August Part3 8月中旬 とある部屋
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背中に壁が当たった私は目を合わせたくなくて下を向いたけど、高杉はあごに指を当て無理やり上げさせると顔を近づけてくる。
全力で突き飛ばしたかったけれど、震える体では手を振り払うのが精一杯だった。
「流行りの短けェ着物と結い髪にした程度で別人に化けたつもりか?ククク…相変わらず詰めが甘ェときたモンだ…。名前、そこまで強情張るなら、俺がテメーの何なのか力づくで教えてやってもいいんだぜ。」
「何なのか以前に、あなたとは赤の他人…
「赤の他人…?お互い身も心も知り尽くした仲だろ。」
高杉は再び下を向いた私の髪に触れると、かんざしを抜いて床に落としていく。
「ど…、どういう意味…?
「今さらカマトトぶっても仕方あるめェ。」
高杉は私を抱きしめると、ふとももに手を這わせてきた。
たくし上げられた着物の裾から手が侵入してくる。
「ぃ…ゃ…やめ…て…っ
「聞いた事ねェか?心が忘れても体は覚えてる…ってよ。」
― !!
耳元でささやくと、高杉は私を横抱きに持ち上げた。
今の私は真っ赤な顔なのか真っ青なのかわからない。
全身が心臓になったみたいで頭がおかしくなりそうだ。
「クク…これじゃ卑しいエロジジイだな、俺は。」
独り言を言う高杉の視線は入口から一番奥の扉に向けられている。
あっちに連れていかれるんだ…。
「ぁ…ぁあ……
こういう時、映画のヒロインはならず者をひっぱたいたり唾を吐きかけて最後まで抵抗する。
でも私の口からは唾どころか、言葉にならない声のような息が漏れるだけだった。
神楽ちゃん、ごめん。一生懸命頑張ったけど試合終了だ…。
くやしいけど体は震えるだけで力が入らない。
せめて顔は見たくない、私は覚悟して目を閉じた。
― !
チャイムが鳴った。
しかし高杉は気にも留めず私を抱いたまま進んでいった。
閉じた目でも辺りが暗くなったのがわかる、もうここは別の部屋だ。
― !
チャイムが連続して鳴り、ノックも止まない。
高杉はため息をつくと、ベッドの上に私を降ろして去って行った。
「取り込み中であったか、これは失礼した。」
「野暮な真似すんじゃねェ。」
二人の会話は、ベッドから降り扉の隙間から見張っている私の耳にも入った。
「だが晋助、これは急ぎの用件。拙者も邪魔する気はなかった。内密に話があるでござる。」
その後、男が耳打ちをすると高杉の不機嫌そうな様子が変わった。
「入れ。」
早速二人は、社長机に書類を広げると声をひそめて話を始めている。
この男は部下の中では人目を引く風貌だ。
髪の毛を立てたスタイル、サングラス、背中の三味線、そして高そうなヘッドフォン。
あれ、どこかで見たような??
思い出した!!
「あーーーーっ!!」
私の叫び声に二人は顔を上げ、こっちを向いた。
コイツは、昨日道を尋ねてきたヤツだ!!
素足に丈の短い着物、編み傘で顔を隠した連れの男は高杉だったんだ!!
親切にお財布を拾って道案内したというのに、あれは仕組まれた出会いだったんだ!!
絶対許さない。
そう思うと全身に力がみなぎってきた。
「テメェェェ…ふざけんな!!」
私は怒りにまかせて寝室から飛び出し、男をにらみつけた。
サングラスの奥の目が冷ややかに微笑んでるようで、余計腹が立ってくる。
「あっちで待ってろ。」
高杉がたしなめるように席払いを命じてくるけど、寝室へは戻りたくない。
― !
