Day30+1 11月9日 夕方 源外庵
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泣くだけ泣いて落ち着くと、からくりロボットがお茶を運んできた。
「へっ、強がってても結局泣いちまったじゃねーか。べっぴんさんが台無しだ。」
銀さんは、お茶を飲んでる私の顔を皮肉たっぷりにのぞきこんでくる。
「恥ずかしいからジロジロ見ないでよ。」
私は涙を拭いたタオルを投げつけた。
「っーか何で銀さんに抱きつかねーの?」
「?」
「何?神楽の方がいいの?俺じゃ不満?」
明らかに銀さんはふてくされている。
昨日の夜、差し伸べられた手を振り払ったせいで、私は銀さんを傷つけていたんだ。
強がって意地張っても、いい事なんて何一つなかった。
これ以上、大切な人を困らせたくない。妙なプライドは捨てて一歩前に進もう。
「昨日から八つ当たりしてごめんなさい。私はもう大丈夫だから、ありがとう。」
からくりロボットに湯のみを返してから謝ると、不意に銀さんが私を抱き寄せた。
「大丈夫なヤツがそんなツラするか?少しは人に頼ることを覚えろっての。」
「…。」
全身をふんわり包み込んでくれる銀さんには、甘え下手な性格を見透かされてるみたいだ。
「銀さん、ごめ…
「ごめんは言わねー約束だろ?」
「…うん。」
「名前…。もういい、無理すんな。」
背中にまわされた大きな手があたたかい。
昨日の晩は余計なことを考えずに、素直になればよかったんだ。
「名前が泣きたくなったら、いつだって俺が涙拭いてやる。」
「銀さん…。」
「こんな風に抱いてほしけりゃ、三分でも一晩中でも体貸してやっからよォ。だから…
― ホアタァァ!!
私を抱きとめていたはずの銀さんは、一瞬のうちに飛ばされ鋼材に全身を打ち付けた。
「名前ちゃん!大丈夫アルか?!」
引きはがされた反動で転びそうになった私を、神楽ちゃんが素早い動きで受けとめる。
「神楽ァァァ!何しやがんだテメー!」
「抱くとか体貸すとか、銀ちゃんやらしいアル!」
「バカ言うな!俺は純粋になぐさめてたんだけだ!っ痛ェ…。」
尻もちをついたままの銀さんは腰のあたりをさすっている。
「私の目はごまかせないネ!」
神楽ちゃんは飛び蹴りの構えに入ったので、私と新八くんは止めに入った。
「心配してくれるのはうれしいけど、誤解だよ。銀さんは…
「もういいよ、名前さんは気にしてないみたいだし、それくらいにしておこう。」
機械を止めてやってきた源外さんも仲裁に入ってくれたので、騒動は落ち着いていった。
私が神楽ちゃんをなだめている間に、ゆっくりと立ち上がってほこりをはたいた銀さんは、お礼代わりに新八くんの肩を軽く叩くと、源外さんと立ち話を始めている。
「悪ィな、じーさん。助かったわ。」
「銀の字、オオカミがいきなり紳士になっても、娘っ子達は信じちゃくれねェ。コイツはある意味自業自得だ。」
「よく言うぜ~。見ての通り、俺はいつだって真っ当な事しかしねーよ。あ~あ、もう少しでオイシイ展開だったのに神楽のヤロー邪魔しやがって。」
― !
静かになった工房で、銀さんの余計な一言は私たちにもはっきり聞こえた。
「もう少しって…、私に何するつもりだったの?」
問い詰めると、銀さんは明らかにマズったって感じで固まっている。
「いやソレはコッチの話っーか、イヤイヤイヤ何でもありませんんん…
「オイコラ!表に出ろヨ。」
神楽ちゃんは腹パンをおみまいすると、銀さんの襟首をつかんで引きずっていった。
「ちょっと、神楽ちゃん!」
あわてて新八くんが二人を追いかけていく。
再会した日、銀さんにずっと抱きしめられてたけど、あの時何かされてたのかな…。
もしかして江戸風なハグってのも嘘?
