サッカー部か)
廃部寸前とはいえ、まだ部活として機能している以上、サッカー部も配布先の一つであることに変わりは無い。
備品の倉庫と見間違えてしまっても不思議ではない外装(サッカー部再始動前は本当に倉庫として使われていたのだが)の古びた建物──サッカー部部室の扉前へ立ち、ノックする。中から気怠げな声で応答があった。
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