ふと妙案がひらめいたので、私は平静を装って尋ねた。
「すみません、トイレはどこですか?」
「右隣でござる。」
「広い…。」
そこは単なるトイレではなく、洗面所やバスルームも備わった立派な生活空間だった。
角はシャワーブースになっていて、バスタオルとフェイスタオルが用意されている。
大理石貼りの床は直に座れるくらい美しい。
籠城する場所としては、上出来だ。
全力で突き飛ばしたかったけれど、震える体では手を振り払うのが精一杯だった。
「流行りの短けェ着物と結い髪にした程度で別人に化けたつもりか?ククク…相変わらず詰めが甘ェときたモンだ…。名前、そこまで強情張るなら、俺がテメーの何なのか力づくで教えてやってもいいんだぜ。」
「何なのか以前に、あなたとは赤の他人…
「赤の他人…?お互い身も心も知り尽くした仲だろ。」
高杉は再び下を向いた私の髪に触れると、かんざしを抜いて床に落としていく。
「ど…、どういう意味…?
「今さらカマトトぶっても仕方あるめェ。」
高杉は私を抱きしめると、ふとももに手を這わせてきた。
たくし上げられた着物の裾から手が侵入してくる。
「ぃ…ゃ…やめ…て…っ
「聞いた事ねェか?心が忘れても体は覚えてる…ってよ。」
― !!
耳元でささやくと、高杉は私を横抱きに持ち上げた。
今の私は真っ赤な顔なのか真っ青なのかわからない。
全身が心臓になったみたいで頭がおかしくなりそうだ。
「クク…これじゃ卑しいエロジジイだな、俺は。」
独り言を言う高杉の視線は入口から一番奥の扉に向けられている。
あっちに連れていかれるんだ…。
「ぁ…ぁあ……
こういう時、映画のヒロインはならず者をひっぱたいたり唾を吐きかけて最後まで抵抗する。
でも私の口からは唾どころか、言葉にならない声のような息が漏れるだけだった。
神楽ちゃん、ごめん。一生懸命頑張ったけど試合終了だ…。
くやしいけど体は震えるだけで力が入らない。
せめて顔は見たくない、私は覚悟して目を閉じた。
― !
チャイムが鳴った。
しかし高杉は気にも留めず私を抱いたまま進んでいった。
閉じた目でも辺りが暗くなったのがわかる、もうここは別の部屋だ。
― !
チャイムが連続して鳴り、ノックも止まない。
高杉はため息をつくと、ベッドの上に私を降ろして去って行った。
「取り込み中であったか、これは失礼した。」
「野暮な真似すんじゃねェ。」
二人の会話は、ベッドから降り扉の隙間から見張っている私の耳にも入った。
「だが晋助、これは急ぎの用件。拙者も邪魔する気はなかった。内密に話があるでござる。」
その後、男が耳打ちをすると高杉の不機嫌そうな様子が変わった。
「入れ。」
早速二人は、社長机に書類を広げると声をひそめて話を始めている。
この男は部下の中では人目を引く風貌だ。
髪の毛を立てたスタイル、サングラス、背中の三味線、そして高そうなヘッドフォン。
あれ、どこかで見たような??
思い出した!!
「あーーーーっ!!」
私の叫び声に二人は顔を上げ、こっちを向いた。
コイツは、昨日道を尋ねてきたヤツだ!!
素足に丈の短い着物、編み傘で顔を隠した連れの男は高杉だったんだ!!
親切にお財布を拾って道案内したというのに、あれは仕組まれた出会いだったんだ!!
絶対許さない。
そう思うと全身に力がみなぎってきた。
「テメェェェ…ふざけんな!!」
私は怒りにまかせて寝室から飛び出し、男をにらみつけた。
サングラスの奥の目が冷ややかに微笑んでるようで、余計腹が立ってくる。
「あっちで待ってろ。」
高杉がたしなめるように席払いを命じてくるけど、寝室へは戻りたくない。
― !
ふと妙案がひらめいたので、私は平静を装って尋ねた。
「すみません、トイレはどこですか?」
「右隣でござる。」
「広い…。」
そこは単なるトイレではなく、洗面所やバスルームも備わった立派な生活空間だった。
角はシャワーブースになっていて、バスタオルとフェイスタオルが用意されている。
大理石貼りの床は直に座れるくらい美しい。
籠城する場所としては、上出来だ。