何だかモヤモヤしてたら、奥の機械の電源を入れ直した源外さんが手招きしてくれた。
「嬢ちゃん、話を続けていいか?」
「へっ、強がってても結局泣いちまったじゃねーか。べっぴんさんが台無しだ。」
銀さんは、お茶を飲んでる私の顔を皮肉たっぷりにのぞきこんでくる。
「恥ずかしいからジロジロ見ないでよ。」
私は涙を拭いたタオルを投げつけた。
「っーか何で銀さんに抱きつかねーの?」
「?」
「何?神楽の方がいいの?俺じゃ不満?」
明らかに銀さんはふてくされている。
昨日の夜、差し伸べられた手を振り払ったせいで、私は銀さんを傷つけていたんだ。
強がって意地張っても、いい事なんて何一つなかった。
これ以上、大切な人を困らせたくない。妙なプライドは捨てて一歩前に進もう。
「昨日から八つ当たりしてごめんなさい。私はもう大丈夫だから、ありがとう。」
からくりロボットに湯のみを返してから謝ると、不意に銀さんが私を抱き寄せた。
「大丈夫なヤツがそんなツラするか?少しは人に頼ることを覚えろっての。」
「…。」
全身をふんわり包み込んでくれる銀さんには、甘え下手な性格を見透かされてるみたいだ。
「銀さん、ごめ…
「ごめんは言わねー約束だろ?」
「…うん。」
「名前…。もういい、無理すんな。」
背中にまわされた大きな手があたたかい。
昨日の晩は余計なことを考えずに、素直になればよかったんだ。
「名前が泣きたくなったら、いつだって俺が涙拭いてやる。」
「銀さん…。」
「こんな風に抱いてほしけりゃ、三分でも一晩中でも体貸してやっからよォ。だから…
― ホアタァァ!!
私を抱きとめていたはずの銀さんは、一瞬のうちに飛ばされ鋼材に全身を打ち付けた。
「名前ちゃん!大丈夫アルか?!」
引きはがされた反動で転びそうになった私を、神楽ちゃんが素早い動きで受けとめる。
「神楽ァァァ!何しやがんだテメー!」
「抱くとか体貸すとか、銀ちゃんやらしいアル!」
「バカ言うな!俺は純粋になぐさめてたんだけだ!っ痛ェ…。」
尻もちをついたままの銀さんは腰のあたりをさすっている。
「私の目はごまかせないネ!」
神楽ちゃんは飛び蹴りの構えに入ったので、私と新八くんは止めに入った。
「心配してくれるのはうれしいけど、誤解だよ。銀さんは…
「もういいよ、名前さんは気にしてないみたいだし、それくらいにしておこう。」
機械を止めてやってきた源外さんも仲裁に入ってくれたので、騒動は落ち着いていった。
私が神楽ちゃんをなだめている間に、ゆっくりと立ち上がってほこりをはたいた銀さんは、お礼代わりに新八くんの肩を軽く叩くと、源外さんと立ち話を始めている。
「悪ィな、じーさん。助かったわ。」
「銀の字、オオカミがいきなり紳士になっても、娘っ子達は信じちゃくれねェ。コイツはある意味自業自得だ。」
「よく言うぜ~。見ての通り、俺はいつだって真っ当な事しかしねーよ。あ~あ、もう少しでオイシイ展開だったのに神楽のヤロー邪魔しやがって。」
― !
静かになった工房で、銀さんの余計な一言は私たちにもはっきり聞こえた。
「もう少しって…、私に何するつもりだったの?」
問い詰めると、銀さんは明らかにマズったって感じで固まっている。
「いやソレはコッチの話っーか、イヤイヤイヤ何でもありませんんん…
「オイコラ!表に出ろヨ。」
神楽ちゃんは腹パンをおみまいすると、銀さんの襟首をつかんで引きずっていった。
「ちょっと、神楽ちゃん!」
あわてて新八くんが二人を追いかけていく。
再会した日、銀さんにずっと抱きしめられてたけど、あの時何かされてたのかな…。
もしかして江戸風なハグってのも嘘?
何だかモヤモヤしてたら、奥の機械の電源を入れ直した源外さんが手招きしてくれた。
「嬢ちゃん、話を続けていいか?」